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パリ最新情報「猛暑に見舞われるフランス。バーベキューをはじめとする屋外レジャーが大盛況に」 Posted on 2022/06/18 Design Stories
フランス全土にとてつもない熱波が広がっている。
6月15日頃より気温がグングン上がり、18日土曜にはパリで40度となることが発表された。
ところが、フランスではエアコンを常備していない所が多い。
湿気が少ないと言えど、地下鉄やバスなどの密閉空間はムンとした熱気に包まれている。
SNCF(フランス国鉄)はレールが高熱になったため今週末の減速を発表、パリ市は無料で水浴びできるいくつかの噴水を解放した。
慣れない暑さに悪戦苦闘するフランス国民。
しかし、短い夏を思いっきり楽しもうというスタンスはいつもに増して強固なものになっているとさえ感じる。
夏至を控えた今、空は22時を回ってもまだ明るい。
太陽を惜しむように外で過ごすフランス人が多いため、屋外レジャーも今年は大盛況といったところだ。
屋外レジャーの定番といえば、週末のバーベキューが挙げられる。
そしてフランスでは自宅の庭で開催されることが多い。
バーベキュースペースを設ける公共施設はあるものの、不衛生なまま放置されていることも…。
そのため、郊外に暮らすほとんどの人は公の場を避ける傾向にあるようだ。
この時期、週末に住宅地を歩けば必ずと言って良いほど、あちこちからバーベキューの匂いが漂ってくる。
庭を持つ家主がホストで、規模はさまざまだが友人や家族が多く集まる。
夏の間に誰もが一度や二度、バーベキューを楽しむのではないだろうか。
フランス人は食材にどんなものを使用しているのかというと、やはりここは肉食大国らしいアイテムが勢ぞろいする。
例えば、ブロシェットと呼ばれるフランス風串焼きセット。
お肉屋さんやマルシェでは「あとは焼くだけ」といった肉の串刺しがたくさん並ぶようになる。
チキンを始め牛肉やラムが一般的で、玉ねぎやミニトマトの野菜もすでに添えられている。
サイズもビッグで、焼き鳥よりはるかに大きいというのが特徴だ。
続いて欠かせないのがソーセージ。
フランスのソーセージは文句なしに美味しく、男性たちは焼き加減がベストになるように目を光らせる。(フランスでもバーベキューは男性の仕事)
フランスらしいと思うのは、そこにチーズが加わることだ。
チーズがおつまみ、なのではなくチーズを丸ごとバーベキュースタイルで焼いてしまう。
まん丸の焼きチーズをバゲットと冷たいロゼワインと一緒に、という光景がよく見られる。
食材はホストが全て用意するというより、皆がそれぞれ持ち寄るスタイルを取っている。
この時期は生ハムメロンが前菜としてよく登場するのだが、バーベキューでも前菜とデザートを欠かさないといったところがフランスらしい。
その他、グリルする野菜は茄子、ズッキーニ、紫玉ねぎ、トマト、ピーマンが多い。
エビやイカといった魚介類も、肉に比べれば登場回数が少ないが人気である。
ところがパリを中心とした都市部ではベジタリアン人口が急増している。
では彼らはバーベキューに参加しないのかというと、決してそんなことはない。
最近では、日本の豆腐を持ち込むこともあるという。
豆腐をグリルして何かしらのソースをかけ、バーベキュースタイルにして楽しんでいるとのことだ。
このようにフランスの人々は、食べる内容そのものよりも「バーベキューをきっかけに皆で集まる」ことを楽しみにしているようだ。
時間も長い。
昼から始まり、本当に日没まで繰り広げられたこともある。
19日の日曜日は、フランスでも父の日となっている。
そのため今週末は家族で集まってバーベキューを予定している所が多いのではないだろうか。
この日ばかりはお父さんにゆっくりしてほしい、とは思うのだが、焼きに精を出すムッシュの姿が目に浮かんでくるようだ。
大変な熱波に見舞われるフランスだが、熱中症に気を付けながら楽しく乗り切りたい。(る)