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パリ最新情報「セーヌ河岸のブキニスト、反対運動を受け五輪期間中の撤去を白紙に」 Posted on 2024/02/17 Design Stories  

 
パリ・オリンピック開会式のセキュリティ強化のため、撤去を強いられていたセーヌ川沿いのブキニスト。
パリではこの問題を巡り、ブキニスト店主および地元市民らが反対運動を行っていた。
昨年7月から現在までに集まった署名の数は、合計で18万4000件以上にもなる。
一時期はフランス文学界からも声が上がり、ル・モンド紙に意見書が提出されるという事態になっていた。
しかし2月13日には一転、マクロン大統領がブキニストを「首都の生きた遺産」としてオリンピック期間中も撤去しない方針を固める。
パリのブキニストたちはこうして大勢のサポートを受け、五輪期間中もそのままの姿を維持できることになった。
 

パリ最新情報「セーヌ河岸のブキニスト、反対運動を受け五輪期間中の撤去を白紙に」

※セーヌ川沿いのシンボル、ブキニストは「世界最大の青空書店」とも言われる。



 
セーヌ川沿いのブキニストは、450年あまりの歴史を持つパリの一大風物詩だ。
深緑色のボックスが特徴で、店主らはこの中に保管された古本や絵葉書、ポスターなどを旅行者に向けて販売している。
ボックスの総数は、2024年現在で932個を数える。撤去の対象となっていたのはその約半分で、428個の予定だった。

撤去の主な理由は、セーヌ川で行われるオリンピック開会式、セキュリティ強化のためだった。
これは特に、ブキニストのボックスの中に武器や爆発物が隠されること・人通りが滞ってしまうことを防ぐためだったという。
撤去後は代替案として、ボックスを一時的にバスティーユ広場などに移し、オリンピック終了後に再びもとに戻すことが提案されていた。
しかしブキニスト協会のトップは、ボックスが壊れやすく運搬が困難であると主張。
修復費が負担されるとはいえ現実的でないこと、そして何よりも「ブキ二ストはセーヌ川のシンボルだ」と主張を繰り返し、当初から猛反発していた。
 

パリ最新情報「セーヌ河岸のブキニスト、反対運動を受け五輪期間中の撤去を白紙に」



 
23年11月に行われたブキニストの解体テストが、この騒動に火を付けた。
パリ市は11月18日夜、一部のボックスをクレーン車で運ぶテストを行っていた。
撤去にかかる時間や人数を正確に把握するためだ。
ところが報道された映像を見てショックを受けた一部の市民・関係者が、「不必要な苦しみだ」とパリ市を批判する。
ブキニスト協会のトップも「(行政と)対話が続くことを願っています」と記者会見で訴えるなど、ブキニストの撤去問題がパリで再燃していた。

以来、反対運動は、書簡、署名、SNS上とあらゆる方法で続けられた。
こうした運動はフランスでよく起こるのだが、事例によっては大統領まで動かすことにフランス人の一貫した強さを見る。
年金改革などは叶わなかったものの、強い権力に対して声を上げることは、フランス人にとって歴史と文化の一部になっている。
 



パリ最新情報「セーヌ河岸のブキニスト、反対運動を受け五輪期間中の撤去を白紙に」

 
マクロン大統領から「移転断念」と発表があった後、ブキニストたちは大いに喜び安堵したという。
オリンピック開会式当日には営業できないというが、ブキニストたちはボックスがそのままの状態で残されることに一番の安心感を得たそうだ。

なおフランス内務省は今年1月末、60万人の人出を予想していた開会式の入場者数を、30万人に下方修正している。
開会式の警備体制全般および詳細については、“パリ五輪委員会や関係者との協議がすべて終了した3月末に”決定される予定だ。(内)
 

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