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パリ最新情報「新年に強い危機感、日本、ドイツ、フランス、全世界で感染拡大」 Posted on 2020/12/31 Design Stories
東京都の一日の感染者数がついに1000人の壁を越え、1337人というはじめての大きな数字を出した。
頑張ってきた人々にとって千人超えという響きは精神的にもきつい。もはやとっくに個人で頑張る限界を超えている。
このまま、何もしない状態が続けば、最悪な年明けとなるだろう。
しかし、日本よりも世界はもっと加速度的に最悪の2021を目指しているようだ。
ドイツでは一日の死者が1129人という最悪の数字を叩き出してしまった。(ちなみにフランスは一日の死者数は300人程度)
日本の人口の半分程度のドイツで毎日これだけの方々が亡くなられている。
ロックダウンをしているドイツだが、間違いなく、今年よりさらに厳しい新年を迎えることになりそうだ。
そして、フランスでも再び感染拡大の兆しをみせはじめている。
特に感染が酷い地域のフランス北東部の市長たちは「地域別のロックダウンをしてほしい」と政府に提言し続けているが、経済との両立を狙う政府は決断出来ない。
ヴェラン保健相は29日、現時点での再ロックダウンを否定し、感染が拡大している20地域(最大警戒レベルを超えている)で「1月2日から夜間禁止令の開始時間を18時からに早める」方向だと、発表した。
夕方の6時から家から出られなくなる。
経済を止められない政府に対し科学者は「1月には再び感染状況がコントロール不能になる」と強い警告を発しているが、どこの国も、経済をとるか、ロックダウンをとるかで、苦悩を強いられた格好である。
厳しい制限を強いられ続ける飲食業者らの怒りは収まらない、・・・。
1月7日に予定されていた文化・スポーツ施設の再開は難しく、1月20日に予定されているレストラン・バーの再開もこの状態ではだれの目にも明らかに不可能だ。
一部関係者の間ではレストランは3月まで閉鎖という噂も出回っている・・・。
終わりの見えない厳しい状況下の世界にとって、希望はワクチンのみということになる。
しかし、フランス人はもともと「ワクチン」に対し非常に懐疑的な国民でもある。
子供のワクチン接種も副作用を理由に「なるべく打たせたくない、打たせない」というのが普通の親の考え方になっている。
現在、コロナウイルスに対するワクチン接種希望者は、フランスでは国民の僅かに40%に過ぎない。
この数字は他国に比べて極めて低い。
しかも、EUでのワクチン接種開始後も他国と比較し、フランスはあまりに遅すぎる接種率なのだ。
具体的に言えば、1日につき、60人程度の接種速度である。
アメリカでは、ジョー・バイデン次期大統領やカマラ・ハリス次期副大統領がカメラの前でワクチンを接種し、ワクチンの接種を国民に促している。
14日から現在までにアメリカでは200万人以上が接種しているにも関わらず、フランスの政治家たちはそういったパフォーマンスをやろうともしない。
それはどうしてか? という質問を投げかけられた保健相は、「自分は40代で重症化リスクも低い。優先順位を守り公平にワクチン接種を行うためです」と答えた。
「フランスはワクチンを無駄にしないよう、一人ひとり確実に接種している。ドイツでは過って1人に5人分のワクチンを接種する(一瓶に5回分のワクチンが入っている)というアクシデントがあったが、そのようなことがないよう、慎重に、1月末までには他国に追いつく算段である」と続けた。
この見解の裏側に何が潜んでいるのか分からないが、ある種の、現段階でのワクチンへの懐疑的な観測が潜んでいるようにも感じられる。
政府要人がパフォーマンスで打ってみせることで、国民を説得する大きな材料になる。
いくら若い政権であろうと、元大統領など重鎮が出てきて打てばいいことだからだ。
ワクチンの安全性が完全な形で確認されるまで、接種が一般化されない可能性が出てきている。
イスラエルで接種直後に二人の人が亡くなられるなど、不安定な情報が続く新型コロナワクチン、その接種の行方にもまだフランスでは道筋がたっていない。
マクロン大統領のように新型コロナ感染を経験した人は高齢者でも優先から外れるが、すでに感染した場合も感染から3ヶ月あけてワクチン接種が推奨されている。
「しかし、2度、3度、感染する人も多く、重症化する確率も増えるというので、ワクチンを接種することがとても大切だ」と医師はワクチン接種をメディアを通して訴えている。
日本でのワクチン接種はいまのところ2月末以降からスタートすると言われているが、どのくらいの人が接種を希望するのか、また開発ラッシュが続くこのワクチンが世界でどのくらいの抑制力を示すのか、全ては新しい2021に委ねられることになる。(井)(み)