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パリ最新情報「フランスでも普及なるか?議論される週休3日制度」 Posted on 2022/11/08 Design Stories  

 
9月29日、フランスの隣国ベルギーは労働者に週4日勤務制(週休3日)を実現させる国のひとつとなった。
これはテレワーク、フレックスオフィス、仕事の意味そのものを問うなど、オフィスでの滞在時間を短縮する世界的な傾向に沿った展開と言えるが、フランスでもその是非を巡った議論が今、盛んに巻き起こっている。

ベルギーを例に挙げれば、労働者は賃金を減らすことなく、4日または5日働くという選択肢が与えられることになる。
変わるのは1日の労働時間の長さで、週4日勤務を選択した人は1日9.5時間、5日勤務に留まる人は8時間となり、従業員が週4日勤務を求めた場合、雇用主はそれを拒否することも可能。
しかし、認めない理由について書面で説明することが義務づけられるようになるという。
 



パリ最新情報「フランスでも普及なるか?議論される週休3日制度」

 
フランスは、意外にもこの分野で遅れをとっていた。
国内では1993年から社会党のピエール・ラロトゥルー氏が筆頭となり積極的に週4日勤務制問題に取り組んでいたが、縦割りの経営体質がまだまだ残っているという現実もあり、この議論が盛り上がりを見せることはなかった。

とはいえ、2020年からの健康危機がこの問題に焦点を当てたことは言うまでもない。
人事ソリューションの専門会社ADPが2021年5月に行った調査によると、フランスの労働者の64%が週4日勤務制を望んでいるという結果が出た。
そのため週4日勤務制はフランス企業において少しずつ浸透しており、現在では約400社の国内企業がこの働き方を試験的に導入していると仏紙Novethicは述べている。
 

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例えばフランス国内では、リヨンの電力会社エルミー、南仏ペルピニャンのミシュラン星付きレストラン「ラ・ガリネット」、中部ヴォージュの機材レンタル会社JCロジスティックなどが既に週休3日制を導入しており、いずれも「生産性が上がった」「車を使わない日が増えたためエコにも繋がっている」とポジティブなフィードバックしか得られていないという報告があった。
特にレストラン「ラ・ガリネット」では労働条件が改善されただけでなく、採用も過去最高水準に達し慢性的な人手不足に終止符を打つことができたという。
(フランスでは2000年2月より週35時間労働制が定められている。弁護士や医師など専門職は除く)
 



パリ最新情報「フランスでも普及なるか?議論される週休3日制度」

 
このようにフランスでも、週4日勤務という労働条件は人材を惹きつける大きなメリットになっている。
しかし、30歳以下の若い世代からはデメリットを危惧する声も上がっている。
彼らの中にはパンデミック後の働き方しか知らないという人もいて、そうした若者は「職場の人間関係は希薄です。
同僚がただの知り合いになり、知り合いはやがて他人になるかもしれない」と語る。

対面式の仕事が少なくなれば、家族や友人との時間を確保することができるが、家庭をまだ持たない若い世代では対面式の仕事が人脈を広げる大切なソースになっており、また一部の人にとっては仕事は孤独から逃れるための唯一の手段ともなり得る。
パリ郊外・ナンテール大学の労働心理学専門のソフィー・プルニエ=プルメール氏は、「若者はこの新しい労働の世界にさらされ、傷つきやすくなっています。社会的スキルの欠如に加え、特に首都パリでは週3日以上テレワークをしている社員の34%が孤独感に悩まされており、これは全国平均より13ポイント高いという結果が出ています」とし、社会との繋がりの喪失を懸念する。

週休4日制の試みは日本を初め、イギリス、アイスランド、ベルギーと世界的にもどんどん増えつつある。
フランスで週休4日制(賃金カットなし)が普及するか?というのはこのところ積極的に議論されているが、「職場での社交性が失われてしまう」「週休3日制と2日制では求める人材が大きく異なり、ミスマッチが起こりやすい」と、意外にも消極派の意見が根強い。(オ)
 

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