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フランスごはん日記「食欲のない時にこそ、イタリアのカルボナーラ! Posted on 2024/12/10 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、今日の空はターコイズ色であった。
ノルマンディは、風が冷たい。
昨日まで嵐だったので、木々が倒れて、列車が止まっている。
海と空の境目を見ながら、朝から、電話とかラインでほうぼうの方々とやりとりをした。
さて、今日のフランスのごはん日記、本場イタリアのカルボナーラをご紹介したい。
何も食べていなかったことに気が付き、やはり、こういう時にこそ、きちんと料理をして、ちゃんと食べないといけない、と思った。
「本場、イタリアのカルボナーラ、目安材料」
グアンチャーレ(豚バラ肉の塩漬け)、80g
ペコリーノロマーノ(パルメジャーノでもいいよ。両方混ぜてもいい)ちょっと多め。
ブラックペッパー粒、適量
卵黄2個、全卵1個(ベストは卵黄3個、全卵一個で、二人前を作ることになるが、今日は一人前なので、このサイズ感)

フランスごはん日記「食欲のない時にこそ、イタリアのカルボナーラ!

グアンチャーレは、日本でも、最近買える。
ベーコンで作るのが日本だと主流だけれど、これが、ぜんぜん、違うので、一度、グアンチャーレで試してほしい。
日本滞在している時に、スーパーで、グアンチャーレを見かけた。ネットでも買うことが出来る。
ベーコンでは出せない肉味がある。
大きな違いは、グアンチャーレは豚の頬肉を塩漬けしたもので、塩分、脂分が多い。塩漬けの段階で、スパイスも入っている。
ベーコンは、豚の三枚肉の燻製、らしい・・・。(燻製にしてないものもあるから、この辺、ごめん、詳しくはわからない。ぺこり。ペコリーノ)
グアンチャーレは頬肉で、脂が多い、ということかなァ。

フランスごはん日記「食欲のない時にこそ、イタリアのカルボナーラ!

※ グアンチャーレをすでにカットしてある便利なパックが売っていた。マルシェや、イタリア食材店などだとブロック売りしている。

フランスごはん日記「食欲のない時にこそ、イタリアのカルボナーラ!



なので、フライパンに、カットしたグアンチャーレをそのまま放り込んで、熱する。
オリーブオイルとか入れる必要はない。というか、絶対にいれちゃいけない。
だんだん、火が入っていくと、脂が滲み出てきて、下の写真のようになる。
この脂のソースが、重要になるので、グアンチャーレがカリカリになるまで、火を入れよう。
焦がしちゃだめで、カリカリというか、サクサクになれば、おっけー。お菓子のカールみたいな感じになるのだ。脂が出きったグアンチャーレは、サクサクなお菓子のよう。

フランスごはん日記「食欲のない時にこそ、イタリアのカルボナーラ!

フランスごはん日記「食欲のない時にこそ、イタリアのカルボナーラ!

次に、チーズを削る。
ペコリーノロマーノじゃないといけない。
カルボナーラはイタリアのローマを代表するパスタなので、現地では、ペコリーノロマーノ、ということになる。
ちょっと、乳臭いので、パルメジャーノがいい、と思う時もある。
ぼくは、パルメジャーノで作っちゃうことも多いので、そこは、好き好きで、どうぞ。
両方を半々、混ぜて作ることもあります。

フランスごはん日記「食欲のない時にこそ、イタリアのカルボナーラ!

そこに、卵黄を2個、全卵を一個いれて、泡だて器を使い、高速で混ぜる。
そうすると濃度のあるソースが出来る。
そこに、グアンチャーレから出た脂を大匙2~3杯、入れて、さらに高速で撹拌させていくのだけれど、大量にいれると、熱で卵がダマになるので、ここがちょっとだけ難しい。
泡だて器の速度と、ちょっとだけ粗熱がとれたグアンチャーレの脂を加えると、イイ感じになる。

フランスごはん日記「食欲のない時にこそ、イタリアのカルボナーラ!

※ グアンチャーレの脂が、重要になる。

フランスごはん日記「食欲のない時にこそ、イタリアのカルボナーラ!

濃度はこのくらいでよいが、ローマに行くともっと濃度の濃いものが出てくる。
ぼくが全卵を一個だけ加えるのは、この濃度を少し、食べやすくさせるため。
イタリアの本物のカルボナーラは、濃度が濃すぎて、胃にもたれる。体調のあまりよくない時とか、そういう時は、薄目がいいね。
一個だけ、全卵を入れるのも、日本人にはちょうどいい感じになる。
しかし、絶対やっちゃいけないのは、生クリームをカルボナーラにいれること。
これは、ローマ人から叱られてしまうのだ。
昔、生クリームをいれたカルボナーラを出したら、友だちのイタリア人は、口をつぐんで、頭を左右に振り、ノー、と言った。笑。

フランスごはん日記「食欲のない時にこそ、イタリアのカルボナーラ!

で、サクサクに揚がったグアンチャーレをクッキングペーパーにとりだし、フライパンに残ったグアンチャーレの脂に摺った黒胡椒を入れて、加熱し、脂に黒胡椒感を加える。
火を止め、粗熱がやや引くタイミングを見計らい、ここに、アルデンテに茹で上がったパスタを加え、絶妙に絡まったら、そこに、先の卵黄チーズソースを注ぎ入れて、合える。

コツ。とにかく火を入れすぎないこと。ダマにしないこと。この火加減が、カルボナーラ攻略の最初の壁です!!!!!

フランスごはん日記「食欲のない時にこそ、イタリアのカルボナーラ!



すると、このようになるのだ。
ダマにならないように、火の加減をよく見てやる。
ダマになると、やはり、カルボナーラとしては失敗になってしまう。
しかし、こういう失敗は人生につきもの。
失敗は成功の基だから、がっかりしないで、そこから、学びとり、次回、最高のカルボナーラを作ることが出来ればいいのである。
大丈夫です。レッツ、トライ!
次は、きっと、よくできますよ。
一つ一つ、一日一日、丁寧に丁寧に、食事と向き合い、手を合わせて、頂きます、をしていこう。
美味しいと思うことが、人生には必要なのです。
ボナペティ。

フランスごはん日記「食欲のない時にこそ、イタリアのカルボナーラ!

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それでも、人生はつづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
また、明日。とんとんとん・・・。

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