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パリ最新情報「大ヒット映画『カメラを止めるな!』仏版リメイク、カンヌ映画祭のオープニングを飾る!」 Posted on 2022/05/14 Design Stories  

5月17日から開催されるカンヌ国際映画祭。
そのオープニングを飾る作品として、日本の大ヒット映画『カメラを止めるな!』のフランス版リメイクが選ばれたことが明らかになった。

2018年に日本で公開された『カメラを止めるな!』は、都内2館からスタートした小規模作品だったにも関わらず、斬新かつ衝撃的な展開で社会現象まで巻き起こした。
最終的に上映館数は350以上、興行収入は32億円を突破する、異例の大ヒットを記録したことも記憶に新しい。
内容の面白さもさることながら、そのサクセスストーリーに注目が集まった話題作である。

パリ最新情報「大ヒット映画『カメラを止めるな!』仏版リメイク、カンヌ映画祭のオープニングを飾る!」



フランス版リメイクにあたりメガホンを取ったのは、巨匠ミシェル・アザナヴィシウス監督。2012年の米アカデミー賞で5部門のオスカー像を手にした、『アーティスト』の監督である。
フランス版のタイトルは、『COUPEZ!(クーペ=カットの意味)』。
カメラを止めるな!なのに、カット!と変わっているところもユニークだ。

俳優陣にはフランスのビッグネームが多く集まった。
主役にはキャリアも知名度も高いロマン・デュリス。そしてメイクさん役はオスカー女優で監督の私生活のパートナーでもある、ベレニス・ベジョが演じている。
さらには、現場を混乱に陥れたプロデューサー役で、強烈なインパクトを残した日本人の竹原芳子氏が『COUPEZ!』で海外デビューを果たした。

『COUPEZ!』では、オリジナル版が世界中で大ヒットしたという世界が描かれており、日本人プロデューサーが同じ設定で仏映画制作を依頼する。
つまり、リメイク映画である『COUPEZ!』の劇中劇までもがリメイク企画となっているのだ。

パリ最新情報「大ヒット映画『カメラを止めるな!』仏版リメイク、カンヌ映画祭のオープニングを飾る!」

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『COUPEZ!』の撮影は、2021年の4月、パリ郊外にて始まった。
アザナヴィシウス監督は、オリジナル版『カメラを止めるな!』を大変リスペクトしていたことを明かしている。
「オリジナル作品の素晴らしいコンセプト、夢のような出演者たち、そして陽気でやる気満々のスタッフが揃って、この愛すべき映画を作れることに興奮しています。まさに映画を撮ることについての作品でもありますからね!」
と、クランクイン時にコメントを残している。

公開日は、フランスで6月15日から、日本では7月15日から。
なお、日本における邦題は『キャメラを止めるな!』である。カメラを止めるな!が、仏語で発音するところのキャメラ、となった。

また『COUPEZ!』は、アザナヴィシウス監督も初のコメディ・ホラー映画とあって、フランス国内でもかなりの注目が集まっている。
直近ではパリ市役所や雑誌ELLEがこの話題を取り上げた。
パリ市役所は公式HPにて、「2017年に上田慎一郎が監督した『カメラを止めるな!』は、本国で予想外の成功を収めた。このリメイクは、『アーティスト』の監督による大感動のエンターテイメント作品。彼のカタログにまた新しい章が追加された」と報じている。

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パリでは韓国映画ブームが数年前から巻き起こっているが、日本映画だってまだまだ負けてはいない。
日本映画は、日本好きなフランス人にはもちろん、業界人や芸術的な人たちに狭く深く好まれているといった印象だ。カンヌ映画祭で常連となっている是枝裕和監督の知名度も高い。

今回のカンヌではハリウッド大作のプレミアも予定されており、パンデミック以前の華やかさが久々に戻ってくるという。
たったの2館から始まった『カメラを止めるな!』が、長旅を経てカンヌに繋がったことも素晴らしい。
コロナを乗り越えたカンヌのオープニングを飾る作品として、非常に相応しいと言えるのではないだろうか。(せ)

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