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パリ最新情報「フランス、シャンパンの売上高が過去最高に。自宅での需要が増える」 Posted on 2022/01/28 Design Stories
フランスでは、2021年のシャンパンの売上が過去最高を記録した。
販売実績・輸出量ともに大きく前年比を上回り、1年間で3億2200万本のボトルが出荷され、全体では55億ユーロ以上(約7700億円)の記録的な売上高を達成したという。
輸出面での売上高が特に大きく、出荷数は約1億8000万本と新記録をマーク。
主な相手国はイギリス、アメリカであった。
この背景にパンデミックがあったことは言うまでもない。
仏シャンパン委員会(CIVC)は「観光、イベント事業がまだ復活しておらず、消費者は自宅で上手に楽しめる方途を選んだ。
社会の陰鬱な雰囲気を打ち消そうと家で楽しみ、陽気さを共有した」と分析、2020年の消費減から一気にV字回復したことを喜んだ。
フランスのシャンパーニュ地方で生産されるシャンパンは、お祝いごとに欠かせない飲み物である。記念日、結婚式、クリスマス、自宅に友人を招待したとき、食前酒etc…
ほとんどの人が何か嬉しいことがあった日にシャンパンを開けるのだが、ここ最近では、週末の「家飲み」でラフに楽しむ人が増えたようだ。
フランスでは若者のワイン離れが止まらない、とされている。
1980年にはワインを「日常的に飲む」男性が69%だったのに対し、2020年では20%に減少。「時々飲む」という人が大幅に増えた。(若者が飲むアルコールはビールが多い)
ワイン自体が主役だった時代は過ぎ、今は「人との繋がりのツール」へとシフトしている。
とはいえ、やはりシャンパンはアルコールの中でも特別な存在だ。
フランス人が購入するシャンパンの価格は12€〜70€(約1500円〜9000円程度)と、他のお酒よりも幾分か高価なものである。
また、産地であるシャンパーニュ地方の人々は比較的安いシャンパンを飲む傾向にあり、
シャンパーニュ地方以外の人は高いものを買う傾向があるという。
パリの酒店では、2021年9月以降、異常な売れ行きで需要が追い付かない、メーカーから仕入れるのが大変だといった嬉しい悲鳴も上がり、購入側は「シャンパンは特別な日だけでなく日常にも彩りを添える」といった声があったようだ。
生産者やメーカーにとっては嬉しい限りのニュースなのだが、飲み過ぎを注意する提案もあった。
パリ市は1月を「Dry January」と設定し、1月はお酒を飲まないチャレンジをする月だと啓蒙。
テレワーク後の飲酒習慣、年末年始の暴飲暴食から少し肝臓を休ませましょう、というキャンペーンである。
しかし、これを忠実に守っているフランス人はあまり見かけない…
統計によると今月の始めには約24%のフランス国民がDry Janualyを「試した」とあり、成功したかどうかはまだ定かになっていない。
いずれにせよコロナ対策をしっかりとし、たしなむ程度に、友人を交えて楽しさを共有するというのが理想的だ。
仏シャンパン委員会の会長であるジャン=マリー・バリエール氏は、「2020年の健康危機、そして2021年は厳しい気候条件が続いたが、2022年はシャンパンの新たな成長サイクルへの道が開くことを願っている」と、シャンパンの大健闘を期待する。
パリ五輪を2年半後に控えるフランスでは、雇用増や再開発など明るいニュースが少しずつではあるが増えてきた。
今後しばらくはこのシャンパンフィーバーが続きそうだ。(オ)