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フランスごはん日記「パリに日本人シェフの凄いビストロを発見した! ここは行くべき、恐るべし」 Posted on 2024/10/13 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、この男、ジェロジェロ、覚えているであろうか?
NHKBSの今は懐かしきあの番組「辻仁成のパリごはん」にたびたび、登場していた、インテリアデザイナーのジェロームこと、ジェロジェロ、であーる。
ノルマンディの山奥から、わざわざ、父ちゃんの個展をみにやって来てくれたのである。
そこで、当事務所のグルメスタッフから、マレ地区で、最近、めきめきと人気のビストロがある、とききつけ、予約をし、行ってみた!

フランスごはん日記「パリに日本人シェフの凄いビストロを発見した! ここは行くべき、恐るべし」

※ コロナ禍の中で、ノルマンディの家をリフォームしてくれた、インテリアデザイナーのジェロジェロ、最近、パリでも仕事をするようになった、とか! すごいね。当時は、なんか、あか抜けない大男だったが、あれから、3年も経つと、すっきりモダンないい男になっていた。(時々、彼の家にも招かれるので、お子さんや奥さんとも仲良しなのだ)

フランスごはん日記「パリに日本人シェフの凄いビストロを発見した! ここは行くべき、恐るべし」

レストランの名前は、「LES ENFANTS ROUGES」という。マルシェ・アンファンルージュとは関係ない。そのあたりのカルチエを、アンファンルージュ、(赤い子ども、みたいな意味なのかな)と呼ぶ。
全スタッフ、日本人で、シェフは大ちゃん、大ちゃんを筆頭に数名の若い日本人料理人、ソムリエらがチームで動いている。ホールの責任者は、大ちゃんの奥さん、ともさん。(元、ブレイクダンサーで、大ちゃんにほれ込んで、今や、アンファンルージュの顔に! 素敵なマダムだ)
しかし、日本人だからとか、関係なく、そのビストロ料理は、舌を巻く。どれもこれも、悶絶の出来栄えなのだった。



ぼくが選んだ一皿目が、こちらのトウモロコシの温製スープだが、中に、コックという貝が仕込まれていて、笑、スープなのに、食べ応えるのある前菜になっている。
トウモロコシと貝の組み合わせ、なかなか、想像できない、と思うが、「行くなら、あのスープ頼んでみて」と知り合いにも言われていたので、迷わず、頼んだが、
「おおお、食べたことない」
病みつきになる、うまさ、であった。
前回、紹介した、やはり日本人シェフの中谷氏のレストラン「NAKATANI」はいわゆるガストロノミーの名店で、一つ星を獲得している。
ここ、アンファンルージュはビストロなので、最近はやりの言葉でいうと、ビストロノミーということになるが、その差が何か、というか、星付きレストランは、凝った料理が小さく何皿も出てきて、ミュージカルショーを見ているような、ファンタジーいっぱい、なのに対し、ビストロは、いつも食べているフレンチの料理を見栄えよく、豪華に持った、前菜、メイン、デザートという三区分に分けられた、一応、庶民的な部類のレストランになる。
なので、料金も、アンファンルージュの方が安いのだけれど、胃袋にはいった時の、勝負は、星があるなし、ではなく、どう満足させるか、なので、関係ない。
中谷氏の料理が好きなぼくだが、大さんの味に、ぼくがいくつも星を振らせたい、と思ったほどに、美味しかった。
センス良く小さく盛って、センスで勝負するわけではないが、けっして、どかんとでかい料理じゃない。プレゼンテーションは、もはや、トップクラスで、ここをビストロというのではれば、ぼくは毎日、ここに来たい、と思った。

フランスごはん日記「パリに日本人シェフの凄いビストロを発見した! ここは行くべき、恐るべし」

フランスごはん日記「パリに日本人シェフの凄いビストロを発見した! ここは行くべき、恐るべし」

フランスごはん日記「パリに日本人シェフの凄いビストロを発見した! ここは行くべき、恐るべし」

ジェロジェロも、一口、頬張るたびに、うらら、うらら、すごいな、ここ、あっという間に、満席だー、やっぱな、こんなにうますぎるんじゃ、当然だな、と悶絶していたので、おほほ、男二人で、悶絶しあって、気もち悪かった。あはは。

フランスごはん日記「パリに日本人シェフの凄いビストロを発見した! ここは行くべき、恐るべし」

で、ぼくはメインに、鮟鱇のグリルを頼んだのだけれど、周囲を囲む、野菜が、やばかった。ちょっと珍しい野菜が並ぶが、緑の長いのが、実は、ブロッコリーなのだ。ある時期に八百屋に並ぶ、なんだっけ、名前、なんとかブロッコリーというのだが、これを、素揚げのような形で揚げていて(? たぶん。違ったら、大ちゃんごめんね)、口の中で、、感じはてんぷらみたいだけれど、サクサク感が超半端なく、美味しい!!!
鮟鱇は、程よく焼かれており、まるで、白いステーキのようであった。ぜんぜん、脂っこくない。ジェロジェロがお肉を頼んだので、赤ワインにしたが、鮟鱇は肉感があり、ブルゴーニュの赤ワインでも、ばっちり、美味しい。
何が、すごいって、フレンチなのに、フルコース食べても、まったく、胃にもたれない。
翌日はもう、お腹がすいていたのだった。
バター、つかっているの? と大さんに訊きたくなるくらいの神業空。
お店は、あっという間に満席、しかも、地元の常連だらけ。
友人のシェフ、前田しんさんの、力強いフレンチとは対極をなす、あっさり系知性派の大ちゃんシェフであった。
しんさん、と、大さんはたぶん、同世代で仲良し。この店をすすめてくれたのが、しん君の奥さんのかよさん。かよさんも、お店の顔!!! あはは。夫婦円満、いいねー、ひゃああ、俺は裏やましーぞー。くそー。

フランスごはん日記「パリに日本人シェフの凄いビストロを発見した! ここは行くべき、恐るべし」



フランスごはん日記「パリに日本人シェフの凄いビストロを発見した! ここは行くべき、恐るべし」

デザートは、「ババ・オ・ラム」にしたのだけれど、日本のウイスキーをかける豪華版もあって、でも、ま、普通のにしておいた。あはは。
生クリーム好き、ラム好きな父ちゃん、これがあるとババしか、頼まない。
おいしかった。文句なしに!!!!

フランスごはん日記「パリに日本人シェフの凄いビストロを発見した! ここは行くべき、恐るべし」

隣の席にいた、唯一のアメリカ人ファミリーが、店の外で記念撮影をしようとしていたら、ジェロジェロが飛んでいき、「ぼくがシャッター切りますよ」と申し出ていた。
身長、2メートルの大男だが、心は誰よりも優しいのだ。
実は、アトリエが見つかりそうで、大きな山奥の古い工房。また、そこを彼にリフォームしてもらおうと思っている。
ジェロジェロの活躍に期待だね。
「ツジー、歴史に残る名作をばんばん生み出せる最高のアトリエにしような」
とジェロジェロ、盛り上がっておりました。
いいね、熱血~。



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
ということで、は~、最高においしかった。絶対、また、行く!!!
さて、父ちゃんの生放送ラジオ、15日、日本時間22時からです。ぜひ、チェックお願いしますね。TSUJIVILLEのバナーをクリック、ください。

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