JINSEI STORIES
フランスインテリア日記「フランス人のアトリエ兼住居が半端なく凄かった。こんな世界があるんや!」 Posted on 2025/01/20 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、今日はすごい世界をご案内したい。インテリア日記となる。
フランス人写真家のトマさんと、その奥さんの編集者、アフィーダさんが暮らす家に招かれたのだけれど、そこが、25年前までは工場だったのだ。
そこを分割し、6アーティスト(写真家や画家、彫刻家)などがアトリエ兼住居としてつかっていた。ひと区画の広さが、250平米で、トマさんのところには同じ広さの庭もついていた。
場所は、パリの郊外で、ま、ちょっと危険な地区ということもあり、25年前に購入した時は、格安の物件だったのだ、とか。(今は、もう普通に買うことは不可能なほど、高騰している・・・)
ということで、アトリエ兼住居の写真を撮影してきたので、一緒に、見てみましょう。こういう世界をぼくもノルマンディに作りたいと思ってはいるのだけれど、さすがに、こんなかっこいい世界、創れないだろうな~、笑。
まずは、外観だけれど、まさに昔の工場の跡地、しかし、中にはいると、超モダンな世界が広がっているのである。手前には、竹が埋められていて、京都の嵐山のような竹林小道が、奥までずっと・・・。びっくり、しました。
一階は、彼がオートバイやスポーツカーを集める趣味があるので、ガレージ兼フォトスタジオになっている。(スタジオは奥の方にあります)
そして、写真撮影忘れちゃったけれど、突き当りにドアがあり、出ると、広々とした中庭が・・・。ミュージアムの中庭という感じ。
お馴染み、友人のトマであーる。
彼の愛車は、ドゥカッティ、ホンダ、ハーレーなどなど、・・・。
階段をあがると二階が仕事部屋兼住居となっている。キッチン、バス、サロンがあり、奥さんとトマのそれぞれのデスクがあった。特筆すべきところは、天井が吹き抜けで、ガラスの窓になっており、巨大なサンハウスを想像してもらいたい。ここにある階段を上ると、寝床、寝室があって、夢のような世界が待ち受けていた。
猫の名前は、じゃな。
サロンには、テーブルが置かれ、ここで食事をする。壁には自分の写真がずらりと並んでいるのだ。アラーキーさんの写真もあった!
フランス人って、人を招くけれど、日本人みたいに一生懸命料理はしない。知り合いの肉屋さんとかが作ったものをしっかりと温めなおして出す。でも、アルコールだけは、足りないは許されないのか、途切れることなく、次々に出てくるから、不思議。
お招きをされたら、何か、喜ばせるものをもっていかないとならない。ぼくは3つのギフトを、用意した。
1,山崎のウイスキー
2,話題のチョコレート。オランジェットの凄いのが出た。いつかご紹介します。アレノ&リヴォワール!
3,ぼくの歌。
やっぱり、この3番が、一番盛り上がった。あはは。
二階の一番奥に、書庫があり、外をみながら、ここでは読書などをする。トマとアフィーダはこの空間を奪い合っている模様・・・。
さて、長いアペロが終わると、いよいよ、「ア・ターブル(ご飯だから、着席~)」みたいな感じになる。
今日は、あにょー(子羊)のスパイス煮込みと、付け合わせは、ご存じ、グラタンドフィノアなのだった。
子羊はフランス人、大好物で、しかし、今日食べたものは、臭みが一切なく、かつてこのようなものを食べたことがない、と驚くばかりの一品であった。(よく訊いたら、知り合いのシェフがわざわざ、日本人アーティストのために、半日かけて作ってくれたのだとか、ううう、ありがたや)
そして、フランスの郷土料理ナンバーワンとも言われる、グラタンドフィノアなのである。
これは、じゃがいも、牛乳、で作るシンプルなグラタンだけれど、実に、実に、実に、美味いのだ。今度、レシピ、やりましょうか?
子羊には、じゅー、という煮込んでいる時にでるソースをかけて食す。とにかく、スパイスの絶妙の味付け、いや、食べたことがなかった!!! まだ、まだ、世界は広いのだ。とにかく、柔らかくて、口の中でとろけるのだけれど、絶妙の食感が残っている。
これが、グラタンドフィノアなり。
途中、ぼくは、ルイ・アームストロングの「わった・わんだふる・わーるど」を歌ったのだけれど、アフィーダが目を潤ませて、拍手をしてくれたのが、嬉しかった。心を込めて歌いたかった。
そして、奥に、ミニチュアダックスフンドのテクシーちゃんがいるのが見えるでしょうか? 彼女、ぼくが歌い終わると、寝ていたのに飛んできて、飛びつかれ、彼にとっての、拍手なのかな、ぺろぺろ、やられた。
実はこれを歌うと、三四郎も飛んできて尻尾をふりふりしながら、ぼくの顔を舐める。犬には、とくにミニチュアダックスフンドには、響くのかも、・・。
ともかく、ギターを持って行って、よかった、こういう余興が一番だものね。
出張歌手、やっています。パリ市内なら、どちらへでも。笑。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
美術関係者、画廊関係者が集まったので、進展がありました。次回のパリでの個展、多分、10月の中旬から10月いっぱい、2週間、パリ市内で、開催されることに。詳しい開催期間などは、また、ご報告しますが、今度は、半月になるので、じっくりとやりたいと思っています。10月が待ち遠しいですねー。
はい、三四郎と生きた3年間が一冊に。予約開始しています。そして、次回のラジオ・ツジビルは、25日を予定!
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