欧州最新情報

止まらないMOCHI人気。パリジェンヌのあいだで大流行中!! Posted on 2023/03/06 Design Stories  

今、パリではMOCHIブームが到来中だ。
MOCHI(モチ、フランス語ではモシと発音される)とは、日本の大福のこと。
あの柔らかくてモチモチとした食感が受け、ここパリで大ヒット中なのである。

数年前からジワリと存在感を増してきたモチなのだが、以前はアジア系の食材店でちらほらと見かけるくらいだった。
しかしフランスの冷凍食品店、ピカールがモチアイスを販売するようになると、一気にモチブームに火が付いた。
フランスのパティスリーにはない独特な食感や、あんこの栄養価なども人気の理由で、好奇心旺盛なパリジェンヌたちの心をくすぐっている。

止まらないMOCHI人気。パリジェンヌのあいだで大流行中!!



モチがざっくりと「アジアのものである」、という認識でいるフランス人は少なくない。
ところが最近のパリでは、フランス人による和食・和菓子店の開店フィーバーが続いている。
日本に数年住んだことのあるフランス人が、自身の経験をもとに、パリで日本の味を伝道師のように伝えているのだ。
実はその内容がとても興味深い。
1つの店のなかで、日本の味を忠実に再現しているものと、フランス人のフィルターが加わったアレンジバージョンが存在する。

以前にご紹介したフランス人経営によるおにぎり屋さんがそうで、クラシックな梅おにぎりの他に、ハーブのフェンネルとサーモンの混ぜおにぎりも置いていた。
つまり、フランス人の好みを熟知した彼らは、日本食を正確に再現すると同時に、フランス料理のエッセンスを少しプラスしてとても上手にアレンジしているのだ。

止まらないMOCHI人気。パリジェンヌのあいだで大流行中!!

地球カレッジ

2019年にパリ6区にオープンした「La Maison du Mochi(ラ・メゾン・ドゥ・モシ)」も、そんなお店の一つである。
オーナーは日本に住んでいたというフランス人女性。
日本の和菓子に魅せられ、フランスに帰国後にトゥール市でモチ工房を開いた。
最初の頃はネット販売だけだったのだが、フランス中から注文が殺到し大ヒット。
パリに実店舗をオープンしてからもヒットし続け、ロックダウン後には千客万来の繁盛店となった。

止まらないMOCHI人気。パリジェンヌのあいだで大流行中!!



ラインナップはクラシックな大福に始まり、ベルガモット、抹茶、柚子、ローズ、ヘーゼルナッツ、ピスタチオと、まるでマカロンのように豊富だ。そして“今月の味”として、桜餅まである。

La Maison du Mochiのモチを求め、フランス人客がひっきりなしに入って来る。
自分用にテイクアウト、あるいは店内で緑茶と一緒にティータイムと、舌の肥えたパリジェンヌたちを魅了する。
フランス人にとって、モチはとてもエキゾチックなスイーツなのだとか。
また美味しいだけでなく、グルテンフリーでベジタリアンに対応しているところもポイントが高いという。

止まらないMOCHI人気。パリジェンヌのあいだで大流行中!!



オーナーのマチルダ・モットさんは、ご主人の仕事で日本に引っ越さなければならなかった時、日本文化について何の予備知識もなかった。
当然、和菓子の存在も知らなかったそうだが、日本語の先生におすすめの和菓子店を教わり、勇気を出して入ってみた。

フランスのパティスリーは華やかな出で立ちだが、和菓子店はどこか秘密めいた、隠れ家的な存在に見えたという。
大福もそうで、ほとんどが白い見た目なのに、かじってみないと何が出てくるか分からない。そういったところに魅力を感じ、帰国後にモチ工房のオープンを決意した。

止まらないMOCHI人気。パリジェンヌのあいだで大流行中!!



彼女は現在もトゥ―ル市でモチを作り、朝一番でパリに出荷している。
包装紙やお店の内装もフランスっぽいデザインを採用し、フランス人に親しみやすくした。
現地の工房ではマチルダさんによる和菓子レッスンも開催中だ。

このように、パリではフランス人によるアレンジの利いたモチが大人気となっているのである。
大福ならぬ、フランスのMOCHI、実はとてもエレガントで美味しい。
伝統を守りながらも、進化するこのスイーツのこれからが楽しみだ。(オ)

自分流×帝京大学