JINSEI STORIES
春だね、豆ごはんの季節到来!息子と大卒後の人生について語り合ったべ Posted on 2025/03/05 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、「季節を食べる」、大事なことであーる。
ということで、今日は豆ごはんを作って食べた。
エンドウ豆を別に茹でて、そのゆで汁で、ご飯を炊く。豆は最後に、炊き上がった炊飯器の中にエンドウ豆をぶちこむ、そうすると色鮮やかな、形もいい「豆ごはん」が出来るという寸法であーる。えへへ。
やってみてちょ。
さて、息子君がやってきた。ご飯の時に遅れて、ガールフレンド君もやってきた。
なんで、遅れてくるのかというと、ぼくと息子は日本語で話をするので、彼女さんは日本語がわからないから、手持無沙汰になってしまうし、好奇心の旺盛な子なので、何を話しているか聞きたがるのだ。笑。
だから、一時間、遅れて来てもらった。
で、息子とは、大学を出た後、マスターを取得する方法とか、どういう就職につきたいのか、とか、かなり突っ込んだことを話し合った。
とはいえ、マクロ経済とか、マイクロ経済について話されても、もはや、ついていけないレベルだったので、
「で、それやると、いくらかかるの?」
と、聞いた。あはは。
「うんとね、ぼくね、パパに迷惑かけたくないから、銀行から借りて大学院へ進もうと思うんだ。フランスの銀行には、そういうシステムがあるんだよ」
「へー」
ちょっと、驚いた、父ちゃんであった。借りる???
「でも、けっこう、借りないとならないだろ?」
「ま、学校によるけれど、・・・ユーロくらいかな。一年間で」
「そんなに? 返せるの?」
「返そうと思わないと勉強に身が入らないから」
え、えらいな・・・。
ちょっと、うるっときた父ちゃんだった。
いつもだったら、ここで、
『パパがそれくらい払うよ』
というのだが、ここは彼のためにも、自分で借りて卒業させる方がいいだろう、と思ったのだった。
ここまでやる気があるんだから、背負った方が身も引き締まるというものであろう。今の息子なら、出来るかもしれない。ダメな時に、助け船を出せばいいじゃないか。
「わかった。じゃあ、好きにやったらいいよ」
このような会話を小一時間した頃に、ガールフレンド君がやってきたので、ご飯、とあいなった。
そこからはフランス語にチェーンジ。
ガールフレンド君、南フランスのクッキーを持ってきてくれた。気がきく、すごいな、と思って、また、涙が出そうになった。
「仕事のあいまに、甘いのをどうぞ」
おおお、いいねー。
横に息子がいる。すでに、「二人はセット」のように見えた・・・。
息子が、なぜか、ちょっと大人になっていた。
去年までの息子とはぜんぜん違って見えるのだ。大人びている。ガールフレンド君も、しっかりしているので、二人で人生設計をしてるんだろうな、たぶん、そうだろう。
・・・。
ぼくは、過去を振り返った。
この子が生まれた時から今日まで、走馬灯のように映像が頭の中を過っていった。
「そうか、そうか、よかった」
ぼくはワインを飲みながら、一人、ごちた。
息子とガールフレンド君はお酒をのまない。
二人は、豆ごはんを、美味しい美味しい、といって食べてくれた。
安心した。
※ 中華風蒸し魚プレート! 白身魚を蒸して、葱をたっぷり。その上から熱したごま油を大量にかけて、ちょっと醤油をまわす、だけ。最高です!!!
※ ガールフレンド君がくれた、南仏のクッキー。ボンマルシェで買えるようです。美味しかったよー。
※ 大根と梅の味噌汁。梅流しを味噌で溶いたもの? 身体にいいんだよね。
ということで、今日はその豆ごはんに添えた「胡瓜と白菜のおつけもの」のレシピ!
まずは、胡瓜と白菜を適当に切って、ボウルに入れ、塩をふる。ぼくは1,5%から2%くらいの軽めの塩、と決めている。
しばらく、おいておいたそれらを、ぎゅっと絞って、水でさっと洗う。
そしたら、塩昆布をふりかけて、ジップロックにいれ、冷蔵庫に放り込んでおけば、完成となる。
これが、薄味で、美味しいのだ。塩昆布、万能ですね。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
三四郎は、息子とそのガールフレンド君がやってくると、もう、嬉しくって、こうなっちゃいます。この安心しきった態度、どう思います? 生まれた時から一緒だから、三四郎にとっては、兄貴っていう感じなんでしょうね。家族の絆、ここにあり。ふふふ。
※ 3月5日、日本時間22時、生放送ラジオ・ツジビルやります。ご視聴ご希望の皆さんは、下のTSUJIVILLEバナーをクリックください。
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