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新刊辻仁成アートブック「画集+小説、パリ情景・動かぬ時の扉、7月14日発売」 Posted on 2024/07/07 Design Stories  

辻仁成がノルマンディとパリで描き続けてきた油絵、約80点と、最新小説「動かぬ時の扉」(原稿用紙換算枚数200枚)に加え、解説、あとがきなどで構成される、アートブックが7月14日ごろに、帝京大学出版会(印刷・製本、凸版印刷)より、上梓される。
油絵の80点に及ぶ作品は、主に、この10年間にノルマンディとパリのアトリエで描かれてきたものが中心となる。
一部、 1995年、2001年前後に描かれた作品も含まれている。
いずれにしても、本格的にカンバスと向き合ったこの10年の足跡を辿ることが出来る。
また、小説「動かぬ時の扉」は同時期に、文芸誌「三田文学」で連載されていたものに大幅な加筆を加えて完成させた渾身の中編小説となる。
分量でいえば、代表作「海峡の光」をも超える長さなのだ。

新刊辻仁成アートブック「画集+小説、パリ情景・動かぬ時の扉、7月14日発売」

この物語と油絵はほぼ同時期に創作されたもので、絵と小説は緩やかな影響と干渉をうみだしている。
小説は火災で焼け落ちたノートルダム寺院周辺の地域を舞台にしているが、時空が錯綜をし、不可逆的な時間概念を覆す手法でパリそのものを描こうとしている野心作。
そこに描かれたパリと、カンバスに描かれたパリ(これらの作品は、7月20日より開催される青山・新生堂の作品群と連動している)には、緩やかな関連性を覚えることができる。
今年、2月に開催された伊勢丹アートギャラリーにおける個展「見えないものたち(Les Invisible)」とは異なる視点で、青山の新生堂ではパリを舞台にした作品が居並ぶ。これらは、サンルイ島、シテ島を舞台にした小説「動かぬ時の扉」に呼応する形で、個展もやはり「動かぬ時の扉・パリ情景」というタイトルが付されている。
小説との互換性はさておき、絵画と小説という表現方法の異なる作品を、同じ時期に、同じ視線で描くことの面白さが、たとえば画風の中にも見受けられるし、小説の隅々にもまるで筆のタッチのような流麗、パレットナイフの荒々しい躍動、などから散見される。

新刊辻仁成アートブック「画集+小説、パリ情景・動かぬ時の扉、7月14日発売」

新刊辻仁成アートブック「画集+小説、パリ情景・動かぬ時の扉、7月14日発売」

青山・新生堂の個展では、在仏歴22年の辻仁成が見続けた黄昏のパリがずらりと並ぶ。とくに、Vision de Parisと題されたシリーズは彼のアトリエ(建物の9階)からの眺めを参考に描かれているだけに、俯瞰図のようなパリの不思議な屋根に立つ煙突ばかりが、まるでたたずむ吟遊詩人のように画布に刻み込まれている。
画集を眺めながら、小説を読むことで得られるアートな感覚は、普段見ることのないパリの日々へと読者を誘うことであろう。
伊勢丹アートギャラリーで開催された「見えないものたち」の作品群に関しては、巻末に印刷されている、フランスの国立科学センター、CNRSのフローリアン・メトラル教授の解説を参考にされたし。美術史家でもメトラル氏の尽力によって、辻仁成の作品たちが、今年の10月4日より、北マレ地区にある画廊に並ぶことが決定している。
辻仁成の文学とアートが合体する本書「パリ情景・動かぬ時の扉」は、7月14日ごろに、全国書店での販売が開始されるが、部数に限りがあることを書き記しておきたい。(長)

アートブック「パリ情景・動かぬ時の扉」をご予約、ご購入ご希望の皆さん、下記のサイトより、お願いします。

https://www.teikyo-service.com/press/books/978-4-434-34119-9/

新刊辻仁成アートブック「画集+小説、パリ情景・動かぬ時の扉、7月14日発売」

青山・新生堂個展「パリ情景・動かぬ時の扉」
7月20日~28日まで、完全予約制。問い合わせは、新生堂、へお願いします。