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パリ最新情報「フランス、育休・産休の他に新しい『家族休暇』を創設。2025年から」 Posted on 2023/11/15 Design Stories
仏政府は11月8日、従来の産休・育休に加え、新しい形態の「家族休暇(congé familial)」を設けると発表した。
新しい家族休暇は2025年から始まり、産前・産後休暇と育児休暇の後に取得できるという。
フランスのオーロール・ベルジェ連帯担当大臣はこの目的について、「子どもと過ごす時間が足りない 、という親の根強い意見に応えるため」だと述べている。
また新設される家族休暇は、1977年に創設された育児休暇に取って代わるものではなく、それを補完するものだということだ。
働く親たちには、フルタイムでもパートタイムでも、また実子でも養子縁組でも、家族休暇を取得する権利が与えられる。
しかし具体的にどれだけの支給額がどれだけの期間支払われるかは、まだ決定されていない。
ただベルジェ連帯担当大臣が明言したところによると、新しい家族休暇は現行の育休手当よりも「はるかに高額になる」という。
※フランスの育児休暇は希望者のみで、子どもが3歳になるまで両親のどちらも取得可能。
時短勤務も可。
第一子では産休後から期間が最長1年間、2回更新可能(双子や三つ子では異なる)。
完全休業とする場合、支給される手当は月額429ユーロ(約68,640円、2023年現在)。
近年のフランスでは、育児休暇を取る親の数が減少傾向にある。
2013年では約50万人だったが、2020年には約24万6千人に減っている。
その理由としては、月額429ユーロでは足りない、休みの間の代理要員がいない、などが多い。
ベルジェ連帯担当大臣は今回、「今日、月収2,000ユーロや3,000ユーロの親が、子どもを産んだ後に仕事を中断し、収入が一夜にして429ユーロに下がるのを見ることはできません」と述べている。
また同大臣は新しく創設される家族休暇制度によって、「子どもと過ごすための物質的・経済的条件がようやく整うだろう」と強調した。
フランスの有給制度は充実しているが、育休とその取り方には意外とシビアなものがあった。
産休・育休に続く別の休暇制度が創設されることにより、フランスの子育て事情に新たな変化はあるのか。
世論調査などはまだ行われていないが、いずれにしても国民の最大の関心事は、「家族休暇取得中の支給額」であることが予想される。(大)