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パリ最新情報「家庭内感染の実態について、知っておくべきこと」 Posted on 2020/08/18 Design Stories  

大阪では重症者が東京の三倍も出ている。その理由について、大阪は東京より家族、特に大家族で生活している家がまだ多いからではないか、というニュースがあった。大阪で重症化する高齢者が多く出る背景には、子供たちが外から持ち込んで、高齢化した親や祖父母にうつすからじゃないか、と考えられてきた。しかし、フランスでは、15歳以下の子供たちが感染源になることは考えにくい、という調査結果が出ている。大阪で高齢者が重症化したのは、幼い孫たちではなく、大きな孫や子供たちからの感染だということを意味する。

これは非常に興味深い内容なので、調査媒体の記事を正確にお伝えしたい。



まだ新型コロナが欧州で出回り始めた今年はじめ、フランスに滞在していたイギリス人一家五人がほぼ最初のクラスターとなった。このニュースは世界的に流れたが、その後の調査で、5人の家族のうち、大人4人は感染源になったが、感染していた幼い子供(9歳)からの第三者への感染が確認されなかったのである。大人たちは感染源となりコロナをまき散らすことになるのだけど、この幼いお子さんは親からうつされていたにも関わらず、また、塾や学校など4校で濃厚接触を持ったにもかかわらず誰にも感染をさせなかった。その後、この事象をもとに、フランス政府は調査を続け、幼稚園児や小学生などは大人に比べ比較的他人にコロナをうつさないことつきとめた。そこでフランス政府は影響の少ない幼稚園児や小学生から、ロックダウン後、まず学校再開をさせようという結論に至る。



医学雑誌ランセットの調査によると、陽性になった582人の子供を調査した結果、4人が亡くなっているが、この子たちはもともと持病を持っている子供たちで、全てが10歳以上だった。10歳以下は亡くなった子がいなかった。このことから、欧州では、ほとんどの子供は感染源にならない可能性がある、と言われるようになる。当初、子供たちが無症状のまま媒介になってコロナを移すのじゃないかという不安が親たちの間を駆け巡った。しかし、イル・ド・フランス(パリ近郊圏)の小児科団体が調べた結果、やはり、子供は感染を広めにくいという結果が導き出されたのだ。パスツール研究所もこの調査結果を支持している。



当初は幼い子供たちによるコロナ媒介説が強かった(子供たちは幼過ぎて厳格な予防措置を守ることが難しい)ので、学校を閉鎖するということに繋がったが、今はむしろ、幼い子供は安全という結論が定説となっている。オワーズ県で初期の頃に感染爆発が起きた時ものちの調査で、子供から出たのは3人だった、という結果が出ている。結局、大人から子供への家庭内感染が大半で、子供から大人というケースはほとんど確認されなかった。これらをもとにフランス政府は15歳以下の子どもは大人たちの感染を広める速度よりもうんと弱いと結論付けられた。しかし、中学生以上になると身体が成人に近づくので、大人と同じ感染力を持つことになる。子供から親じゃなく、親から子供の感染がほとんどだった。調査の結果、6歳から11歳までの子供はすべて親からの感染が確認されている。(ランセットの調査)

結局、幼い子供から自分がうつされる可能性があると親が心配するよりも、親が子供にうつしているというのが実態のようだ。大阪で高齢化した人が感染し、重症化するのは、15歳以上の子供たち、いわゆる若者が、外から持って来たウイルスを親や祖父母が貰ってしまうからだと思われる。お盆の時期に、小さい孫に会えないと悲しんでいたおじいちゃん、おばあちゃんはそのことで心配をする必要がなかった。むしろ、その孫を連れてくる親からの感染がもっとも恐ろしいということになる。夏休みがあけて、子供たちが学校に戻ることで、自分が感染をするかもしれないと親がそこまで過剰に心配しなくてもよさそうだ。むしろ、親がどこかで感染をしそれを家庭内で子供にうつす可能性の方がうんと高いということになり、会社の宴会などに出席するお父さんの方がよっぽど注意が必要かもしれない。

パリ最新情報「家庭内感染の実態について、知っておくべきこと」

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