PANORAMA STORIES
初めてのパリ散歩 ーパリの胃袋をめぐるー Posted on 2024/11/06 堀内 ありさ 学生 サンジェルマン・アン・レー
フランスに来てから約2ヶ月が過ぎた。着いて間もない頃と比べると、日々の暮らしにはだいぶ慣れてきたが、どこへ行くにも何かしらの発見や出会いがあって、毎日が新鮮に感じられる。家の近所をお散歩しているだけでも、一歩小道にそれると小さなカフェがひっそりと隠れていたり、かわいい日本雑貨のお店を見つけたりと、新しいものとの遭遇に心が弾む。
街歩きが楽しいのは、パリもまた同じ。留学先のサンジェルマン・アン・レーから近いこともあり、時間があるとすぐに遊びに行ってしまう。見たいもの、食べたいもの、行ってみたい場所がとにかく多いのだが、特に目的もなくお散歩するのもまた楽しい。至るところに点在するカフェと無数のテラス、突如として現れるお城、壮麗な教会、広々とした気持ちの良い公園、噴水。町全体がひとつの美術館のような印象で、初めてパリに来たときも今も、静かな感動を与えてくれる。
入国した翌日早々、ホストマザーとその娘さんに連れられてやって来たのは、パリ1区のシャトレ・レ・アール。レアールは、カフェやビストロ、パティスリー、駅に併設されたショッピングモール、パサージュ(アーケード式商店街)などがぎゅっと集結した繁華街。お買い物をするにも何かと便利で、大体ここで何でもそろってしまう。
まず、お昼ご飯へ向かった先はモントルグイユ通り。レ・アール駅からまっすぐ北に伸びたこの通りは、別名「パリの胃袋」と呼ばれているくらい、レストランやビストロ、カフェ、アイスクリーム屋さんなどがびっしりと軒を連ねている。
元々ここは大きな中央マルシェとして栄えていたため、通りにはお魚やお肉屋さん、八百屋さんなども並んでいて、当時の市場の名残をとどめている。
記念すべきパリでの初レストランはここ、Au Rocher de Cancale(オ・ロシェ・ドゥ・カンカル)。3人でぶらぶらと歩きながら、ここにする〜?と何気なく入ったお店だったのだが、実は調べてみると、1804年に創業した由緒あるレストランだということがわかった。アレクサンドル・デュマやバルザックなど、美食家の文豪たちがこぞって通っていた場所らしい。さらに、お店の名前であるCancale (カンカル)はブルターニュ地方の牡蠣名産地ということで、牡蠣はディナーの時間のみ提供しているのだそう
初めて見るフランス語のメニューを前にして、何にして良いものやらと決めかねている私に
ホストマザーが薦めてくれたのは、フランスの伝統料理のひとつ、サーロインステーキとジャガイモのグラタン。
かわいいお皿に載せられたお料理を前にして、3人とも思わず「わあ!」と歓声を上げてしまった。お肉はたっぷりとかけられたソースによく絡んで、とてもおいしかった。グラタンは見た目以上にボリュームがあり、かなりの食べ応え。しかも、お値段も全然高くない。こんな老舗のレストランで、リーズナブルにおいしいものが食べられて、とても満足。パリで最初に食事をした思い出の場所となった。次は名物の牡蠣を食べにまた行きたいなぁ。
ランチの後はサン・トゥスタッシュ教会までお散歩へ。レ・アール駅のすぐ隣にそびえ立っていて、目の前で見ると迫力がある。
現在の教会の姿は1532年の建設まで遡り、完成したのはそこから約100年後。この長い歳月が影響して、建築様式はルネサンスとゴシックが入り混じった形をとっている。教会の後方に置かれた年代記によると、ここで洗礼を受けた人物の中には、ルイ14世の財務総監コルベール、ポンパドゥール夫人、劇作家のモリエールなどがいたみたい。
人混みや喧騒から逃れて、教会に入って美しいステンドグラスを見ていると、気持ちをゆっくりと落ち着かせることができる。毎週日曜日の夕方には、パイプオルガンの演奏会があるようなので、今度聴きに行きたい。
レ・アールは活気のある賑やかな繁華街で、お買い物をしたりおいしいご飯を食べたりするのに最適な場所だ。昔の文豪たちのように、どこかお気に入りのお店を見つけて、行きつけにするのもいいかもしれない。次はどんな発見や出会いがあるのだろうかと、これからの街散策が楽しみでならない。
Posted by 堀内 ありさ
堀内 ありさ
▷記事一覧大学4年生、文学部。フランス、サンジェルマン・アン・レーに交換留学(2024-2025)。
ピアノと外国の児童文学が好き。