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仏飯日記「父ちゃんのまかない料理は世界一、と長谷っちがおせじ言う。個展に向けて一丸飯!」 Posted on 2024/09/17 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、父ちゃんのパリ事務所は、現在、父ちゃんの初個展に向けて、事務所創設以来の「一丸になる作戦」結構中であーる・ぬーぼー。
全スタッフが集まって、父ちゃんの賄い飯を食べながら、知恵を出し合った。
ということで、今日の仏飯日記は、「鮭のおにぎり、肉吸いうどん、唐揚げ、三点セット飯」ということになる。
唐揚げは、ちゃんと二度揚げして、衣をサクサクにするという細やかさじゃ、おそれいったか~。
やはり、うまいものを食べると、人間、がんばろうという気持ちになる。
ここはフランスのおパリだが、だからこそ、日本人は、こういう和食に心が動かされる。
高い報酬が支払えない分、スタッフのみなさんに、美味しいものを食べていただき、やる気と交換してもらっている~。
ふふふ、父ちゃんの人心掌握術なり!

仏飯日記「父ちゃんのまかない料理は世界一、と長谷っちがおせじ言う。個展に向けて一丸飯!」

仏飯日記「父ちゃんのまかない料理は世界一、と長谷っちがおせじ言う。個展に向けて一丸飯!」

仏飯日記「父ちゃんのまかない料理は世界一、と長谷っちがおせじ言う。個展に向けて一丸飯!」



さて、その個展だが、成功への道のりはかなり、遠い・・・。
日本においては、これまでの長いキャリア、活動があるので、多くの人が画廊に観に来てくださったし、目利きでもある真のコレクターの方々とも出会うこともできた。
それが、来年の大きな個展へとつながったが、フランスは、そうはいかない。
なにせ、芸術のパリ、である。
世界中のアーティストがここを目指すものだから、個展の開催自体が難しいし、インフレのせいで、画廊も潰れているらしいし、よくわからないが、フランスのアートシーンはちょっと先が見えない感じなのであーる・ぱちーの!
不安・・・。
絵が一枚も売れない可能性もあるの~。あるある。
そうなると、次が難しいよね、きっと。そういうものだろうな~。
絵をフランス人に売るというのは、よくわからないし、実に大変なことだ。そもそも、絵を売るなんて、今まで、考えたこともなかったわけだから・・・。
普通に考えて、すごいことだね。笑。なんちゅう、仕事なんやろ。
不確実性の時代じゃんね。あはは。
フランス人がどこに着眼し、絵を購入したいと思うのか、そもそも、見当もつかない。日本でも、一緒だったが、好きなものを描いて、壁に飾ることしかできなかった。
ということで、スタッフさんらと賄いランチを食べながら、知恵を出し合ったのだった。そして、難しいですねー、ということで、なんとなく、終わった。
「先生、それにしても、この唐揚げ、最高です。二度揚げするとこうなるんすか、すごいな、やってみよっと」
長谷っちは、のんきであーる。
あはは。

仏飯日記「父ちゃんのまかない料理は世界一、と長谷っちがおせじ言う。個展に向けて一丸飯!」



マレ地区の画廊街なので、アートが好きな人がよくとおる場所ではあるのだけれど、ふらりと立ち寄ってもらえるかも謎だし、ここは、マジで、頭をひねらないとならない。
辻仁成、無名やしなー。えへへ。
しかも、うちのスタッフは、文学畑ばかりで、正直、美術は専門家がいない。
マネージャーのMMが唯一美術史専攻で、キュレーターの資格を持っている、くらい。
長谷っちは、通訳の仕事を美術館でやったことがあるらしく、よく藤田嗣治さんに似ている、と言われていた、と自慢しておった。あいかわらず、なんやねん。それ。
今回の個展は、偶然知り合った、国立フランス科学センターのメトラル教授がスペシャル・キュレーターをつとめてくださり、彼の知り合いの画廊で開催が決まった、という経緯があるので、氏が開催の中心人物ということになり、「個展資料」も制作してくださった。
そこまでやってくれるとは思ってもいなかった。
マジ、感謝である。
でも、なんでやろ、縁もゆかりもない人だったのに・・・。

※ 下の文章は、メトラル氏がフランスメディア用に書いた、ぼくの絵について、なんだけれど、本当に、よくわかってくれていて、びっくり。フランスの図書館で、ぼくの本を借りて読んでいる、らしい。図書館にいくと、全国共通で、辻仁成で通し番号があるらしく、・・・。へーっ、と驚くためごろう。あはは。でも、すごいね。もっと小説も頑張らないとね。

仏飯日記「父ちゃんのまかない料理は世界一、と長谷っちがおせじ言う。個展に向けて一丸飯!」

仏飯日記「父ちゃんのまかない料理は世界一、と長谷っちがおせじ言う。個展に向けて一丸飯!」

※ 窓をあけると、エッフェル塔が見える。秋風が、心地よい季節です。



日本は、日本画家の千住博さんが、ぼくの絵を気に入ってくださり、画廊を紹介してくださって、バックアップをしてくださった。ま、人には恵まれている、ということやな。
でも、やっぱり、絵がすべてなので、彼らが気に入ってくれた何かが、ぼくの絵の中にある、と信じて、今はひたすら猛進するしかない。自分を信じて、やるのみ!!!
今週、画廊の社長トマ氏とメトラル氏を事務所に招いて、ミーティングも予定されているが、ここからが、画家としての父ちゃんの第一歩になることは間違いない。
父ちゃんはフランスに、打って出る。一人明治維新じゃ、文明開化じゃああああ!
今、シンガポールや、台湾などとも、個展の話を進めているので、どんどん、決まっていくといいね。頼むよ、女神さま。☜どこの?
もうすぐ、65歳になるが、人生は70歳からだと信じている。
まだ、世界はおれを発見していない。
はよ~、発見せんかい!
乗り遅れんなよ、世界~。
あはは。

仏飯日記「父ちゃんのまかない料理は世界一、と長谷っちがおせじ言う。個展に向けて一丸飯!」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
アトリエの窓をあけると、エッフェル塔がそびえていて、さわやかな秋風が、油絵具の香りをはらうように、部屋の中に注ぎ込んできました。新作、いい感じで、創作が続いています。腱鞘炎はなかなか治らないですが、痛みよりつらいのは、握力がなくなったことかな。昨日もギターをおさえにくく、大変でした。絵筆を持っても、落としそうになるくらい、ひどい状態で、泣、また、鍼灸院に行かないとならないかな、と思っています。老化なんですね、たぶん。あはは。絵筆、落とさないように、頑張ります。応援してね!!!

ええと、その個展は、10月4日、14時から、12日の17時くらいまで、です。14時から19時まで。がらがらだと思うので、入場制限など、一切、ありません。あはは。ご心配なく。ちょっと日本の個展とは雰囲気が違うと思いますが、英語が通じますので、仏語がダメでも、大丈夫です。時々、日本語対応してくださるスタッフさんが立ちます。

仏飯日記「父ちゃんのまかない料理は世界一、と長谷っちがおせじ言う。個展に向けて一丸飯!」

そして、次のラジオは、9月22日になります。ええと、ご視聴ご希望の方は、下のTSUJIVILLEのバナーをクリックください。めるしー。

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