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パリ最新情報「フランスの名物パン『ブリオッシュ』にスポットライト、初のコンクール開催!」 Posted on 2025/04/12 Design Stories
バゲットでもクロワッサンでもない、フランス生まれのもう一つの名物パンといえば、「ブリオッシュ」の名前があがる。牛乳とバター・卵をたっぷり使った、ほんのりと甘いフワフワの菓子パンだ。
4月3日には、フランスで「第1回ブリオッシュ・コンクール」が開催され、フランス全土で一番おいしいブリオッシュが初めて決定した。
※写真中央がブリオッシュ。フランスのパン屋さんで欠かせない定番商品
フランスでは毎年、バゲットやクロワッサン、パテ・アン・クルートなど、フランスならではの名物料理をたたえるコンテストが開かれている。どれも長く愛されてきた特別な存在だけに、受賞すれば、職人にとって非常に大きな誇りとなる。そんな名誉ある舞台に新たに加わったのが、少し控えめながらもフランス人にとって馴染み深いパン「ブリオッシュ」だった。※優勝したのはパリ郊外、ヴァル=ドワーズ県にあるブーランジュリー「ROUGET」のブリオッシュ。
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※「ROUGET」のチョコチップ入りブリオッシュ
「少し控えめ」というのは、クロワッサンやパン・オ・ショコラのような特別感はないけれど、口にすると安心・安定のおいしさを届けてくれる――そんなパンだからだ。とはいえ実はブリオッシュの方が、クロワッサンやパン・オ・ショコラよりも、フランス人にとっては出番が多いのかもしれない。ある人は朝食としてブリオッシュをよく手に取るというし、チョコチップ入りのものを一切れ、グーテ(goûter、おやつ)として食べる人もいる。なかには「子どもの頃、ホットチョコレートに浸したブリオッシュを食べるのが冬の楽しみだった」と教えてくれたフランス人もいた。
※スーパーに並んでいるブリオッシュ
ただブリオッシュは、バゲットやクロワッサンと同じく、発酵のタイミングや焼き加減が難しいということで、家庭で気軽にこしらえるものではないらしい。こうしてさまざまなハードルを超えて今年の頂点に立ったのが、「ROUGET」のブリオッシュだったというわけだ。
※パン屋さんではレジ横にブリオッシュが置かれていることが多い。左がプレーン、右がブリオッシュ・シュクレ
そんなブリオッシュをフランスのパン屋さんで眺めていると、大きく分けて3つのタイプがあることに気づく。シンプルなプレーン、チョコチップ入り、そして砂糖をまぶしたブリオッシュ・シュクレの3つだ。朝食用におやつ用に、どれを選んでもOKだが、砂糖をまぶしたブリオッシュ・シュクレだけは、最近パリで増えている「コーヒーショップ」でもよく見かけるイメージがある。
※一切れが15センチ近くもあった、コーヒーショップのブリオッシュ・シュクレ。
一方チョコチップ入りは子どもからの人気も高く、フランス式の甘い朝ごはんにぴったり。しかしフランスでは基本的に一斤売りが主流で、一切れずつ売られていることはほとんどないのだそう。手に持つと意外にも重みのあるブリオッシュだが、物価の高いフランスにしては、一斤4〜5ユーロ(約640円〜800円)と手頃な価格なのも嬉しいところだ。
※チョコチップ入りのブリオッシュ
とはいえ、気になるのがそのカロリー。バターと卵をたっぷり使ったリッチなパンなので、多めに食べて後悔してしまうことがよくある。しかもフランスでは、お腹まわりの脂肪のことを、親しみを込めて「ブリオッシュ」と呼ぶらしい(とくに男性に対して使うとか…)。それだけブリオッシュが日常に溶け込んでいる証なのだが、今年初めてコンクールが開催されたことで、今後のクリエーションにさらなる磨きがかかるのではないだろうか。(チ)