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パリ最新情報「フランスもついにアストラゼネカワクチンを休止。欧州16か国に波及」 Posted on 2021/03/16 Design Stories
本日3月15日、夕方マクロン大統領の発表で、フランスもついにアストラゼネカ社のワクチン接種を休止することが決まった。ドイツ、イタリア、スペインも同じく接種の中止を発表している。
これによって、アストラゼネカ社のワクチンを休止した国は16か国に波及した。
欧州では3月11日、デンマークがアストラゼネカ社のワクチン接種の休止を発表。それに続き、ノルウェーとアイスランドも同ワクチンの接種休止を発表していた。
デンマークではこれまで65歳以下の約14万人がアストラゼネカ社のワクチンを接種しているが、先日、一人の看護師がワクチン接種10日後に死亡したことがきっかけとなり、今回の決断に至ったようだ。デンマークの保健相は「アストラゼネカ社のワクチン接種を完全に中止するわけではなく、念の為一旦休止するだけである」とつけ加えた。デンマークではオーストリアで49歳の看護師がアストラゼネカ社のワクチン接種後に死亡した事例後、その一部のロットの接種を中止していた。(エストニア、リトアニア、ラトビア、リュクサンブルグでもこのロットの接種は中止されている)イタリアでは軍人と警官がアストラゼネカ社のワクチン接種後(上記とは違うロット)に死亡しており、こちらも因果関係は明らかでは無いものの、イタリアではそのロットの接種が中止されていた。
しかし、このワクチンは他17カ国にも輸出されており、EMA(欧州医薬品庁)はこのワクチンに関し、これまで500万人以上が接種しており、そのうちわずか30件の副作用(血栓症など)が報告されていると発表。死亡した人に関してはワクチンとの直接の因果関係は無いとの見解を示している。
11日の会見では、フランスのオリヴィエ・ヴェラン保健相は「現段階では、ワクチン接種のメリットがリスクを上回る」とし、「フランスはこのワクチンの接種を続行する」と発表していたのだが・・・。
フランスではここ数週間、ずっとアストラゼネカ社のワクチンについて議論が続いている。なぜなら、医療従事者のワクチン接種がなかなか進まないからだ。フランスでは現時点で、医療従事者のワクチン接種は30%にとどまる。65歳以下の医療従事者が接種できるワクチンは今のところアストラゼネカ社のもの。これまでの死亡とワクチンの因果関係はないというものの、アストラゼネカ社のワクチンに対し彼らが懐疑的になっているのは明らかである。
病人と接する機会の多い医療従事者が感染を広める可能性もあることから、情報番組に出演する医師たちは「コロナワクチンを打つことは我々医療に携わるものの義務だ。それが嫌なら違う仕事を探すべき」と医療従事者にワクチン接種を促した。ヴェラン保健相も同じく医療従事者に対しワクチンの大切さを伝える手紙を送るなど、医療従事者のワクチン接種に力をいれているが・・・。
当事者からすれば、「ロシアンルーレットなんかしたく無い」というのが本音であろう。
現在、フランスではコロナに罹りICUに行く確率は100人に1人と言われているのに対し、アストラゼネカのワクチンを接種し、アナフィラキシー反応がでる確率は100人に0,00082人。血栓症になる確率となると100人に対してはほぼゼロ、という極めて低い確率になるというのである。
副作用が全くないワクチンというものは無く、あとは、これが危険と思うかどうか、各自の判断ということになるが・・・。
どちらにしても、開発されたばかりのワクチンを接種するか否か、この未曾有の感染症に対し、全世界が大きな賭けに出ていると言えるのではないか。