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パリ最新情報「泥沼化する製油所職員のスト、フランスは深刻なガソリン不足に」 Posted on 2022/10/12 Design Stories
いま、フランスにガソリンがない。9月半ばから徐々に始まったこのガソリン不足。パリはまだ大丈夫と思っていたが、今や、どこのガソリンスタンドも赤と白のテープが貼られており、「Rupture de stock(完売)」の文字が並んでいる。3軒に1軒、29,4%が影響を受けているとと言われているが、印象的にはどこもかしこも閉まっている。もしくは、開いていても長蛇の列の上、自分が望むガソリンは完売している。といったところである。
ガソリンが不足しているその理由は、トタル・エナジー社とエッソ社の製油所職員による賃金引き上げを求めるスト。トタル・エナジー社は2022年上半期に106億ドルの利益を計上したことから、従業員が10%の賃金引き上げを要求している。
10月12日、ストに入り23日目。先週金曜日(7日)にはマクロン大統領がパニックを起こさぬよう、国民に訴えかけたが、月曜日(10日)にはストの延長が決定。今日、水曜日(12日)の5時から新たに2箇所の製油所がストに参加する。
※政府が出しているガソリンマップ https://www.prix-carburants.gouv.fr/。値段やストックが一目でわかる。ただ、現在はほとんどのガソリンスタンドが閉鎖。開いているガソリンスタンドをクリックすると値段はさまざまで、高いところでは、E95(レギュラー)が2,26€(320円)、SP98(ハイオク)が2,35€(333円)。1ユーロ142円で計算。
この状況に、フランス政府は、「封鎖を続けることは許さない」と、燃料貯蔵所の封鎖を即座に解除するよう求め、状況が改善されない場合は「追加措置を講じる」と警告。エリザベット・ボルヌ首相は「現在、国民が直面している状況は非常に困難であり、場所によっては耐えられない事態」とし、エッソ・エクソンモービル社の「燃料貯蔵所の運営に不可欠な人員の徴集」を「法律で認められる範囲で」開始するよう県知事に要請したと発表した。しかし、この政府の脅しがストライカーを鎮めることはなかった。この措置に対し、専門家は「社会的対話の失敗」と語っている。
政府は10月14日を目処に改善すると見込んでいるようだが、製油所の労働組合は「我々はここから1滴のガソリンも出さない」と発表しており、話し合いの余地がないようにも感じられる。
さすがに、ここ数日でこのガソリン不足はフランス全土の人々の生活に影響を及ぼし始めた。パリを走る車も明らかに減っている。現在、政府はジェリカンなどでのガソリン販売を禁止し、無駄な満タンをしないよう促している。まだまだこのガソリン不足は続きそうだ。(ミ)