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メトロより徒歩。フランスの人は『歩くこと』が本当に大好き! Posted on 2025/03/10 NANA メイクアップアーティスト パリ

 
3月の夜、フランス人の友人とパリで食事をした帰り道のことです。店を出ると、すぐそばに地下鉄の駅がありました。しかし、友人はそれには目もくれず、当たり前のように言います。
「右岸まで歩こう!」
彼女によれば、最寄りの地下鉄を使うより、歩いたほうがかえって楽なのだそうです。目的地は、右岸にあるシャトレ駅(パリ中心部の大型駅)。地下鉄なら3駅分の距離を、私たちは歩いて向かうことになりました。セーヌ川を挟んだ道を、おしゃべりを楽しみながらひたすら進みます。

それでも、グループの中で「歩きたくない」という人は誰一人いませんでした。3月に入り、パリの陽ざしはぐっと暖かくなっています。夜は少し冷えるものの、昼間の陽ざしの余韻が残っているせいか、私たちのほかにも多くの人が道を歩いていました。
 

メトロより徒歩。フランスの人は『歩くこと』が本当に大好き!



 
このようにフランス人(特にパリの人)は、地下鉄の数駅分を平気で歩いてしまいます。どうしても車が必要な人や体調の悪い人は別として、1km〜2kmの距離ならまったく問題なし。私としても、「メトロを使おう」と感じる距離が、日本にいたときよりずっと長くなったなと感じます。
 

メトロより徒歩。フランスの人は『歩くこと』が本当に大好き!

※3月のパリは歩く人でいっぱい!

 
とはいえ、パリでは「歩かざるを得ない」状況に直面することも。ストライキが多い公共交通機関、エレベーターが故障しているアパルトマン、そして車の利用がますます難しくなっているパリ市の環境対策……。こうした事情から「もう自分の足で歩くしかない!」と、半ば仕方なく歩いている人も多いでしょう。
しかしそれが長年続くと、いつの間にか歩くことがライフスタイルの一部になっていきます。 最初は「たまたま」歩く時間が増えただけだった私も、気づけば歩くことが大好きに……!
 

メトロより徒歩。フランスの人は『歩くこと』が本当に大好き!



 
パリがコンパクトな街であることと、周りの景観が素敵なのも歩く理由に挙げられると思います。けれど私が興味深く感じるのは、フランス人が海外旅行先でもよく歩いているという事実です。
たとえばフランス人の友人が日本を訪れた際に、地元の街を案内したことがありました。神社やお寺、公園、日本食レストラン……と、徒歩で移動したのはかなりの距離。しかし、私が「タクシー乗る?」と声をかけても、全員が「ノン」と首を振ります。
理由を聞くと、「リアルな日本の風景を感じたいから」とのこと。確かにそれもあるのでしょうが、フランス人にとって歩くことは日常の一部になっています。だからこそ、迷うことなく「ノン」と答えたのだろうな、と私は思いました。
 

メトロより徒歩。フランスの人は『歩くこと』が本当に大好き!



 
フランスの地方では逆に、自家用車が必須です。そのため、パリジャンのような歩き方をする人は少ないかもしれません。ただ地方に暮らす人々は、ワンちゃんと暮らしている人が大変多いイメージ。ワンちゃんとの散歩の距離もすごく長くて、1日3回、合計で毎日10キロ歩く(!)という人もいるほどです。
日本食よりヘビーで、デザートも多めなフランスの食事。それでもスリムな人が多いのは、やはり「よく歩く」習慣が関係しているのかもしれませんね。
 

メトロより徒歩。フランスの人は『歩くこと』が本当に大好き!

※散歩の途中で入るカフェが楽しい!



 
そんなフランス人の足元を観察していると、ほとんどの人がペタンコ靴を履いています。中でもスニーカーが圧倒的に多く、ヒールはあっても数センチほど。靴選びも「人からどう見られるか」ではなく、「歩きやすさ」や「自分がいかに快適でいられるか」を優先しているように感じます。
 

メトロより徒歩。フランスの人は『歩くこと』が本当に大好き!

 
こうして3月に入ってからは、多くの人が楽しそうに街を歩いています。彼らにとって歩くことは、単なる移動手段ではなく趣味のようなもの。陽の光を浴びながらビタミンDを補うことも、心と体が求めているひとときのように感じます。
これからフランスでもしばらく三寒四温が続くと思いますが、真冬の頃と比べて太陽の位置は確実に高くなりました。この時期から初夏にかけて、フランス人にとってはまさに「歩きたくなる季節」の到来です!
 

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Posted by NANA

パリ在住。世界の美容とコスメのトレンドを追いかける