JINSEI STORIES
滞仏日記「ずたぼろ父ちゃん、沈む夕陽を眺めながら、元気にならなきゃ、と鼓舞した夕刻」 Posted on 2024/08/23 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、休み方がよくわからないが、三四郎と夕陽を見に出かけた。
やっぱり、夕陽が沈むのを見るのが、人間、というか、父ちゃん的には一番心が休まる。
実は、引退公演のあと、肉体の各所が痛いというか、たぶん、免疫力がぐんと落ち込んでしまったのだと思う。消えたか・・・。それほど、ひどいのだ。
目が、まず、おかしい。視力がぐんと下がり、ちょっとぼやけるし、不意に文字が読めなくなった。
リンパなのか、関節などの要所があちこち、痛い。炎症をおこしているのがわかる。
帯状疱疹ができる。
とにかく、身体が動けないのである。
筋膜ローラーを使ってマット運動とかやってもきかない。
この夏、日本で、気力を使い切ったのに違いない。
免疫力をアップさせないとならない。
ぼくは三四郎と海に行き、太陽が沈むのを眺めることにした。
夕陽治療である。笑。
そんなのあるか知らないけれど、ぼくは、そう思っている。
仕事から離れ、ぼんやりとする必要があるのだった。
じっと夕陽を見つめて、心を癒すのが一番であった。
ずたぼろの父ちゃん、癒しの波動をすべて受け入れて、心を開いて、この宇宙のエネルギーを吸収し、再び、復活することを誓います!
この静かな世界で、心を開いて、耳をすまし、風の音をじっと聞くのです。
海辺のレストランに入って、ちょっと栄養もつけた。
テラス席に座って、何か食べて、それからまた、ぼんやりと海と空の境目を見つめるのだった。
頭の中を空っぽにして、優しい風を頬で受けるのだった。
これが、父ちゃんのバカンスである。
三四郎がいるから、ホッとする。
「さんちゃーん、遠くに行っちゃだめだよ!」
三四郎は、呼ぶと、戻って来る。ぼくからあまり離れない。
愛犬と生きる。
なんて、素晴らしい人生だろう。三四郎がいる、と思うだけで、頑張ることが出来る。
他に何が必要だろう? 欲もない。
生きているあいだ、持っていられるものだけでいい。
頼むから、三四郎、長生きしてね。
灯台がすきなんだ。
自称、灯台評論家なのである。
灯台のある港町に行き、記念撮影をするのが趣味なのである。
ECHOESの歌を思い出す。
灯台のように遠くを照らしてばかりいると~、
足元の黄身を見失い、胸がぽつんと抜けた~♪
つづく。
今日も読んでくれてありがとう。
これから、三四郎と二人で、森の中のホテル(オーベルジュ)に移動し、遅いバカンスに入ります。あはは。1日程度ね・・・。
1日のんびりしたら、免疫力もきっとあがることでしょう。皆さんも、英気を養ってくださいね。えいえいおー。
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