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パリ最新情報「パリの新しい暮らし。古い建物を改造した『コリビング』がお洒落に登場」 Posted on 2023/03/30 Design Stories
家賃の高いパリでは、コリビング(Co-Living)という新しい暮らしが定着しつつある。
コリビングとは、複数人が共同で暮らし、個人部屋以外のリビング・ワーキングスペースを共有する生活スタイルを指す。
シェアハウスとも似ているが、違いはこの共有スペースがシェアハウスより充実していること、そして住人同士のコミュニティが生まれやすいところにある。
ワンルームの値段が世界でもトップクラスに高いパリでは、以前からルームシェアが盛んに行われていた。
例えばファミリー向けの物件を個人的にシェア用として貸し出していたり、ルームメイトを募るサイトが今もたくさん存在している。
ただ個人的な賃貸にはトラブルが付き物で、安いとはいえ、居住中や退去時にクレーム沙汰となることが少なくなかった。
ということで、プライバシーを守りつつも安心して共同生活を行える、コリビングが現在パリの主流になりつつあるのだという。
その一例として、パリ19区・モンテネグロ通りには新しいコリビングが登場している。
建物自体は19区の初代区長で、著名な彫刻家でもあったマチュラン・モロー氏が所有していたものだといい、築200年強の邸宅をパリの管理会社Tendoors社が買い取った。
こちらの建物ではキッチン、トイレ、サロン(リビング)、200m²の庭、ワーキングスペースが共同となる。
個人の部屋にはベッド、机、シャワールームが併設されており、家賃は1100〜1150ユーロ(約15万4000円〜16万1000円)。
少し高い気もするが、この家賃にはサービス料(30%)が含まれているということだ。
気になるサービス料には、週末のブランチのケータリング、Netflix配信、週に一度の清掃サービスが含まれる。
またインターネット環境も充実しており、サロンはコーワーキングスペースも兼ねている。
管理するTendoors社はパリ、リール、ボルドーに計220のコリビングを展開しているというが、住人の平均年齢28歳で、そのほとんどが仕事を持つ女性(65%)であるという。
また外国人の長期滞在にも人気があり、全体の平均では11ヶ月の居住期間なのだそうだ。
ルームシェアより少し割高ではあるが、フランスのコリビングの稼働率は現在90〜95%だというから、時代のニーズに合ったサービスだと言える。(こうした管理会社が入ることで、住人は安心感と付帯効果が得られるという声があった)
首都パリに至っては、築100年以上の古い住宅を改造して、お洒落なコリビングに生まれ変わらせる動きがあちこちで見られる。
一方で、30代〜40代の若いファミリー世帯は絶賛パリから脱出中。
パリ市内の空き物件は依然として増えているが、逆にパリ郊外の物件は少なくなっており値段も大幅に跳ね上がってしまった。
こうして穴が増えたパリの住宅、どうにか活用できないかと色々な企業が模索を始めている。
そのため所帯を持つ前の若者やパリで活躍したいという外国人には今、従来とは違う新しい暮らしがたくさん用意されている。(こ)