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パリ最新情報「スポーツだけじゃない!芸術の街パリを彩る『文化オリンピアード』」 Posted on 2024/06/19 Design Stories
オリンピック・パラリンピックを芸術で盛り上げる「文化オリンピアード」が、パリをはじめとするフランス全土で開催されている。
文化オリンピアードとは、前大会の終了時から次回大会までの4年間で行われる、さまざまな文化・芸術プログラムのこと。
東京2020大会でもたくさんのイベントが用意されたが、パリ五輪では100年ぶりの開催ともあって、ルーブル美術館やオペラ座など著名な文化施設がプログラムに参加する。
※16世紀着工のサン・トゥスタッシュ教会。
その一環として6月16日には、パリ1区にあるサン・トゥスタッシュ教会(église Saint-Eustache)に“輝く”梯子が登場した。
「天空の梯子」と名づけられた今回のアート作品は、オーストリアのアーティスト、ビリ・タナー氏によってデザインされた。
タナー氏によれば、天空の梯子が象徴するのは「平和、オリンピックの概念、他者への敬意、希望、自分を超えること」なのだという。
このようにアーティストが国境を超えて活躍できるのも、文化オリンピアードの特徴のひとつだといえるだろう。
※24年6月16日〜9月15日までのインスタレーション作品。
梯子は写真でも肉眼でもシンプルに見えるが、実は高さ21メートルにもなる。裏をかえせば、21メートルの作品をここまで小さく見せてしまうのがサン・トゥスタッシュ教会のすごいところだ。
なお教会のパイプオルガンはフランス最大級。文化オリンピアードではこうして、作品とともにフランスの歴史遺産を目の当たりにすることができる。
※歴史ある教会まで舞台となるところがフランスらしい。
文化オリンピアードはまた、「フランスの豊かな芸術活動を紹介し、感動を呼び起こし、多くの人々に思い出を作ってもらう」ことを目的としている。
そのためプログラムの多くは入場無料だ。ジャンルも規模もさまざまで、コンサートやパフォーマンス、ダンスイベント、映画祭など、楽しいイベントが夏の終わり頃まで続く。
※ゲランのブティックでは金メダルにちなんだエクスポジション「OR NORME展」が。
舞台の例としては、先に触れたサン・トゥスタッシュ教会のほか、ルーブル美術館(ヨガイベント)、オルセー美術館(音楽イベント)、ヴェルサイユ宮殿(エレクトロニック・スポーツイベント)がある。いずれも競技会場に配慮して少し離れた場所で行うというが、パリの文化施設がここまで連携するのは珍しいことだ。しかし地方では浜辺や森など、美しい自然そのものが舞台になる。
※パリの新しい観光スポット、オテル・ドゥ・ラ・マリーヌの中庭ではキャンドルのイベントも。©Olympiade Culturelle Paris 2024
文化オリンピアードではイベントの過半数、7〜8割が入場無料になっている。
というのもこれは、2012年ロンドン大会の試みからきている。ロンドン大会では、「国民のみながオリンピックに参加しているという状況をつくりだしたい」と、多くのイベントが無料化された。(五輪のチケットはそもそも高額であり、誰もが競技観戦できるわけではないため)
その後のリオ、東京、パリと、回を重ねるごとに豊かになる文化オリンピアード。パリではあと数か月、2028年ロサンゼルス大会にバトンを渡すまで続く。(ヤ)