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パリ最新情報「コロナ第5波が急拡大するフランス、対策強化へ」 Posted on 2021/11/23 Design Stories  

11月21日、フランス政府は新型コロナウイルス流行の第5波が凄まじい速さで拡大しつつあると発表した。
保健当局によると、20日までの1週間の新規感染者数は1日当たり平均2万人弱。
これは過去3週間の平均の3倍に相当し、感染者数が爆発的に拡大していることを示している。
ただ、重症化する患者は増えておらず、ガブリエル・アタル報道官は人口の75.1%が2度のワクチン接種を終えていること、そして衛生パスの導入が功を奏していることを強調した。

オーストリアなど欧州の一部の国では、ワクチン未接種者のみを対象としたロックダウンの措置が15日から始まっている。
マクロン大統領は「フランスではこの措置は必要ない」と述べ、さしあたっての対策として、欧州16カ国からのワクチン未接種者の入国規制を強化した。

パリ最新情報「コロナ第5波が急拡大するフランス、対策強化へ」

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そのほかにも、先週からフランス国内で新たな「第5波対策」が次々と始まっている。
まず、15日には再び全国の小学校でのマスク着用が義務に。
そして22日からは再び屋外でのマスク着用が義務となる県が増えた。
現在対象となっているのはフランス国内の26県。パリを含む首都圏では、今のところ屋外でのマスク着用は任意だが、このままいくとパリでも再び義務となる日は近い。

今、議論されている強化対策は以下の二つ。
ひとつはテレワークの再導入、もうひとつはスキー場での衛生パス適用問題だ。
テレワークに関しては、政府は9月1日よりテレワーク勤務を行うべき最低日数の基準を撤廃していた。
フランスではテレワークをする人の23%が「秋以降は100%オフィス勤務に戻したい」と述べていて、自宅で働くことに疲弊する人が多く見受けられた。
ヴェラン保健相は11月18日のインタビューで「行いうる措置のひとつ」と回答、正式発表はまだだが、今冬もテレワークが導入される可能性は極めて高い。

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そして今回、新しく検討されているのが、スキー場での衛生パス導入についてだ。
フランスは、スキー大国でもある。人混みや、人と同じを嫌うフランス人でも、冬から春にかけて一週間ほどのスキー旅行に出かける人が多い。

厳密には、衛生パスの提出が義務となるのはリフト搭乗時。しかし、グループレッスンを行うインストラクターにも衛生パスのチェック義務を課す可能性があるという。
ジャン・カステックス首相はこの措置について、全国の感染発生率が住民10万人あたり200件を超えた時点で発令されると発表。
11月21日には10万人あたり164件の感染が報告されているので、200を超えるのは時間の問題、といったところだ。

12月からは50〜65歳のワクチン3回目接種が始まるフランス。
ロックダウンを回避すべく、ありとあらゆる策を練る政府だが、ウィルスの猛追は止まらない。正直、「またか」といった面持ちで長引くコロナに疲弊している人がほとんどだ。
これ以上の不自由が続かないことを願う。(お)

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