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欧州最新情報「アリタリア航空の倒産に続いた経営破綻。届かなかったクリスマスカード」 Posted on 2021/12/25 Design Stories
「日本からイタリアにクリスマスカードを航空便で送ることができなかった。船便になるので届くのが春になるかもしれない。」というメッセージが届いた。
新型コロナウイルス感染症によって、欧州と日本に発着する航空機が大幅に減便・運休となり輸送ルートが途絶えているが、イタリアへの航空便での郵送を中止しているのは、別の理由がある。
2021年10月14日、AZ1586便。カリアリ空港を出発し、ローマ・フィウミチーノ空港に23時15分着陸。これが、アリタリア航空の最後のフライトとなった。
アリタリア航空は、2017年に倒産後4年以上にわたる臨時経営と13億ユーロの公的融資(うち9億ドルは欧州委員会から違法な国家補助と指摘された)の末、閉鎖されることになった。
アリタリア航空は、莫大な公的資金を継続的に投入することでしか存続できなかったのである。新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響もあり航空業界は大打撃となり、2020年4月からは、国有化となっていた。
乗客がいなければ、飛行機は飛ばない。魅力的でない運賃と就航地は、消費者にとって満足のいくものではないと考えられていた。航空機の過剰な生産コストもかかっていた。
ラストフライトの翌日、2021年10月15日、新会社ITA Airwaysを通じてアリタリア航空は、再び姿を現した。
ITA Airwaysは9000万ユーロでアリタリア航空のブランドを購入。ブランドを購入することで、新しい航空機のカラーリング、新しい内装、新しい制服、空港での看板の交換をすぐに行う必要はなく、順次移行することができるからである。
航空機は、ブルーにホワイトゴールドのロゴ、尾翼にイタリア三色旗のカラーリングが、2022年3月から新たに加わるエアバス機に付けられる予定。尾翼に大きな三色旗の「A」が描かれたアリタリア航空の古い白い機体も使われる。
今後、イタリアのフラッグシップ・カンパニーとなる新会社ITA Airwaysは、航空機52機、従業員は2,800人の雇用(アリタリア航空は10,500人)。保有する航空機を減らし、スタッフの減員、フライトの減便となる。
航空専門家は、決定的かつ根本的なアリタリア航空の閉鎖の先送りを隠しているように見えると指摘している。
新会社ITA Airwaysのサイトを見ると、イタリアの主要都市からヨーロッパの主要都市だけでなく、EU圏外に幅広いフライトネットワークで順次、就航していくことが書かれている。アルゼンチン、ブラジル、日本は、販売開始に必要な手続きを完了していると記載があり、東京/羽田空港行きの航空券が発売される日も近い。2022年4月、東京/羽田空港就航予定となっている。
その頃には、日本から船便で送ったクリスマスカードが無事にイタリアに届くことだろう。(オ)