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パリ最新情報「コロナの影響で密かにフライングするセール開始日」 Posted on 2020/12/28 Design Stories  

フランスでは、年に2回、夏と冬のセール期間は、政府によって決定されている。
通常であれば冬のセールは、1月の最初の水曜日に開催されるもので、2021年の開始日は、1月6日に予定されていた。
だが、そこから2週間延期した1月20日になることが、2020年12月4日に経済省によって発表されていた。
これはassociations de commerçants(商人協会)の要請を受けたもので、コロナによるフランスでの2度目のロックダウン後に、各商店がキャッシュフローを貯めることができるよう、より長い期間、適正価格での販売を求めたためであった。
1月20日という日付は、現在営業が禁止されているレストランの再開日でもある。

パリ最新情報「コロナの影響で密かにフライングするセール開始日」



だが、ここにきて大手百貨店のギャラリー・ラファイエットが「プライベートセール」という形で、クリスマス直後の12月26日よりセールをフライングで開始。
それも、公式サイト等での幅広い告知はせず、ひっそりと行っているのだ。
店内告知も、控えめに「マイナス○○%」という小さなポップが掲示されていたり、来店者にそれとなく伝わるように、色別に割引率の違いを示したシールが貼ってある程度。
割引率の説明をした小さなパネルに書かれた「chut…」とは、フランス語で「シーッ」と言う意味で、「ナイショだよ」というフランス人らしいお茶目さも感じる。



以前は、百貨店の会員になるためには、それ相応の条件が必要だったが、現在は会員でない場合でも、購入時に登録することで、会員特典を受けることができるようになった。
登録は無料で、「プライベート」とはいいつつも、実質、誰でもセール価格で購入することが可能な状態なのだ。
インターネットメディアの「Fashion Network」によると、この決定は急遽、下されたもので、社員に対しての告知も数日前であったそう。
年末であれば一息つき、バカンスに入る従業員も多い中、クリスマス商戦の延長戦に入った現場は疲弊しているという。
このギャラリー・ラファイエットの抜け駆けに対して、その他のライバル店も追随するべく準備中とのこと。
しかし、この動きに対して、フランス政府経済省、及び専門家たちは口をつぐんでおり、今のところは黙認状態となっている。
その背景にあるとみられるのは、フランスにおけるコロナウイルスの第3波への懸念だ。多くの店舗は、再度の完全ロックダウンにより、販売手段を失うことへの恐れから、なるべく早くクリスマスの在庫を一掃したい考えで、それに対して政府関係者も強く言えないという事情がありそうだ。
1月にその懸念が現実になってしまわないことを祈るばかりだ。(ウ)

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