欧州最新情報
欧州最新情報「節約アプリを使いこなそう!『Too Good To Go』」 Posted on 2025/03/17 Design Stories
世界各国で物価高が進む中、少しでも節約をしていく上で欠かせないアプリがある。その名はずばり、Too Good To Go(以下、略してTGTG)。これを使うと、本来なら廃棄されてしまう売れ残った食品を、定価の70~80%割引という驚くべき価格で購入することができる。2015年に「世界中の食品ロスを削減すること」を目標に設立されてから、欧米諸国へと瞬く間に広がった。残念ながら日本にはまだ導入されていない。環境問題に対する意識の根強さからだろうか、とりわけフランスでの利用率は高く、人口の4人に1人が登録している。
TGTGについては以前にもDesign Storiesで紹介しているが(https://www.designstoriesinc.com/europe/1804_antigaspi/)、今回は具体的なアプリの使い方も含め、筆者が実際に試してみた感想をお届けしたい。
TGTGを扱っているお店は、パン屋さんやカフェ、スーパー、八百屋さん、ホテルなど様々。「サプライズ・バッグ」というのがコンセプトで、商品は店員さんがランダムに選ぶ。つまり、何が入っているかは開けてからのお楽しみ。写真はMonoprix(スーパー)を利用したときのもので、ヨーグルト、チーズとハムのクロワッサン、サラダ、ガレット生地、ライスコロッケ、そして餃子と盛り沢山。こんなに入っていて値段はたったの3.99ユーロ(約640円)という安さ。全部にオレンジ色の割引シールが貼られているが、それでも売れ残ってしまったのだろう。試しに書かれてある金額を全部足してみると15.44ユーロだった。TGTGがいかに破格の値段で提供しているのかがわかる。賞味期限は基本的にその日中か翌日で、たまに1日過ぎていることもあるが、すぐに冷凍してしまえば問題ない。
余談だが、「サプライズ」という文字通り、こちらの餃子には心底驚かせられた(笑)。口に入れた瞬間、甘い。よくよくパッケージをみると、なんとキャラメリゼと書かれた文字が!!ボロネーゼソースみたいな味で、かなり衝撃的だった。自分では絶対に手に取らない代物だが、食品ロス削減に貢献したと思って前向きに捉えたい。
前提として、アプリの入手についてだが、例えばiPhoneで日本のApple IDからApp Storeにアクセスしてもダウンロードができない。聞くと、意外とみんな知らずにここで諦めてしまう人が多いのだが、実はApple IDは複数個作ることができる。滞在している国がTGTGを実施していれば、そこで新しく設定したIDに切り替えるとアプリを取得できる。
実際の使い方は、まず、購入したい店舗を事前に予約する。予約ができるのは早くて受け取り日の前日か当日。店舗を検索する際は、自宅周辺など指定エリア内で探すか、レストランやパティスリーなど、カテゴリー別で探すこともできる。お店を選んだら予約ボタンを押し、登録しているクレジットカードで決済をする。指定された時間になったら商品を受け取りに行き、完了だ。前払いという点が最初は少し不安だったが、決済と同時にメールで領収書が届き、アプリ内にも注文履歴として反映されるので、そのまま店員さんに見せればすぐに対応してもらえる。
ちなみに、予約が完了した後の画面がこちら。私たちユーザーは、食品廃棄の運命にあった食べ物たちを救った「ヒーロー」と認定してもらえる。
日本でもおなじみのパン屋さん、PAULでもTGTGを実施している。注意点として、スーパーなどは日中の受け取りが可能なのだが、パン屋さんの指定時間はほとんど夜遅くに設定されている。営業終了時の段階で余った商品が提供されるため、大体どこでも20~22時となるのだった。
この日のバッグには、ツナとハムの2種類のサンドイッチに加え、フランボワーズのタルトが入っていた。全部で3.99ユーロ。普通に買ったら1本で5~6ユーロはするところなので、とってもお得。品質もしっかりしていておいしかった。
※八百屋さんのバッグには、トマトやにんじん、果物(4.99ユーロ)。きゅうりは傷んでしまっていて食べられなかったので、野菜系は少し賭けかもしれない。
※サンドイッチのチェーン店サブウェイでは、パンとクッキー(3.99ユーロ)。
Too Good To Goを上手く活用すれば、月々の食費を大幅に抑えられる。中身がわからないのである程度のリスクは伴うが、それでも物価が高騰している中、これだけ安価に購入できるというのは素晴らしい。お財布にも環境にも優しいこの取り組みが、今後アジアでも普及されることを願いたい。(あ)