PANORAMA STORIES
オランダ食材で作る! 我が家のこだわり和風料理 Posted on 2017/05/01 荒井 瞳実 母 オランダ・デンハーグ
海外で子育てをするときに、その土地の食が口に合うかどうかというのは、とても重要なことではないでしょうか。
私たちはオランダに居を移す前、日本、インドネシア、台湾と米を主食にする国で暮らしてきたので、ヨーロッパの小麦が主である食事に慣れることができるのかということはとても大きな心配事のひとつでした。
実際にオランダに来てみると、その心配は杞憂に終わり、イタリアで作られた日本米が安価に手に入り、今までと変わらずお米が主食の生活を送ることができています。
日本で人生の半分以上を生きてきた13歳の長男や夫は、日本の味を恋しがることが多く、和風の味付けの食事を出すととても喜びます。
食事は大切な文化ですし、日本の豊かなそれを、子どもたちに伝えていきたいという熱い思いが、台所を預かる私にはあります。とはいえ、自炊率ほぼ100%の我が家。無理のないよう、だいぶ手を抜きながらも、現地で日常的に手に入る材料を使ってお料理をしています。
和食……とは胸を張って言えないけれど、和風の味付けのシンプルなごはん作りは、6年の海外暮らしの中で私が欠かさず家族のために続けてきたことのひとつ。
寿司と天ぷらではない日本の家庭料理をひとつでも子どもの胃袋に覚えさせることができたなら……。
朝食や昼食のお弁当はオランダ式に簡単なパン食で済ませているので、夕食準備には、ちょっぴり気合いが入ります。
移民の多い、人種のるつぼであるオランダは、農業と貿易の国でもあります。
なので、アムステルダム近郊のアムステルフェーンという地域は在住日本人が多く、いくつもの日本食材店や日本料理店があります。
私の住むデンハーグには、日本食材店はないものの、中華スーパーや日本食材店の宅配サービスを使うことができます。また、日本食が人気でもあることから、地元のスーパーマーケットやオーガニックショップでも、醤油や海苔などの日本食材が手に入るのです。
移民の多い地域の市場やスーパーでは、大根や白菜も買うことができるので、冬の定番はオランダにきてもやっぱり和風の鍋料理でした。
便利な土地ではあるものの、海を渡ってくる食材ではなく、できるだけローカル食材を使用しようと心がけています。
風車で粉挽きされた小麦粉をこねて「うどん」を打ったり、ドライトマトで出汁をとって「お味噌汁」を作ったり、小麦ふすまで「ぬか床」を作ったり、ルバーブを塩で煮て「練り梅」もどきを作ったり、オランダ名物ニシンの塩漬け”ハーリング”で「ちらし寿司」を作ったり。
今はインターネットで簡単にレシピの検索もできますから、海外在住の先輩たちの日本食へのあくなき追及から生まれたレシピを参考に、実験のように楽しみながら、和風の食事を作っています。
この初夏には、プラムで梅干し作りを試してみるつもりです。
オランダで作る、和風のごはん。
このシンプルな味が、きっと子どもたちの「おふくろの味」になるのでしょう。
子どもたちが巣立つまで、あと15年くらいは、作り続けることでしょう。まだまだ先は長いなぁ。
Posted by 荒井 瞳実
荒井 瞳実
▷記事一覧Hitomi Arai
神奈川生まれ。2012年からバリ島、台北と旅するように暮らし、2016年オランダに着地。hitomiarai.infoという小さなオウンドメディアで、子育て、アロマセラピー、海外生活などを発信。植物やその土地の恵みを、暮らしの中や子育てに活かせたらと、常にナチュラルライフを模索中。現在は男児3人と夫のケアを基盤に、講座、講演、執筆活動などを。趣味は素敵な人とのお茶飲み。