JINSEI STORIES

滞日日記「日本といえばドン・キホーテ!なので、父ちゃん、ドンキで英気を養う」 Posted on 2024/07/30 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、とにかく暑い、暑すぎる。
熱中症になりそうな毎日だが、建物の中の冷房もきつい。
冷房がつらくなって、外に出ると、ものすごい熱波みたいなものに襲い掛かられ、倒れそうになったひ弱な父ちゃん。ううう、亜熱帯化がすさまじい、日本。
30日、引退公演初日が目の前に迫っているというのに、体調の維持よりも前に、命を大事にしないとならないくらい危険なレベルになっている。
公演直前なので、どうやって、過ごそうか、悩んだが、実はこんな直前の大事なタイミングだというのに、仕事がひとつ入っていて、それだけは、今後のためにやっておかないとならないのだった。☜ 忙しい男だの~。
それは、来年の個展会場の視察である。
引退公演前の日だったが、そこしかスケジュールにあきがなかったので、来年、もしかしたら、やることになるかもしれないという、とある個展会場の下見のために、日本橋まで行ってきたのだった~。
で、タクシーではなく、ちょっと、わけあって、歩いたのである。
今、ぼくが住んでいる都会のビジネス街から、歩こうと思えば歩ける距離だと、グーグルマップサンが教えてくれたので、ま、楽勝じゃん、と思いながら、ホテルを出た、父ちゃんだったが、熱波の中、歩いていると、だんだん、ブーツが重くなり、ってか、何でブーツなん、という感じで、しかも、シャツジャケット羽織っていたし、マフラーも巻いて、日本を舐めてんのか、という恰好で、あの日本橋を渡ったのであった~。
もしも、熱中症になって、救急車で運ばれたら公演中止やんか、と思いつつ、携帯を覗くと、日本のどこかで41度を記録、と速報が流れていて、マジで、くらっと来た。
やばい、これは、いかん。
ということで日本橋のギャラリーに行く前に、うなぎ屋さんに飛び込んだ父ちゃんだった。
「すいません。予約はないんですが、よろしいですかァ」
ライブに備えて、ここはうなぎで精をつけないとならない。☜脈らなさすぎ。

滞日日記「日本といえばドン・キホーテ!なので、父ちゃん、ドンキで英気を養う」

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ライブ前だが、熱中症になってはいけないので、まずは水分補給!
「すいません。さっぽろの黒、お願いします」
とお姉さん(ご年配の方でしたが)に注文をした父ちゃん。
この店、作家になったばかりの頃、文芸春秋だったか集英社の編集者さんに何度か連れてきて頂いたことがあった。
懐かしさもあり、ライブに備えて体力をつけないわけにもいかず、熱中症対策にビールは欠かせないし、おちつく、小上がりで、汗をふきふき、小休止なのであった。
「お暑いですね~」
女将さんのような方が、ビールを注いでくれたのだった。
ぐびぐび、おお、熱中症が治っていく・・・。
ぼくは、白焼きが好きなので、まずは、白焼きをつまみながら、ビールを飲んで、日本を満喫したのだった。
ああ、日本の夏だ。ふふふ、幸せ~。

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うなぎというものは、やはり、食べるとパワーが出るものだ。
肉とは違ったエネルギー、じわじわ、と股間のあたりからエネルギーが沸き上がって来る感じ。肝吸いが効いた可能性もある。
日本で食べるうなぎはやはり最高だ。
これはもう、日本人でよかった、という案件であろう。
夏バテに一番の妙薬だったかもしれない。☜だって、倒れそになっていると目の前にうなぎ屋の看板が出ているのだもの。これは天のお導きであろう。
で、元気になった父ちゃん、何を思ったのか、タクシーをひろい、
「すいません、六本木のドン・キホーテ、お願いします」
と言い出した。☜えええ、これぞ、うなぎパワーーーー!
というのは、ホテルに戻っても、冷房がきついし、散歩をするわけにもいかないし、ライブで使う小物を揃えようと思ったのであーる。
今回、最後なので、ちょっと、プリンスやマイケルジャクソン、マドンナなど、同世代の歌手たちと同じような派手ないでたちでステージに立ち、有終の美、を飾ろうというわけであーる。☜本人が思っているほど、派手ではないです。期待しないように!
一応、羽織るのは、とあるブランドさんのマントを買ったので、初日はそれでやるつもりだが、もうちょっと、きらきら、まばゆいものをアクセサリー的に纏いたい、ので、ドン・キホーテ、は~?
月曜日の昼間は、ガラガラドンキで、あった。
ところが、ドン・キホーテなる世界は、やはり、面白い。芥川賞作家のぼくにふさわしい、文学的魑魅魍魎感をくすぐる異世界であった。オリンピックの演出を超える迫力!
かなり、いろいろなものに目が留まり、そこで思わぬ時間を過ごすことになる。
気が付いたら、パリへの土産物をいろいろ買い込んでしまった、父ちゃんであった。
日用品、変な手品っぽいものとか、化粧品、仮装パーティグッズとか、ぜったいパリでは買うことができない変なものたち・・・、眺めてニヤニヤしていた、父ちゃんだった。
「これは、ちょっと変態かな~」
などと、引退ライブ前日に独り言しゃべっている、父ちゃんはやはり宇宙人だった。
だって、日本のワンダーランドじゃん。
東京を代表する、世界のドン・キホーテじゃん。
日本橋の高級デパートからの、六本木のドンキホーテ~、父ちゃんの守備範囲のこの広さこそが、アートの起爆源、なのであーる・でこーーーー。
ま、別に、どうでもいいことですが、夕方になると風が出て、気持ちよかった。
強い風のせいで、暑さも和らぎ、歩いている女性が、スカートをおさえているその何気ない姿が、絵になって、心の熱を癒されました、というおやじ次第である。
東京、なかなか、面白い都市だ。
さて、ホテルに戻って、明日の予習をやり、今日は早めに寝ることにしよう。

滞日日記「日本といえばドン・キホーテ!なので、父ちゃん、ドンキで英気を養う」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
ということで、泣いても笑っても30日、19時から引退公演ツアーがはじまります。このツアーを最後に、日本での公式興行活動は終了します。その最後の父ちゃんの晴れ舞台、ぜひ、楽しんでください。最終公演の8月7日、大阪フェスティバルホールでの公演の最後に、この人生を締めくくることになった父ちゃんからのメッセージを吐露させてもらいますねー、ふふふ。3分以内で。
それでは、よい引退を!!!

ま、一応、ライブの日程ですが、
7月30,31,8月5日が、東京です。
8月7日が、大阪になります。千秋楽です。

今後の活動は、ぼくの村営ラジオなどで、お伝えしていきます。もちろん、日記でも! ラジオは下のバナーをクリックください。熱血~!!!!!

TSUJI VILLE

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自分流×帝京大学