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パリ最新情報「気管支炎、フランスで流行と発表。コロナ・インフルエンザに続き」 Posted on 2022/10/15 Design Stories  

 
仏保健当局は10月12日(水)、気管支炎がフランス国内4つの地域で流行期に入ったと発表した。
4つの地域とはオー・ド・フランス(仏北部)、ヌーヴェル・アキテーヌ(ボルドー含む仏南西部)、オクシタニー(モンペリエ含む南仏)、イル・ド・フランス(パリ首都圏)を指しており、その他10の地域(ブルターニュ、プロヴァンスなど)でも流行目前であることが確認された。

現在フランスでは、季節性の感染症がいたる所で蔓延している。
これはコロナウィルスが登場する前の2019年以来のことで、気管支炎は前年より24%増と、インフルエンザ(32%増)に次いで「例年より早い段階」の流行が危惧されている。
 



 
仏保健当局によると、気管支炎は全ての年齢層において発症する可能性があるが、フランス国内で顕著なのは2歳以下の患者が増えていることだという。
2022年10月3日〜9日の一週間に記録された救急外来受診数は合計2,058人(2歳以下の子供)で、最終的には660人近くが入院した。
これは例年の10月上旬よりも多い数字で、2021年の秋以降、2年連続で流行が早まっているというシナリオが仏厚生省でも確認された。
通常、フランスにおける気管支炎の流行は毎年10月末から11月中旬に始まり、12月にピークを迎え、1月末から2月末に終息するという同じパターンをたどる。
しかし今年は昨年よりもさらに早く、9月初旬からじわじわと気管支炎の流行が始まった。
そのためパリの小児科は現在ほぼ飽和状態となっており、朝8時から夜8時まで予約がびっしりと埋まっている開業医もあるとのことだ。
 

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パリ最新情報「気管支炎、フランスで流行と発表。コロナ・インフルエンザに続き」

 
発症については排気ガスや微粒子などの刺激が原因になるほか、乳幼児においてはRSVウイルス(仏語でLe virus respiratoire syncytial)が気管支炎の50〜90%を占めると報告されている。(これは新しいタイプのウイルスではなく、世界中ですでに存在していた)
インフルエンザと同様に生涯にわたり何度も感染する疾患だが、生後6ヶ月未満の乳児および高齢者は肺炎にも繋がり重症化する恐れもある。

フランスでは、毎年2歳以下の子供の約30%が気管支炎を患うという(仏厚生省発表)。
特にRSVウイルスは一般的に良性ではあるものの感染力が強いため、コロナ・インフルエンザといった他の感染症と共に、周囲は十分な予防対策が必要だと仏保健当局は呼びかけた。
 



 
また仏メディアは乳幼児および高齢者への気管支炎感染を防ぐためにできることを以下のようにまとめている。
・触れ合う前と後に手を洗うこと
・1日に最低10分間部屋の換気をすること
・狭く密集した公共の場を避けること
・育児用品を共有しないこと
・近くでタバコを絶対に吸わないこと

なお生後6週間未満の乳児、心臓系や呼吸器系に疾患を持つ人に症状が現れた場合には、すぐに救急外来を訪れてほしいと仏保健当局は推奨している。

フランスでは現在、コロナだけでなくインフルエンザ、気管支炎、風邪、胃腸炎、鼻咽腔炎といったありとあらゆる季節病が再来している。
こうした人々が医療機関に殺到すれば希望した診察がすぐに受けられない可能性もあるため、引き続き予防策を徹底したい。(オ)
 

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