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パリ最新情報「パリ、ポンピドゥー・センターが5年間の閉鎖へ。代わる巨大美術館がパリ郊外にオープン予定」 Posted on 2023/07/23 Design Stories  

 
パリを代表する美術館の一つ、ポンピドゥー・センターが大規模改修のため、2025年から5年間、閉鎖することになった。
 

パリ最新情報「パリ、ポンピドゥー・センターが5年間の閉鎖へ。代わる巨大美術館がパリ郊外にオープン予定」



 
フランス文化省によれば、改修工事は2023年から、同館の設立50周年となる2027年にかけて行われる予定だったが、来年のパリ・オリンピック期間中も開館できるよう延期されたという。
今後予定されている工事では、ファサードの改修や大規模なアスベスト除去工事、防火対策などが含まれる。
24年秋から段階的に閉鎖され、25年夏には完全に休館される予定だ。

ポンピドゥー・センターは現在、一世紀以上の芸術運動を網羅する、20世紀と21世紀の作品14万点以上を所蔵している。
ピカソやマティス、アンディ・ウォーホルなど、近代・現代アートの巨匠作品が鑑賞できる美術館としても有名だ。
また現在、ポンピドゥー・センターは現代美術にますます力を入れており、インド、中東、アフリカ、中国など、あまり紹介されていない世界の芸術家にも広く門戸を開放している。
 

パリ最新情報「パリ、ポンピドゥー・センターが5年間の閉鎖へ。代わる巨大美術館がパリ郊外にオープン予定」

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5年という長期間、莫大な費用(2億6200万ユーロ、約2900億円)をかけたポンピドゥー・センターの改修工事は、世界的に見ても珍しいケースとなる。
しかしその間、14万点の作品はパリ郊外の新美術館に移転されることになったと、先日フランス文化省から発表があった。

新美術館の場所はパリ東郊外、エソンヌ県マシー市(Massy)となる。
「ポンピドゥー・フランシリアン・センター(Centre Pompidou Francilien)」と呼ばれ、面積は30,000m²、3階建てで、2024年7月に着工し2026年夏のオープンを目指しているという。
また新美術館には、美術作品の倉庫も設立される。
これにより同場所で修復作業も可能になるといい、ポンピドゥー・フランシリアン・センターは今後、保存・研究のための専門センターとしても機能する予定だそうだ。
 

パリ最新情報「パリ、ポンピドゥー・センターが5年間の閉鎖へ。代わる巨大美術館がパリ郊外にオープン予定」

©PCA-STREAM



 
この新プロジェクトにはポンピドゥー・センターのほか、パリ国立ピカソ美術館も参加している。
よって2026年以降は、ポンピドゥー・センターの閉館中も、パリ郊外の新美術館にて作品鑑賞が可能ということになる。
※ピカソ美術館の作品も同時に鑑賞可能になるという。

マシー市長は今回の新美術館設立について、「喜びは計り知れない」とコメントしている。
なお新美術館はイル=ド=フランス地域圏(パリ首都圏)内、9つの候補地の中から選ばれた。
郊外が選ばれた理由には、パリにおける文化の超集中化に対抗したいという願いが込められているそうだ。

このようにパリ郊外では今、美術館以外にも大規模な文化施設が続々と登場している。
フレンチ・ガストロノミーを紹介する巨大フードコート、デザインホテル、スポーツ複合施設など、パリ市内では建設不可能な、広大な空間であるのが特徴だ。
こうして郊外では、パリとはまた違ったアートシーンが花開こうとしている。(オ)
 

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