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パリ最新情報「9歳男子が死亡。子供に危険が迫る。新型コロナの仕業か?」 Posted on 2020/05/16 Design Stories
今日、フランスで新型コロナが原因とみられる奇病で、新たに子供(9歳)の命が奪われたと発表された。川崎病(後述)に似た症状が出ていた9歳の男の子が死亡したのである。
「子供は新型コロナにかかりにくい、かかっても重症化しない」と言うのがこれまでの定説であった。それがこのところ、そこに微かながら異変が起きつつある。アメリカで3人の子供が同じ症状によって、命を落としたのだ。
フランスの場合、感染者14万人超のうち、これまでに700人強の子供が新型コロナに感染し、約30人が集中治療室での治療をうけ、死者は今日の1人を加えると、3名となった。
感染症は、免疫システムがまだ完成されていない幼児や、加齢によって免疫力が弱くなったお年寄りにとって危険とされてきたが、この新型コロナウイルスに関して言えば、お年寄りは重症化しやすく、小さい子供は重症化しにくいという研究結果が出ている。約3割の子供が無症状、または軽症に終わり、子供は他者に感染させにくいとも言われている。これは感染症において前代未聞のようだ。※15歳以上は大人との境目であるため、注意が必要とのこと。
しかし、かかってしまった場合、子供は大人とは全く異なる炎症反応を起こすという報告もある。特に、亡くなった9歳の男の子が患った「川崎病」に似た症状は、ここ数週間、欧州各地(スイス、イギリス、イタリア、スペイン、フランス)とアメリカで急増しているというニュースが世間を不安にさせている。※この9歳の子は自宅で心筋炎の症状を起こし病院に搬送され、1週間治療を受けたが死亡した。この子の場合、急激に悪化したことになる。抗体検査で新型コロナに過去罹っていたことが分かったが、それまでに新型コロナの症状は出ていなかった。
新型コロナが原因とみられる川崎病似の患者は、フランスでは8歳から15歳までの125人が報告されている。そのうち、25のケースで心不全や呼吸器ショックにつながる心臓の筋肉組織の炎症が報告されており、医療者たちが注目している。アメリカでは102人(5月15日)が報告され、そのうち7割が重症化、3人が死亡している。
「川崎病」とは、一時小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群とも言われており、日本の川崎冨作博士が発見した病気である。原因は不明で、主に5歳以下の子供がかかる病気とされており、主な症状は、発熱、白目の充血、発疹、手足の腫れ、首のリンパの腫れなど。治療には、『アスピリン療法』や『免疫グロブリン療法』が行われる。初期の段階で強い炎症が起こると、心臓の血管の一部が瘤のように膨らむ冠動脈瘤ができることがあり、まれに心筋炎、心不全など、重症の合併症を起こすことがある。初期の段階で治療し、冠動脈瘤をできなくするのが大切とされる。
この小児の病気はフランスでもよく知られているが、とても稀な病気で、普段1ヶ月に1人いるかいないかだという。しかし、今回、同じ日に同じ子供専門病院から15ケースが報告され、医師が警鐘を鳴らした。症状のある子供の3分の1がPCR検査で新型コロナ陽性、また、抗体検査をするとほとんどの子供がすでに新型コロナの抗体を保持していたということからも、新型コロナとこの川崎病に似た症状に何らかの関わりがあることは確かなようだ。
この症状は2、3週間前から急に報告されはじめたが、何らかの感染症が終わってから時間が経って炎症反応を起こすというのは子供にとって珍しいことではないようだ。 PCR検査で陰性だった子供も、抗体検査をしてみたら全ての患者が新型コロナの抗体を持っていたように、新型コロナにかかり、その2次的な症状としてこの炎症が出てきたと考えられる。フランスでは9歳の子を覗く、すべての子供が川崎病の治療薬を投与され、快復、または快方に向かっているという。
まだまだ我々が知らないことの多い新型コロナウイルス。子供は大丈夫という定説もある中で、川崎病に似た症状で命を落とす子が出た。このケースは「極めて稀」と言われているものの、世界各地でロックダウンが解除されはじめた今、子供を持つ親たちはなお一層新型コロナに警戒をしなければならくなった。