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パリ最新情報「フランスで世界一長いスイーツが誕生!121mのイチゴケーキ『フレジエ』に大歓声」 Posted on 2025/04/25 Design Stories  

 
少し肌寒さの残る4月23日、パリ郊外の街かどに、なんと全長121.88メートルにも及ぶ巨大なイチゴケーキ「フレジエ(fraisier)」が現れた。このケーキづくりに腕をふるったのは、フランス各地から集まった25人のパティシエたち。これまでイタリアが持っていた100.48メートルという世界記録を塗り替え、見事ギネス記録を達成した。
 

パリ最新情報「フランスで世界一長いスイーツが誕生!121mのイチゴケーキ『フレジエ』に大歓声」

※世界一長いイチゴケーキが誕生!テーブルの上に細長く置かれているのが「フレジエ」



パリ最新情報「フランスで世界一長いスイーツが誕生!121mのイチゴケーキ『フレジエ』に大歓声」

 
フレジエとは、フランス生まれの華やかなイチゴケーキのこと。名前はフランス語の「フレーズ(fraise/イチゴ)」に由来していて、日本のショートケーキにも似た、可愛らしい見た目が特徴だ。ただ味わいは少し異なり、フランスでは、カスタードクリームとバタークリームを合わせた濃厚なムースリーヌと、香りづけとしてキルシュ(さくらんぼの蒸留酒)が加わっている。旬のイチゴがもっとも美味しくなる時期に登場する、春らしいスイーツでもある。
 

パリ最新情報「フランスで世界一長いスイーツが誕生!121mのイチゴケーキ『フレジエ』に大歓声」

※春のパティスリーの定番ケーキ「フレジエ」



 
先日はこのフレジエが、パティシエたちの情熱によって120メートルを超えるケーキに変身した。イタリアの記録を塗り替えるには、途方もない量の材料が必要だったそうで、使われたのはイチゴ350kg、卵4,000個、クリーム560kg、そしてマスカルポーネ30kgにもおよぶ。会場はパリ郊外、アルジャントゥイユ市にあるアイススケートリンク。ケーキの鮮度を保つために、この冷えた場所が選ばれたのだという。
 

パリ最新情報「フランスで世界一長いスイーツが誕生!121mのイチゴケーキ『フレジエ』に大歓声」

※フレジエは長すぎて端が見えないほど。たくさんの観客に見守られていた

 
世界一長いフレジエづくりをリードしたのは、地元アルジャントゥイユ市のパティスリー「メゾン・エロイーズ」だった。構想がスタートしたのは、昨年10月。そこから準備を重ね、ケーキの組み立ては本番の約40時間前から始まったのだそう。トッピングの一部(イチゴ、食用花、ホワイトチョコレートの追加)は当日23日、観客の前できめ細かに行われた。
 

パリ最新情報「フランスで世界一長いスイーツが誕生!121mのイチゴケーキ『フレジエ』に大歓声」

※スケート靴を履いて会場を駆け巡っていたアシスタントさんたち



 
実際に自分も足を運んでみたが、会場は入り口に行列ができるほど賑わっていて、地元からもたくさんの子どもたちが参加していた。イチゴの断面が見えることが特徴のフレジエは、見た目もとても可愛らしく、そして何より端が見えないほど長く続くその姿に、多くの人々が歓声を上げていた。

そして午後4時ごろには、ギネス認定員による審査がスタート。ただしギネス認定で求められるのは単なる長さだけではないそうで、本物のイチゴとクリーム、ビスキュイを使用し、高さ8cm・幅8cmを満たしている必要があるほか、ケーキは一つの塊でなければならないという。もちろん、きちんと食べられるかどうか、衛生基準の厳守も欠かせない。ギネス認定員も、「最後に確認するのは人間が食べられるかどうかです。私たちは無駄遣いを容認しません」と、厳しめの表情で語っていた。
 

パリ最新情報「フランスで世界一長いスイーツが誕生!121mのイチゴケーキ『フレジエ』に大歓声」

https://x.com/leparisien_95/status/1915100580483105234?s=12
※見事達成!Le Parisien Xより



 
結果、フレジエは全長121.88メートルと、イタリアの記録を20メートル以上も上回る「世界一」として認定されることに。完成したフレジエは、およそ6,000切れにカットされ、地元の子どもたち、高齢者施設の人々や警察官、消防士たちに贈られた。
 

パリ最新情報「フランスで世界一長いスイーツが誕生!121mのイチゴケーキ『フレジエ』に大歓声」

 
「今回は単なるパティシエの技の披露ではなく、私たちの美しいフランスへのオマージュです」
こう語ったアルジャントゥイユ市長のことば通り、フレジエは、フランスの特産品とパティシエの情熱がたくさん詰まった、愛らしくも誇らしいスイーツだ。昨年は別の街で「世界一長いバゲット」が誕生していたが、集まった観客の多さには毎度のように驚かされる。今回もまた、人々がフランスの文化や手仕事に誇りを持っていることが熱く伝わってきた。(大)
 

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