PANORAMA STORIES
眠い冬、フランスの猫もいろいろな場所で寝る Posted on 2024/12/22 ルイヤール 聖子 ライター パリ
朝は9時近くまで日が昇らないフランスで、黒猫「ウンベルト」は本当によく眠るようになりました。一日の睡眠時間としては15時間くらいでしょうか。夏場に比べると、明らかに「省エネモード」に入っているのが分かります。
※クッションとひざ掛けの間が大好きな黒猫「ウンベルト」
クローゼットの中、冷蔵庫の上、キャットタワーと、その日そのときの気分でお気に入りの寝床を見つける猫ちゃん。わたしが飼っている黒猫ウンベルトも、家のあちこちで自由気ままに眠っています。ただ“黒猫あるある”なのが、黒すぎて、どこで寝ているのか分からなくなってしまうこと。「ウンベルトどこいった?」と、一日一度は探しているような気がします。
お気に入りの寝床がコロコロ変わるのは、日本の猫ちゃんもフランスの猫ちゃんも一緒みたいです。そして、すぐ飽きてしまうところもまた一緒。しかしフランスのインターネットを見ていると、猫の寝床アイテムに若干の違いがあることが最近分かってきました。
フランスの暖房をご存じでしょうか? もっとも一般的なのは、写真のような電気式の暖房です。わたしが面白いと思ったのは、この暖房に引っかけるタイプの「猫ベッド」が販売されていることです。ベッドは簡単に取り付けられ、耐荷重は5kgまでOK。寒いフランスで暮らす猫ちゃんのための、あったかグッズなのだそうです。他には「ハンモック」タイプもありました。
※毛布のような素材で、こんな形でした
日本でもたくさんの猫ベッドが販売されていますが、フランスでは寒さのせいか、あったか&ふわふわの猫ベッドが多いように感じます。知り合いの猫好きなフランス人に聞いてみると、猫ちゃんたちの今のお気に入りは、やっぱり「暖炉のそば」なのだとか。彼女は5匹の猫ちゃんと暮らしていて、それぞれの寝床(猫用パニエ)をリビング、仕事部屋、寝室と、すべての部屋に置いているそうです。
※12月以降はペットショップにクリスマス風の猫ベッドが並ぶのも、フランスらしいですね
逆に、日本にあってフランスにないものといえば「炬燵」でしょうか。猫は炬燵で丸くなる、という歌が恋しくなってしまうほどフランスには炬燵がありません……。そもそも、床に座る文化がないフランス。セントラルヒーティングが効いているとはいえ、足元はしっかり冷えます。そんなとき日本人であるわたしは、「炬燵にウンベルトと一緒に入りたいな」と思いながら、「日本の炬燵にはフランスの猫もとろけてしまうんだろうな」とイメージしてしまうのです。
このように「自由」で「ぬくぬく」がとっても似合う猫ちゃん。あるときはソファの上、またあるときは床に置いた段ボール。パソコンの前、洗濯カゴの中、ピアノの上……。猫は本当にいろんな場所をお気に入りにしてしまいます。
飼い主であるわたしは、そんな猫のトレンド(?)を見るのが結構好きだったりします。「昨日までお気に入りだったのに、今日は違う場所?」なんて思いながら、幸せそうな寝顔を眺めて毎度ニコニコしています。
さらに、猫が暖を求めて人間にくっついてくるところも冬のメリット。冬のフランスは暗くて苦手ですが、猫がからだを預けてくれるその温もりは、冬のフランス生活に欠かせないものになりました。
※冬、寝るときは人間に触れていたいウンベルト
12月21日の冬至は、フランスでも一年でいちばん暗い日でした。これから少しずつ昼間が長くなるのは嬉しいけれど、ウンベルトには一年中、変わらず飼い主にくっついたまま寝ていてほしいな、というのが本音です。
Posted by ルイヤール 聖子
ルイヤール 聖子
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猫と香りとアルザスの白ワインが好き。