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パリ最新情報「1年を締めくくるデザート『ブッシュ・ド・ノエル』。今年はどんなデザインが?」 Posted on 2024/12/17 Design Stories
クリスマスが近づくと、パリのパティスリー巡りがますます楽しくなる。街のパティスリーに並ぶのは、毎年恒例のクリスマスケーキ「ブッシュ・ド・ノエル」の新作たち。年々クリエイティブになるブッシュ・ド・ノエルに、「今年はどんな作品が登場するのだろう?」とワクワクするのも、この時期ならではの楽しみだ。
フランスのクリスマスディナーに欠かせないデザート、ブッシュ・ド・ノエルは、丸太を横倒しにしたような独特のデザインをしている(クリスマスに薪を燃やした灰が厄除けになる、という古い言い伝えから)。
2024年はそんな「定番」と、「オリジナルでスタイリッシュ」なブッシュ・ド・ノエルの両方を見ることができたので、その一部をご紹介したい。
モンブランで有名なパティスリー「アンジェリーナ」からは、キャンドルスタンドをモチーフにしたスタイリッシュなブッシュ・ド・ノエルが登場! もはや“オブジェ”とも言えるこのケーキは、パリで人気のインテリアデザイナー、サラ・ラヴォワンヌ氏とのコラボレーションなのだそう。サクサクとしたダークチョコレート層の下には、アンジェリーナ定番のマロンクリームとピュレ、メレンゲ、そしてカシスのクリームが絶妙に組み合わされている。
フレンチマダムに大人気のパティスリー「クリストフ・ミシャラク」では、日本を意識したユニークなブッシュ・ド・ノエルが揃った。一つは、フランスのスイーツ界で定番化しつつある“柚子”を取り入れたケーキ。柚子風味のクリームとライムの組み合わせが特徴で、爽やかでさっぱりとしたフレーバーを楽しめるとのこと。
※Christophe Michalak Instagram
https://www.instagram.com/p/DCyUh4FgHgk/?img_index=1
そしてもう一つは、日本の寿司をイメージしたという「スシ・フランボワーズ・リッチ 」だ! 石のプレート、マグロの寿司、木のお箸……と、ブッシュ・ド・ノエルとは思えないユニークな見た目だが、実はこれらすべてがケーキで、まるごと食べられるように作られている。その味わいは、フランボワーズやラズベリーに、チョコレートとガナッシュの濃厚さが調和したもの。近年のパリで増えている、“グルテンフリー仕様”なところにも注目が集まる。
フィナンシェや“本のケース”に入ったチョコレートで知られる名店、ユーゴ・エ・ヴィクトールからは、スイーツ好きに嬉しい「クレームブリュレ」のブッシュ・ド・ノエルが登場した。しっとりとした生地に包まれたクリームには、ヘーゼルナッツやホイップ、そして世界の3か国から厳選されたバニラを使用(表面にあしらわれた花びらはチョコレート)。2024年のパリでは、このように「つるん」と滑らかな見た目のブッシュ・ド・ノエルが多く見られたことも印象的だった。
一方で、パリ最古のパティスリー「ストレー」は、同じく歴史あるチョコレート店「ア・ラ・メール・ド・ファミーユ」と共同でブッシュ・ド・ノエルを発表した。ラインナップは、香ばしいヘーゼルナッツ風味の「ロシアン」、さわやかな酸味が特徴の「バニラ・フランボワーズ」、そしてマンゴーとパッションフルーツを組み合わせた「エキゾチック」の3種類。さらに、丸太をイメージした伝統的なブッシュ・ド・ノエルも販売されており、歴史あるパティスリーならではのクラシックな味わいが楽しめる。
※番外編、チョコレート専門店「パトリック・ロジェ」ではクリスマスツリーのチョコレートが
パリのブッシュ・ド・ノエルはこうして、年々クリエイティブなデザインへと進化を遂げている。王道にするかスタイリッシュにするか、迷うところではあるが、自宅で手作りするブッシュ・ド・ノエルもまた素晴らしい。いずれにしろフランス人にとってのブッシュ・ド・ノエルは、1年で最も豪華なディナーの最後を飾る、主役級のデザートだ。(こ)