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パリ最新情報「パリのスイーツシーンに新顔『バブカ』!どんな味?」 Posted on 2023/04/01 Design Stories
パリのスイーツシーンに新たな波が押し寄せている。
近年のパリでは、料理もおやつも多国籍風となっているほか、「素朴」であることがキーワード。
特にスイーツは手の込んだものより親しみやすいものが人気で、昔ながらの味に一捻り加える…といったおやつが話題の中心になっている。
昨年末には「ニューヨーク・ロール」がパリで流行中、とご紹介させていただいた。
しかしこのニューヨーク・ロールに負けず劣らず、いやもしかしたらそれ以上にブームとなっているのが、東欧生まれのパン、「バブカ」(Babka)だ。
バブカの火付け役となったのは、2020年にオープンした専門店「バブカ・ザナ(Babka Zana)」である。
バブカとは東欧生まれのパンで、ブリオッシュのリッチな生地に、チョコレートやシナモンといったフレーバーをたっぷり練り込んだもの。
ロープ状に編まれているのが基本で、フランスのブリオッシュよりもかなりどっしり・むっちりしているのが特徴的だ。
バブカという名前は、ロシア語やベラルーシ語で「おばあちゃん」を意味している。
伝統的にはシナモンとチョコレートの入ったバブカが、お祝い事や週末、そしてイースターの時期に特別に作られているということだ。
こうしたバブカをさまざまなフレーバーで提案したのがバブカ・ザナである。
パリジャン・パリジェンヌに受けた理由は二つあって、もちっとした食感が新鮮だったのと、「切り目も綺麗」と、写真映えするのが◎だったという。
さて2023年の今では、「あっちにもこっちにもバブカ」という現象が起こっている。
パリのデパート・グルメ館ではバブカを本当によく見かけるし、郊外にある街のパン屋さんでも、レジ前のセンターに置かれるようになってしまった。
また中心部の8区では最近、パリ初のブリオッシュ・バー、「BAB(バブ)」というお店がオープンしたほどだ。
※パリ初のブリオッシュ・バー、「BAB(バブ)」
BAB(バブ)のバブカは本家本元のものよりも、フランス人好みにアレンジされている。
フランス人好みというのは、本来のブリオッシュ(バターたっぷり、だるまのような形をしていて、もこもことした食感)に、タルティーヌ風のクリームがたっぷりと乗っていること。
風味もさまざまで、ライム、モヒート、そば粉を使用したものやオレンジ・フラワーなど、オリジナルから進化しているのも特徴だ。
※ライム味のバブカ
ただし、バブカも背徳グルメであることは間違いない。
フランス人はお腹についた贅肉のことを「ブリオッシュ」と呼ぶくらいなので、もしかしたらニューヨーク・ロールよりももっと、バブカは罪深い食べ物なのかもしれなかった。
※パリのスターパティシエ、フィリップ・コンティシーニのバブカ(プラリネ味)
伝統的なバブカのレシピではシナモンを使うが、最近では家庭において、好みの味に手作りするところもあるという。
ただ最近の抹茶人気も相まって、パリではそろそろ抹茶のバブカも登場しそうな雰囲気がある。(チ)