某月某日、三四郎は、犬だ。
三四郎は、ぼくにぴたっと張り付き、寂しさを紛らわしてくれる。
三四郎は、余計なことは言わない。人の悪口とか噂話を一切しない。
三四郎は、家族であり、友だちであり、伴走者だ。
三四郎は、他の犬が怖いから動かなくなるが、遠ざかると追いかけていく。
三四郎は、一日のうち１７時間程度は、ひっくり返って腹を出して寝ている。
三四郎は、ぼくに気をつかってくれる。
三四郎は、息子が遊びにくると嬉しくて息子に何度もジャンプする。
三四郎は、尻尾を振る大きな差で、自分の幸福感を伝えてくる。
三四郎は、よく夢を見て、寝言をいい、前脚をけって、夢の中を走り回っている。
三四郎は、めったに吠えない。（最後に吠えたのはいつだったか、思い出せない）
三四郎は、ぼくの話を聞くけれど、理解ができなので、何度も首を傾げてみせる。
三四郎は、すねる時、顎を突き出してふて寝し、目だけ、ぼくをチラ見する。
三四郎は、時々、窓の外を見ては、黄昏れている。
三四郎は、浜辺に行くと、ずっと、ずっと走り回っている。
三四郎は、おやつ、という日本語に反応をし、そわそわしはじめる。
三四郎は、ごはん、というと、寝ていてもがばっと起きて、嬉しさのあまり駆け出す。
三四郎は、ぼくが歌っていると、ぼくの背中に自分のお尻をくっつけて、聞いている。
三四郎は、うんちがしたくなると、玄関の扉の前で、ぼくを待つ。
三四郎は、うんちをする時、前脚と後ろ脚くっつけ背中を丸め愛おしいポーズをとる。。
三四郎は、抱きしめてあげると、本当にうれしくなって、尻尾がプロペラになる。
三四郎は、その眼力が強く、目でものをいう。
三四郎は、都合が悪くなると、聞こえないふりをする。
三四郎は、散歩に出ると、言うことを聞かない子になる。
三四郎は、仲良しの犬たちと公園で会うと、じゃれて、取っ組み合いになる。
三四郎は、近づいてきた犬に匂いを嗅がれている間、じっとして、様子をみる。
三四郎は、お水がなくなると、水の皿の前で、ぼくが気付くのをずっと待つ。
三四郎は、ぼくがボールを投げると必死にとりにいくが、戻って来てもボールはくれない。
三四郎は、おやすみのキスをしてあげると、天使になる。

三四郎は、骨を齧っている時は、野性が戻って、ちょっと怖い感じになる。
三四郎は、時々、臭いおならをするが、ぼくじゃないよ、という顔をする。
三四郎は、すいか、胡瓜、瓜系は食べない。
三四郎は、大きめの砂肝をあげると、狩猟犬の血が騒ぐのか、くわえて、消える。
三四郎は、ぼくが苦しんでいる時がわかるみたいで、ただ、寄り添ってくれる。
三四郎は、犬なんだけれど、人間じゃないか、と思わせる瞬間がある。
三四郎は、待ってもおこぼれに預かれない時、諦めて、自分の寝床に戻る。
三四郎は、ぼくが絵を描いている時はアトリエの玄関前で、終わるのを待つ。
三四郎は、ぼくが買い物している間、ずっと玄関で待ちドアを開けると尻尾をふる。
三四郎は、ぼくが料理をするとき、１００％、ぼくの足の下にいる。
三四郎は、ぼくが食事をするとき、１００％、ぼくの足元でぼくを見上げている。
三四郎は、何も貰えなくても、食後、ぼくの横に寄り添い、食べた気になっている。
三四郎は、見えないものたちから、ぼくを守っているような気がする。
三四郎は、特別な波動で、ぼくの体調を整えてくれている気がする。
三四郎は、ぼくがぼくのままでいいことを、唯一、知らせてくれる存在でもある。
三四郎は、三四郎なりに、愛を大切にしている。
三四郎は、ぼくが忙しくて時間がない時にも、ぼくが唯一、世話する生き物だ。
三四郎は、押しつけがましくなく、無垢で、わきまえている。
三四郎は、そこにいて、今日もぼくをただ、ゆるしてくれている。

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
思えば、２０２２年１月に我が家にやって来た三四郎ですが、来月、３歳になります。早いものですねー。はじめて我が家になってきた時は、どうなることか、と思いましたが、日々、彼も成長をしているのです。犬は本当に、素晴らしい生き物ですね。ぼくが、ぼくであるために、とっても大切な存在だと思っています。

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