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パリ最新情報「フランス、2035年からガソリン自動車の新車販売を全面禁止へ」 Posted on 2022/06/15 Design Stories
欧州議会は6月8日、2035年からガソリン車・ディーゼル車の新車販売を終了することを決議した。自動車によるCO2排出量削減を目的としたもので、新しく車を買い替えたい場合は以後、電気自動車のみとなる。
これはフランスだけではなく、EU全土で施行されることが決まっている。
自動車業界には13年の準備期間があるとはいえ、車市場に大きな革命が起きようとしている。ただ我々が全員2035年に車を乗り換えなければならないのかというと、そうではない。すでに購入したガソリン車・ディーゼル車についてはそのまま維持、乗車が可能。あくまで新車の販売ができなくなるというものだ。
つまり、自動車販売店では新型の電気自動車のみが並ぶことになる。
欧州議会では、2025年までに自動車の排出ガスを15%、2030年までに55%削減するという気候変動対策を掲げている。今回は新車販売のみに絞っているが、2050年にはガソリン車の乗車自体が禁止になる可能性があるという。
今のところの問題点としては、価格面と雇用面の二つがある。
電気自動車は通常、ガソリン車・ディーゼル車よりもはるかに高価なものである。対してフランス政府が検討しているのは、国民に電気自動車を普及させるためのリース方式を導入することだ。これによって貧困家庭でも月々100ユーロ以下で電気自動車を借用できるようになる。
ただこの決議にはしばらく時間がかかるかもしれない。電気自動車の民主化で市場価格の下落が期待できるものの、現状では半導体危機とウクライナ戦争による原材料の高騰が強く影響している。
また今回の決議によって、2035年までにフランス全体でおよそ6万人の雇用が失われることが懸念されている。自動車産業が変われば、当然雇用にも影響が出る。
しかし欧州議会交通委員会のカリマ・デリ委員長は、「エコロジーへの移行により、逆に新たな雇用が生まれるはずです」と仏各紙で強く語った。
一方フランスでは、欧州議会より早く決断した都市がある。
首都パリは2024年から、2026年からリヨンでディーゼル車の乗車がすべて禁止される予定だ。特にパリは環境保護に強い意欲を示しており、ここ数年で自転車利用者が大幅に増えた。
6月現在、フランスで流通している電気自動車は862,455台にものぼるという。
さらなる普及を考えると、今後は充電ステーションが国内で1800万台必要になる計算だ。
問題は山積みではあるものの、フランス独自の政策に注目が集まる。(大)