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パリ最新情報「再び、フランスの感染が急拡大してきた」 Posted on 2020/08/16 Design Stories
真夏だというのに、40度近い猛暑が続いたフランスで再び新型コロナの感染拡大がはじまった。フランスではここ連日、3000人近い感染者が出ており、政権は対策に追われている。一時期は日本よりも感染者数が減っていたが、突然感染者が増えはじめた。バカンス時期の移動とテレワークをしていない民間企業のオフィス内感染などが原因と思われている。
交代したばかりの新首相カステックス氏は15日から屋外でのマスク着用範囲をこれまでよりもさらに広げて適応させた。市場などが開かれる目抜き通りをピンポイントでマスク義務化地域としていたが、たとえばエッフェル塔が聳えるシャンドマルス地区など観光地はほぼ全域マスクの義務化が決まった。観光地、人が多く集まる地域、中心部など、パリ市内の広範囲でこの法令が適用される事態となった。メディアは「パリ市内全域」での適用を予測している。さらに、カステックス首相は感染が顕著に拡大している民間企業内(オフィスワークの中小企業というイメージ)でのマスク義務化の検討に入った。おそらく、これは施行されることになりそうだ。というのも、フランスで現在もっとも感染者を出している場所が狭いオフィスだからである。クラスターの四分の一ほどが、民間企業のオフィスで発生している。会社内でのエアロゾル感染には日本も今後、特段の注意が必要と思われる。
同じく、一日の感染者をパリと同じ3000人程度にしたスペインではさらに厳しい法令が施行されている。まず、2メートル以上離れての喫煙が出来ない場所での路上喫煙の禁止が決定。屋外での喫煙の禁止はフランスでもまだとられていない厳しい措置だが、エアロゾル化したコロナウイルスがたばこの煙からも感染する可能性が出ていることを受けての措置と言われている。また、スペインでは閉鎖空間で大人数が密着しやすい環境であるナイトクラブが閉鎖されることになった。この動きはフランスや他の欧州各国へと飛び火するだろうと、予想されている。ナイトクラブの経営者の悲痛な声がテレビニュースで紹介されていた。
昨日、15日、フランスは聖母マリアの被昇天祭で休日だったが、マスク義務化が施行された地域ではマスクをしない者とそれを咎める人たちの間で、小競り合いが続いた。フランスもこの土日は連休で、法令がスタートしたのに、取り締まる警察官がいない状態で、市民任せとなり、パリ中心部では喧嘩も起きている。週明け、月曜日から厳しい取り締まりが始まる模様だが、なんとしても感染を封じ込めたい政府と夏のバカンスを楽しみたい市民との間でも小競り合いが生じそうだ。バカンス命のフランス人の気質が、欧州人の気質が、この感染を拡大させている一つの要因であることは間違いない。イギリス政府はフランスから入国に対し2週間の自主隔離を決めた。欧州間の行き来は再び止められることになりそうだ。
フランスは8月に入り、カニキュール(熱波)のせいで40度近い猛暑が続いていたが、結局、コロナに気温は通じなかった。これまでのウイルスの定説を覆す恐ろしい新型コロナウイルス。変異も早く、ワクチンが開発されても効かないだろうという科学者は多い。日本は来年、フランスは24年にオリンピックを控えているが、目が離せない状況が続く。