JINSEI STORIES
フランスごはん日記「父ちゃんのパリ個展、残り二日になりました。途切れない来場者に感激!」 Posted on 2024/10/11
某月某日、ちょうど個展がスタートして一週間が過ぎた。
今日は、仕事もひと段落したので、14時、開城と同時に画廊に行くと、すでに待っているフランス人がいた。
「こんにちは、あなたが、TSUJI?」
「はい、ぼくです」
「ああ、はじめまして、バンジャマンです」
ぼくらは握手をした。
「実はあなたのポスターを自宅の傍で見つけて、どうしても、実物を見たくなって、スクーターで、ここまで来ました」
「どこから?」
「シェルシェミディーから」
おおお、そんなところから、わざわざ、ここまで!!!
ここにきて、ポスターを見て、どうしても見たいという人が増えている。
今日はそういう人が数人いた。(こんな暗いポスターあかんでしょ、とスタッフみんなに反対されたが、軽く好かれるような絵で、人を集めたくない、とかたくなに拒否。この絵に決まったのだったのだ)
でも、予想通り、ポスターが効力を発揮している。
明るく美しいファッショナブルな絵はそこら中に溢れているが、ここまで強くて変な絵だと、逆に気になる人が出てきて、そういう人は引っ張られるように、来てくださる。
そういう作戦・・・。おほほ。
あえて、ぼくは挑戦をした。
どうせなら、自分が好きな絵をポスターにしたい、と、嫌悪されても、好きな絵を選んだ。恒痕を残す。
なぜか、今日は、このポスターを見たという人が、数人、いたのだから、作って、よかったよ。
バンジャマンは、14時のオープン前に、ぼくがだれだかわからないのに、画廊の前にいたのだから、すごいね。
※ でも、きっとこの絵は売れ残るから、ノルマンディの家の玄関に飾る、つもり。画布に、鉛筆で、ぼくを守る人、と書いてから、描きだした。タイトルは「寛容」だから、許す力もある人。
14時の開店から、今日はずっと、来場者さん、途切れなかった。
昨日は大雨だったが、それでも、来場者はけっこういた。
今日は、晴れたので、本当に、おおぜいの人で賑わった。周辺にも画廊がたくさんあるのに、うちの画廊だけ、なんで???? 賑わっていた。
まるで、ベルニサージュをやるような感じで・・・。
スタッフの、なぎさのシンドバッドこと、ナッギーが、
「辻さん、ずっとこんな感じなんですよ。ひっきりなしです。ギャラリストとして、参加できてよかったです」
と嬉しそうに語ってくれた。ご主人がフランス人で、仏語、ペラペラ、心強い。
そう、もう、一週間、こんな調子なのだ。しかし、泣いても笑ってもあと二日で、パリ初個展は終わる。
絵を購入するか、迷っている人がいて、今日もやって着ては、
「まだ、ありますか?」
と訊かれた。素敵なマダムであった。
「あの絵ですよね、まだ、大丈夫ですよ~」
「悩んでいるんです」
「どうぞ、じっくり悩んでください。すべては、ご縁ですから」
NHKBSのドキュメンタリー番組「パリごはん」にも時々、登場してくださった元肉屋のロジェさんが、予期せず、ふらっと来てくださった。
「オランピア劇場でのライブもびっくりだったけれど、まさか、個展もやっていた、だなんて、もっと、驚いたよ」
ぼくらは、笑いあった。
ロジェは、まるで画廊主みたいに、一時間くらい、椅子に座って、人々を眺めていた。
残念なことに、たくさんの来場者さんだったので、声をかけることできない人もいた。
青い服の女性とか、髪の毛を後ろでいわっている男性とか、気にはなるのだけれど、身体が一つなので、おいつかない。ごめんんささい。
思わぬ、知り合いもやって来た。
この感じだと、残りの二日間で最後だから、もっと来るかもしれない。
一枚も売れないかもしれない、とドキドキしていたので、思っていた以上の結果に、びっくりしている。
さらに、7,8作品が現在、検討中なので、どうなることだろう。
一生大事にしてくださるところに、嫁いでほしい。
あ、そうそう、ぼくは集英社出身なんだけれど、文芸編集部のHさんが来てくださった。フランクフルトのブックフェアに来る前に、立ち寄ってくださったのだ、という。
嬉しかった。
「実は、ブログで写真は見てなんとなく知ってはいたんですけれど、実物を見て、あなどっていたというか、びっくりしました。やっぱり、タッチとか、実物はこんなに違うんですね」
嬉しいな~、こういわれるのが一番の励みになる。
写真って、画集もそうだけれど、印刷物の限界がある。とくに油絵は・・・。
実物とはぜんぜん、違うのである。
絵の凹凸、ううむ、写真には出ないもんねー。
※ ロジェは、ずっと、幸せそうだった。
※ トゥール市から、わざわざやって来てくれたジェラールさん。
写真では、どうしても絵の雰囲気が伝わらないので、絵の細部を撮影してみた。
でも、細部の写真だと、今度は、全体がわからない。笑。
これは、実に難しい問題である。
ま、画廊に来て、実際を見てもらうしかない。
何日も、何週間も、何か月も、ぼくが腱鞘炎になっても、描き続けた、世界で一枚しかない、ユニーク・ピース。
ぼくの分身、子供、ぼく自身、でもある。
※ この絵は、ものすごく長い時間をかけて、時間を費やして描き上げた大事な作品です。今の世界のありとあらゆるもものが混在しつつ、世界を形成しています。全体をみてほしいです。2,3人悩んでいる人がいるのだけれど、・・・どうなるでしょうね。実は長谷っちもこの絵を悩んでいるのだとか、あはは。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
ああ、もっとこのエクスポジションが続いてほしい、と思うのだけれど、12日、17時で、終わってしまいます。
ま、画廊は、美術館ではないので、ね。ふふふ。
※ そして、10月15日に、父ちゃんのラジオ放送、生放送があります。月に3回のツジビル・村営ラジオ、です。下のTSUJIVILLEのバナーをクリックしてみてくださいませ。