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フランスごはん日記「手巻き感覚のアジアンスパイシーポークグリルで、今日を乗り切る!」 Posted on 2025/02/01 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、「内臓が痛い」と息子からメッセージが飛び込んできた。内臓が痛いって、どこの内臓、と訊くと、すい臓あたりだ、という。
「沈黙の臓器って言われているんだから、そこが痛いってのは、アウトだぞ」
と言ってやった。
盲腸の反対くらいの場所に痛みがある、というのだ。
「とにかく、医者に行くように」
とすすめた。
息子が住んでいる地区にジェネラリストがいることを調べたので、とりあえず、予約をし、そこにいかせた。
自分もちょっと痛いところがあったが、今朝、起きたらなんともなかった。
神経質になってもいけないけれど、検査はした方がいい。
そわそわしながら、待っていると、数時間後、電話がかかって来て、
「なんでもないって」
と言った。
「すい臓じゃなかったの?」
「なんでもないんだって、ちゃんと調べたけれど、なんでもないから、帰りなさい、と言われた」
あはは。人騒がせな・・・。
でも、誤診もあるかもしれないから、しばらく様子をみよう、ということになった。明日、また、電話をしてみることにする。そのくらい、しなきゃね・・・。
ということで、心配したら、お腹が減った。
冷蔵庫を覗いたら、豚の三枚肉があった。賞味期限切れ、である。ああ、期限、昨日までじゃん。でも、大丈夫やろ、一日くらい・・・。
けっこう、量があるけれど、もう、今日食べるしかない、そういうことはよくある。
ありませんか?

フランスごはん日記「手巻き感覚のアジアンスパイシーポークグリルで、今日を乗り切る!」

ということで、残ったら、明日も食べればいいので、賞味期限切れ豚肉を、とりあえず焼いて、バタビアという葉っぱ、日本だと、菜っ葉に近いけれど、もっと大きくて、あっさりしていて、美味しいやつ・・・。
じゃあ、バタビア巻きのカリカリポーク手巻き、なんて、どうだろう?
脂が苦手なので、フライパンでよく焼いて、脂を落とし、カリカリにする。
付け合わせは、ポワロー葱があるので、白髪ねぎ風にカットし、唐辛子パウダーとか、辛いものをいろいろと加えた。なんでもいい。

フランスごはん日記「手巻き感覚のアジアンスパイシーポークグリルで、今日を乗り切る!」



辛いスパイスで味付けをする。
中国風でも、韓国風でも、ベトナム風でも、モロッコ風でも、アルジェリア風でも、イタリア風でも、好きにすればいい。唐辛子スパイスは世界共通なのだ。
フランスだと、「エスプレット唐辛子」というのがある、ピーモン・ド・エスプレット、と発音するのだが、高級スパイスで、これが、品がよくて、美味しい。
これは、ユステリッツ村を含むエスプレット村周辺10箇所の村で営んでいる生産者だけが使うことができる名称なのだそうだ。ふーん、調べてみた。あはは。
かなり上品な辛さなのである。
よーし、今日はこれを使うぞ!!!

フランスごはん日記「手巻き感覚のアジアンスパイシーポークグリルで、今日を乗り切る!」

これだけでも、美味そうじゃ。

フランスごはん日記「手巻き感覚のアジアンスパイシーポークグリルで、今日を乗り切る!」

フライパンに油をひかず、そのまま、じっくりと焼いていくのがコツ。クッキングペーパーですいとっていこう。

日本の味噌が何種類かあって、それに唐辛子を入れて、ちょっと風味豊かなスパイシー味噌ソースを作った。

フランスごはん日記「手巻き感覚のアジアンスパイシーポークグリルで、今日を乗り切る!」



で、ご飯は、タイの玄米を合わせることにしたのだ。アジアンカンフー料理っぽくなるのである。
タイの玄米は、ちょっと細長いのだ。これが、美味い。
水を白米よりは多めにして、そこに、生姜をがっつり入れて、バター少量、塩ちょっと、オリーブオイルを少々垂らし、普通炊き。
すると、すごい風味溢れるご飯が出来上がるという仕組み。
これに、豚の三枚肉のカリカリがよくあう。
ううう、ビールかな・・・・。

フランスごはん日記「手巻き感覚のアジアンスパイシーポークグリルで、今日を乗り切る!」



はい、ま、自分のことはあまり心配したことがないのである。こんな人間だから、なるようにしかならないし、・・・。
でも、息子は前途ある青年だから、大学院を卒業するまで、お父さんは気がかりなのだ。
幸いにも、心優しいガールフレンド君がそばにいてくれるおかげで、彼の心は保たれている、満たされている、みたいだね。
だから、あとは健康だけ注意して、頑張ってほしい。
何か、夢があるようだから、少しでもそこに近づけるといいよね。
はい、みなさんも、カリカリ豚の手巻きアジア飯、やってみてくださいな。
ぼんぼん、ボナペティ!

フランスごはん日記「手巻き感覚のアジアンスパイシーポークグリルで、今日を乗り切る!」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
はやいもので、もう、2月になりましたね。フランスは「降ったりやんだり」です。いろいろと人生ですからありますが、熱血で、今年も乗り越えていこうと思っていますよ。負けそうになったら、美味しいものをジャンジャン炒めて、がんがん食べてくださいまし。父ちゃんからのお願いです。ご自分を大切に。

フランスごはん日記「手巻き感覚のアジアンスパイシーポークグリルで、今日を乗り切る!」

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