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パリ最新情報「パリに花嫁が戻ってきた!結婚式シーズンを迎えたフランス」 Posted on 2022/06/08 Design Stories
コロナで中断していたものの一つに、ウェディングがある。
外食、各イベント、海外旅行などと同じように結婚式も、パンデミック期間は自粛ムードが漂っていた。ところがフランスのコロナ規制が緩和されて以降、どんどんパリに花嫁たちが戻ってきているのである。
愛の都パリは、世界で最も「プロポーズ件数」が多い街だという。
地元パリジャンだけでなく世界中から訪れたカップルが、この街で永遠の愛を誓う。
パリはそれに加えて結婚式にも、ウェディングフォトにも、その後のハネムーンにも選ばれることが多い。
パンデミック中は姿を消していたその光景も、2年の月日を経てやっと復活した。
パリの名所、エッフェル塔付近やチュルリー公園、モンマルトルのサクレクール寺院前には純白のウェディングドレスに身を包んだ花嫁たちが集まっており、その風景にはこちらも思わず笑みがこぼれてしまう。
ウェディング事業を主としたフォトグラファーやヘアメイクさんたちも同時に復活とのことなので、いよいよパリは元に戻りつつある、と言えるだろう。
さて気になるフランスの結婚事情はというと、日本に比べてかなり複雑だと言わざるを得ない。というのも、婚姻数はフランス約23万3000組、日本約60万7000組(2017年調べ)とフランスの方が圧倒的に少ない。これは、パックスなど結婚より簡易な制度で男女が公に世帯を持つことができるためだ。
税の優遇や各種手当てなどの恩恵は、結婚でもパックスでも大差ない。加えて婚外子が当たり前のように存在するため、子どもが2人出来て落ち着いてからさあ結婚、というカップルは決して珍しいことではないのだ。
たとえば結婚までの交際期間が2年だとしたら、フランス人は口々に「早い!」という。
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また結婚時や離婚時の手続きに関しても、日本のそれと比べてはるかに労力を伴う。
結婚を役所に申請するときなどは膨大な書類が求められ、担当の役員が変われば言うこともコロコロ変わる。そして挙式前には2人の結婚に異議がないかどうか、市役所の入口に実名や職業が載った紙が張り出されるほどだ。
こうしてフランスの結婚には苦労が付きまとうものの、挙式当日はやはり幸せしかない。
役所で市長立会いのもと行われる「宣誓式」が終わった後は、そのまま結婚パーティーに進むか教会での宗教的な結婚式へと移る。
初夏にかけてはフランスでも結婚式のシーズンで、この6月は一番多いと言えるかもしれない。日没は22時近くで日も長く、天候も安定していてバカンス前のため人の移動が少ない。ということで6月の土曜日は、役所における挙式の予約が最も取りづらいという。
とはいえ、挙式当日に雨が降らないとも限らない。日本では「雨降って地固まる」というが、実はフランスにも雨にまつわる素敵な言い伝えがある。
これは「Mariage pluvieux mariage heureux」と言われ、雨の日の結婚式は幸運をもたらすことを意味する。詳しくは「新郎新婦が死ぬまでに流す一生分の涙を、神様が代わりに流してくれる」という意味からきているそうだ。
この言い伝えは、フランス人なら誰もが知っている。当日の天気予報が雨となり肩を落としている新郎新婦にはぜひこの言葉を添えたい。
※花嫁のブーケ。スズランは古くからウエディングシーンで愛されてきた
フランスにおける結婚は、望む人だけがする任意の選択肢だ。しかしどんな形であれ家族は拠りどころとなる。パリでは今、新しい家族が生まれる瞬間を目の当たりにすることができる。(大)