PANORAMA STORIES
フランスの猫とホリデーシーズン。クリスマスはどうする? Posted on 2024/12/11 ルイヤール 聖子 ライター パリ
クリスマス前のフランスは、独特な雰囲気に包まれます。日常の慌ただしさを少しずつ手放し、ホリデーシーズンに向けて準備をはじめる人々。そんな特別な日々が近づくと、わたしの頭にはある一つのことがよぎります。
ー「猫は、どうする??」
※野良の黒猫ちゃん
わたしたちの猫、ウンベルトは食いしん坊で、とてもビビりな男の子。来客があるとクローゼットに逃げ込み、姿を消してしまう臆病さから、最近では「お坊ちゃま」という日本語のあだ名が定着してしまいました。
今では一泊や二泊のプチ旅行も、すっかり控えるように。猫がリラックスできる環境を保つことが、わたしたちの課題になっています。
とはいえ、年に一度の日本帰国だけは避けられません。快く預かってくれる方を探す必要があります。
そこで頼りになるのが、猫好きな友人や猫シッターの存在です。ペットホテルの少ないスランスでは、猫をそれぞれの自宅で預かり、一緒に暮らすように世話をしていただけるのです。
夏休みはわたしたちも友人家族にウンベルトを預けましたが、「可愛い!」「写真とったよ!」という言葉をもらったときには、まるで我が子に向けられた言葉のように嬉しく感じました。
※しかし初日はバケツの中で過ごしてしまったそう
数週間も離れていたせいか、わたしの頭はやはりウンベルトでいっぱいに。友人宅で楽しそうに過ごしている彼を思い浮かべながら、猫用のにぼしやカツオぶしなど、フランスでは買えないおやつをたくさん購入してしまったのでした。今もまるで永遠の片思いをしている気分です。
※バカンス先でもクローゼットに侵入
さて夏の次にやってくるのが、クリスマス休暇です。夏休みほど長くはないものの、みな数日〜1週間は休みをとり、家族全員で食卓を囲むという伝統があります。
その間、ペットはどうするのでしょうか? 実はフランスでは、ワンちゃんや猫ちゃんも家族の一員として一緒に移動します。そのためクリスマスシーズンになると、ペットを連れた人々がフランス各地で大移動する光景をあちこちで見かけるのです。
わたしたちも今年はウンベルトを連れて、海沿いのおばあちゃんの家でクリスマスを過ごすことになりました。
「猫は家につく」と言いますが、クリスマスは猫シッターさんもお休みです。誰もいないパリの部屋にウンベルトをひとり残すことはできません。
ということでわたしたちは彼が安心して過ごせるよう、おばあちゃんの家に少しずつ通いながら、屋根裏部屋を整えるようになりました。
おばあちゃんの屋根裏部屋は普段、古い家具や思い出の品がしまわれている静かな空間です。窓からは海が見え、やわらかな冬の日差しが差し込むその場所が、ウンベルトにとって特別な隠れ家になればいいなと思いながら。わたしはお気に入りの毛布やおもちゃをそっと置き、ふたたびパリへと戻りました。
おばあちゃんは、わたしにとっては義理の母です。海辺に引っ越したばかりの彼女は、もともと犬派。しかし「ウンベルトも家族の一員」と迎え入れてくれるその姿に、フランスらしいクリスマスの温かさを感じています。
一方、黒猫ウンベルトは、保護施設を卒業してはじめてのクリスマスを迎えます。ホリデーシーズンがストレスにならないよう、いつも以上にやさしい場所を用意したいと思っています。
Posted by ルイヤール 聖子
ルイヤール 聖子
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猫と香りとアルザスの白ワインが好き。