JINSEI STORIES
フランスごはん日記「イタリア食材店イータリーで、イタリア人ムッシュのあとを尾行した。笑」 Posted on 2024/10/17 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、どうも、父ちゃんであーる。
パリの右岸に、実に最高のイタリア食材ばかりが揃うEATALY(イータリー)なる食材店があるのじゃ。
と、前回もこういう風に書いたら、
「せんせー、日本にもありますよ。イータリー」
と言われたので、調べたら、おお、あるある、日本、すごい大展開していた。
知らずに、えらそうに語って申し訳ない。
日本は、銀座、原宿、日本橋、湘南、丸の内に、あるではないか!!!
ああ、遅すぎた、父ちゃん、失格じゃああ。
と大げさに、今日はスタートしてみたが、面白かったですか?
ということで、2007年に、トリノに、オスカー・ファリネッティ氏によって、創設された、イタリアの美味い物なら何でもそろうよ、的なマーケットで、レストラン、カフェ、食材店、イベント施設など、複合的にイタリアの食材を扱うところで、パリでも、大人気なのである。
というか、父ちゃんの中では、超人気で、時間ができると出かけていき、イタリア食材を仕入れている。
今日は、美味しいイタリアンを作ろうと思って、ブーブー運転して出かけたのだ。
とにかく、楽しい、最高の場所で、日本にもあるから、もしかしたら、みなさんに、いろいろと今後おすすめできるかもしれない。
ということで、食材コーナーを物色していたら、ぼくが買いたいものを、さっそく見つけたのだ。
それは、イタリアの小麦粉、「ゼロぜロ粉」と呼ばれているもので、これで、父ちゃんは生パスタを作っている。
前回、江國香織さんにも食べて頂いた(笑)、ピチ、というパスタなどは、このゼロゼロ粉がないと、本格的に、作ることが出来ない。
まさに、それに手を伸ばそうとしていると、横からスッと現れたスィニョール(ムッシュのこと)が、ぐいと手を伸ばして、まさに、それを一つ、とったのだ。
「あ、とられた」
と思わず言ったら、
「ああ、すいません。どうぞ」
と日本語でかえされ、逆に、ええええ、となったムッシュ、父ちゃんであった。
ああ、日本語しゃべるんだね・・・。
アブナイところであった。「こいつ、とりやがった、くそー」と言いかけたのだけれど、やはり、根が紳士だから、とっさ、「あ、とられた」に変換・・・。
えへへ。
「いや、大丈夫です。すいません」
とあやまった、父ちゃん。
「ありがとう」
とスィニョール。なかなかダンディーな、ええと、たぶん、40代半ばの髭男爵であった。
「日本語、上手ですね」
「いえいえ」
と言い残して、隣の、生パスタコーナーへと行き、迷わずに、リコッタチーズとほうれん草を練り込んだニョッキを掴んだので、もっと驚く、ためごろう!!!
おおお、迷わず、ゼロゼロ粉を掴み、さらに、迷わず、数多ある生ニョッキの中から、それへとまっすぐに手を伸ばしたこの男、むむむ、ただものじゃない!
燃える~、熱血愛情料理研究家の父ちゃんに火をつけやがった~。
この男が掴んだ、それ、が欲しくなった、父ちゃんなのであった。あはは。
で、ゲット!!!
いろいろとありますが、とりあえず、試してみます。
※ なんで、その人がイタリア人かと思ったか、というとですね。靴下を履いてなかったからです。イタリア人はけっこうな割合で、靴下を履かないし、くるぶしを、みせつけてきます。確かに、みんな、かっこいい!!! 父ちゃんは、ブーツ男だから、外反母趾だし、でけにゃあ。
愉しみなのであーる・ぬーぼー。
じゃあ、生ハムで合わせた方がいいよね。
ということで、その隣にある冷蔵庫の生ハムをゲット!!!
生ハムだぶつ、なのであーる。☜友だちの植野さんのギャグの応用です。
とにかく、ぼくは怪しい男じゃないが、ちょっと、様子を見ておると、このイタリア人男性、仮にムッシュ・スィニョールと呼んでおこうか・・・。
ムッシュ・スィニョールは、迷わず、その隣のフレッシュチーズの冷蔵庫へ行き、またもや、迷わず、四角いモッツアレラか、バッファーロあたりを掴んで籠に放り込んでいた。
走って、現場をおさえたかったが、アブナイ人だと思われて、通報されても、いけないので、遠くから、監視だけしておいた、日本の父ちゃん・・・。
彼が立ち去った後の、場所に行き、ちょっと撮影だけしておいたが、ムッシュ・スィニョールがどれを掴んだのか、までは、さすがに、わからない。
適当に、ひとつを籠の中に、放り込んでおいた。笑。
うううう、おれは、あいつの、後をつけているのか?
これ以上は、さすがにキモイので、もう、見ないようにしようと、思ったので、ムッシュ・スィニョールと反対方向へとむかって、歩き出した、わたし。
あー、尾行しすぎて、のどが渇いた。
ということで、入り口付近にあるカフェに入り、イタリア製のコーラをゲットしたのだった。
ついでに、菓子パンとか、オリーブのフォカッチャとか、も、買い込んだァ。
やれやれ。食いしん坊な父ちゃんなのでした。
で、家に帰り、この、ニョッキ、さっそく、作ってみた。
けっこう、バターを入れた方がいい。
ポワレ、3分と書いてあった。途中で、400gに対してコップいっぱいの水とかかれていたが、400も一人で食べられないので、150g分、作ってみた。
バターを多めにいれて、焼いて、途中で、湿らす程度の水をいれてみた。
確かに、ニョッキであった。
イータリーで買った生ハムを添え、上からパルメジャーノチーズをふりかけた。
こういう感じであーる。
柔らかく、ええと、すいとん、のような食感で、リコッタとほうれん草の味がにじみ出ていた。水の加減で、きっと、もっとうまくできるようになるのかもしれない。
白ワインが、ぴったり、マッチした。
ボナペティート!
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
ま、いろいろなものを食べて、その国の食文化を学んでいる最中の父ちゃんでありました。ほかにもなんやかんや購入したので、また、次回に、報告させていただきます。えへへ。
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次回のラジオ・ツジビルは、25日を予定しております。はい。