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パリ最新情報「フランスの家庭から覗く、クリスマスの過ごし方」 Posted on 2024/12/30 Design Stories
ついにフランスで迎えたクリスマス。この特別な日を、フランスの家庭ではどんな風に過ごすのか、ずっと気になっていた。留学先のホストファミリーのお宅でホームパーティーに混ぜてもらい、イヴから当日にかけてのフランス的な過ごし方を実際に経験することができた。
一般的にクリスマスのご馳走を食べるのは、24日の夜と25日の昼とのこと。イヴの午前中、まず私たちが向かった先は近くのマルシェ。子羊のもも肉や野菜、果物などパーティー用の食料を調達。マルシェもスーパーもいつもより一段と人が多かった。家に戻ると、お料理の下準備に取りかかるホストマザー。私はこの日、ひたすら後ろで見守るだけの傍観者だったが、トリュフチョコレート作りには一緒に手伝わせてもらった。
ノーマルなココアパウダーとプラリネ、ピスタチオの3種類の味を用意。板チョコレートと生クリームだけで簡単に作れちゃう、食後の一口スイーツの出来上がり。
お料理の下ごしらえが一段落すると、18時半から始まる教会のミサへと向かった。
家族連れで来ている人が多く、後ろまでびっしり立ち見の人で埋め尽くされた。普段のミサには参加しない信者も、1年に1回、この日だけは教会に来るのだそう。聖書の朗読や聖体拝領の儀式があり、クリスマスキャロルなどたくさんの聖歌が歌われた。そしてこの特別なミサに参加するにあたり、服装にも気を遣う必要があるということを知った。私が支度を終えたつもりの格好で待っていると、ホストマザーの娘さん、ホストシスターから「どんなドレスを着るの〜?」と聞かれ、びっくりしてしまった。ドレスは持っていなかったが、ちょっとしたパーティーにでも着ていけそうなワンピースならあったので、慌ててそれに着替え直した。たしかに、教会に着いて周りを見渡すと、女性はお化粧をし、髪もきちんと巻いて、おめかしをしている人が多かった。これはミサのためだけではなく、その後のディナーのためでもあるのだと教えてもらった。
ミサが終わり、20時過ぎ頃みんなでご馳走を囲んだ。前菜のサラダやスモークサーモンから始まり、子羊のロースト、ル・ティアン(Le Tian)という南フランスの野菜料理などがテーブルに並んだ。ティアンというのは一般的には夏野菜が使われるらしいが、季節によってアレンジ自在となる。今回はジャガイモ、にんじん、カブの仲間を薄切りにし、順番に並べ、ブイヨンスープを上から回しがけ、チーズとパセリをトッピング。表面がカリッとなるまでオーブンで焼き上げたら完成となる。野菜のうまみが詰まっていて、ボリュームもあり、お肉ともよく合う。簡単に作れるので、普段の日にもまた違う野菜で試してみたいところ。
デザートのケーキはフランボワーズ味のティラミス。クリスマスの定番と言ったらブッシュ・ド・ノエルだが、ホストマザーの好みではないらしい。ティラミスは甘酸っぱいラズベリーでさっぱりと頂けて、個人的には普通のティラミスよりも気に入ってしまった。
デザートの時間になるとプレゼント交換が始まった。1人ずつそれぞれにプレゼントを用意したのだが、渡し方がなんとも独特だった。普通に手渡しするのではなく、渡す相手の名前を外側に書いてツリーの下に置き、他の人が見守る中で1人ずつ順番に開封していく。そして開けた後、「これは誰から〜?」となったタイミングで送り主が名乗りをあげるのだが、手に汗握る感じで私1人だけ緊張していた笑。高価なものではなくて、チョコレートとか、小さい雑貨とかなんでもいいのよ、と事前に聞いてはいたのだが、それでも相手とのプレゼントとの間にあまりにも差があったらどうしよう、とか、そもそも好きじゃなかったらどうしよう、とか、自分の贈ったプレゼントを開けられている間中ずっとドキドキすることになった笑。
そんなこんなでイヴは終了し、クリスマス当日を迎えた。
25日のお昼は私がシェフを務め、辻さんレシピでおなじみの「サーモンのパイ包み」を作った(https://www.designstoriesinc.com/jinsei/daily-5633/)。ちょっと目がギョロ目になってしまいお手本の完成形には程遠いが、完成した瞬間、みんなわあ!と声をあげて喜んでくれたのでよかった。長ネギと味噌ベシャメルから成る日本風サーモン君は、クリスマスの食卓を飾り、無事ぺろりと平らげてもらえた。
初めてフランスで過ごしたクリスマス。日本との違いや伝統、風習を垣間見られ、フランス文化の一端に触れることができた。特別なイベントを現地の人と共にすることができ、留学における貴重な体験になったと言える。(ア)