JINSEI STORIES
人生は後始末「息子と行く、IKEA パリ」 Posted on 2017/03/31 辻 仁成 作家 パリ
今のアパルトマンに引っ越しして3年。
生活に追われ、気持ちの整理もつかないまま、引っ越した時の状態で、3年が過ぎ去りました。
靴箱も、洋服入れも、ただ突っ込んであるだけ。ひどい状態です。
息子と話し合い、古い荷物を整理することに。
後始末だったらまずIKEAに行けやでしょ!
ということでパリのIKEAに2人でレッツゴー。
東京と同じで、パリもIKEAはちょっと遠方にあります。
東西南北に5つのIKEAがありますが、その中でも巨大な、Villiers sur MarneのIKEAを目指しました。
とにかくだだっ広い、駐車場なんか何千台も止められる巨大さ。
日本のIKEAには行ったことありませんが、構造は一緒みたいです。
入口から出口まで一方方向に進みます。
いろいろとほしいものが目に留まるので出口に到達する頃にはカートがいっぱい。
買い物好きの小生にはたまりません。
しかも超安い。そして、楽しみはレストラン!(笑)。
必ずここで食べるものが肉団子のホワイトソース掛け!(約6ユーロ)
そして、名物のソフトクリーム、1ユーロ! まず、家族連れはみんなソフトクリームを食べますね。
IKEAは子供も大人も楽しめる、いわばインテリアのテーマパーク。
半日なんてあっという間に過ぎてしまいます。
寝具売り場で若い新婚カップルがベッドに並んで横たわり、硬さを試していました。
「パパ、あの人たちきっと家族になるんだね」
「そうだよ、明るい未来しかないんだよ」
「もうじき子供がやってくるのかな?」
「あのベッドを買ったら、間違いなく、そのうちだね」
2人はそのベッドを気に入ったようで、店員さんを呼び止めていました。
今回は収納品をドサっと買いましたよ。靴、小物、衣類の収納ボックス。カート山盛りです。
3年間放置しておいた衣類や靴、日用品を2人で片づけることに。
組み立ては息子の仕事。レゴでも組み立てるみたいに楽しそう。
整理していると、思い出のもの、懐かしいものが次々出てきました。
それを収納ボックスに入れて、思い出、とやっと記すことができたのです。
仕事部屋も、寝室も、靴箱も、クローゼットもすっきりしました。
IKEAってレゴに似てますね。デザインのレゴ。
一つ一つの商品はブロックみたいにシンプルなのだけど、組み立てたり、組み合わせることで、家を素敵に作り変えてくれる。
面白さと豊かさと創造性が根底にあります。
キッチンまわり、寝具用品、収納用品、文房具、etc
レゴはデンマーク、IKEAはスウェーデン。ともに北欧ですね。
帰りは必ず、出口にある北欧食品売り場をのぞいて帰ります。
やっぱ、スモークサーモンですかね。
息子と「いつかスウェーデンにあるIKEA1号店に行ってみようぜ」で盛り上がりました。
シングル生活をはじめて3年、ここから新たな父子の暮らしがはじまります。
人生を上手に収納し新たな船出です。
やれやれ、歩き過ぎて疲れました!
今日の後始末。
「人は思い出を収納する生き物。上手に収納して、いつかそれを古着のように楽しめばよし」