JINSEI STORIES
滞仏日記「父ちゃん流ファッション術? え~、ファッション語るの???」 Posted on 2024/06/10 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、父ちゃんのファッションセンスについて。
これは、大いに疑問がある。
父ちゃんはブランドの服はめったに買わない。
ブランドものは嫌いじゃないんだけれど、自ら、そのブランドの名前の刻まれた服を着るというのが、奥ゆかしい父ちゃん的にはなかなか難しいので、ブランド名のでっかくのった服や靴は、あんまり、持ってない。あんまり・・・。
でも、たまに、そのマークが様になっていたりすると、買うこともある。(というか、有名ブランドだと、ブランドだから着るのじゃなく、デザインがいいから着るのだ、と自分に言いたいがために、あえて、タグをハサミで切ったりして、着ることもある)
だが、ひねくれものの父ちゃんのことだから、みんながあまりなじみのない服で、ちょっと世間的な評判とは異なるものを探して着ていたりする。
ま、父ちゃん、モデル体型ではないので、何を着ても似合わないから、ブランド服を汚すのもいけないので、申し訳ないから、避けている、と言うこともできる。あはは。
で、半年ほど前、偶然、車をとめようとしていたら、目の前でおっさんがタバコを吸っていた。フランスなので、日本人だとは思わなかった。
ここに車停めてもいいのかな、と聞こうとしたら、あれ、もしかして、辻さん、と言い出した。笑。その、おっさん、目の前のブティック「VORTERANO」のオーナーだった、・・・岡本さん。(京都人)
「日本人なんや」
と盛り上がって、店に入ったら、服がやたら気に入って、思わず、衝動買い。
それから、この半年、ほぼ、毎日着ていた、このコート、日記を読んでいる皆さん、ご存じですよね?
ずっと、着ているけんね。
※ この服、よく着てますよね。岡本ちんのデザインです。
※ 岡本ご夫妻、いい夫婦だ~。
実はその日、12月31日だったそうだが、岡本さん、開店して一年、なかなか経営が大変で、店をしめるか、悩んでいたのだ、という。
でも、ぼくが服を買った日から、なぜか、服が売れ始め、あはは、だから、言ったでしょ、ぼくは「服の神」ならぬ、「福の神」なのであった~。
先月はオーダーメイドが6着も入ったのだ、という。すごー。
で、半年ぶりに、ふらっと顔をだしたら、岡本さんと奥さんがいて、はじめましてやねー、とぼくが奥さんにご挨拶をする事態に。
すると、次の瞬間、たしかに、お客さんが入って来た。
田舎の友人、ジェロームが、ぼくのポスターを見た、というのも、(日記で書いたと思うが)、実は、こちらのブティックなのだ。
マコちゃん(ライブ・スタッフ)が、無理やり、ガラス戸に、ぼくのポスターを貼ったらしい。すいません。
「いや、ほんとうに、あれ以降、オーダーメイドが次々、来るんですわ。この間も、ロンドンに住んでいるインドの方が、3着もオーダーメイド、申し込んでくださったし、辻さんのポスターを見た、日本の方も、一着、購入してくださいました」
ということで、福の神の醍醐味につきる、お話で、盛り上がった盛り上がった。
と、大笑いをした、その次の瞬間、ぼくの目にとまったのが、こちらのコートであーる・せーぬ・るぱん。
前に買った、赤系のコートの青版、という感じ。
生地はイタリアのもの、だという。
「実は、これ、おととい、オーストラリアの方が、買うと言い残して帰ったんですが、結局、その方は来ず、ですから、良ければ、辻さん、どうぞ。この生地の、最後のコートになります」
「買います」
もちろん、決して安くないのだけれど、着たら、めっちゃ、似合ってない?
あはは。
※ まだ、タグがついてるし、腕のところ、ちょっと短く詰めてもらったので、糸が・・・。でも、いい色。自分では選ばない色、冒険です。
いったい、どのようなご縁であろう。この店の前にたまたま、車を止めようとしたら、おじさんがタバコを吸っていて、その人が日本人のデザイナーで、その服が素晴らしく、また、買いに来た、という、こういう不思議なご縁。
でも、服は個人の好みだからね・・・。
帰りに、パレ・ロワイヤルを歩いて戻ったのだけれど、ショーウインドーには、どうやって履いたらいいのか、悩むようなすごい真っ赤な靴が売っていた。
ファッションって、なかなか、語りつくせないものがあるのだ。
世界はどんどん進化している。ぼくはどんどん、凝り固まっていく。
でも、岡本のデザインとポリシーは、ぼくのようなおやじに訴えかけてくる何かがある。
ぼくがモデルさん体系だったら、もっと、かっこよく着こなせるのだろうから、岡本さんには申し訳ないが、愛着を持って、着続けたい、と思う。
VORTERANOは、メンズなのだ。奥さんがレディスのバックのデザイナーをやられている。
ま、メンズなのだけれど、オーダーメイドなら、レディスも受けるのだとか・・・。
それで、オーダーメイドで入っていた仮縫いのコートがあったので、着れるかも、と着せて貰ったら、着れた。どんだけ、細いのか、とみんな大笑い。ご安心ください。彼は仮縫いをする服は、仮の生地で作り、捨てちゃうのだとか・・・。ひゃああ。ぼくが着たマダムのコート、これは仮縫いのもので、捨てるものらしい。そこから本生地で、あらたに、一から作り直す、これ、岡本のやる気!
パリで、勝負するというからには、このくらいの意識がないとね。本物です。
何より、かわいい、色だね。
今年の冬は、このブルーで、攻めたい。えへへ。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
ファッションって、難しいです。父ちゃんの普段着は、COSが多いです。リーズナブルで、まあ、独特だから、ZARAもたまに買います。ブランドものも、たまに、買います。エルメスとか、イブサンローランとかが、好みで。あとは、いつもステージで何を着ているか、というとヒステリック・グラマーだったりします。ブランド、というのではなく、自分にあう服を選ぶ、とこうなります。岡本さんの服は、ほぼ、毎日、着ているのですが、身体にフィットするからです。自分では絶対選ばない色、形なんです。ちょっとオーバーサイズで、南仏っぽくて、大好きな黒ではないし、あはは、不思議。でも、着ると、落ち着く、そういう服、いいよねー。
はい、ということで、ファッショナブルな?父ちゃんから、もろもろお知らせです。
まずは、その、お別れ父ちゃんのジャパン・引退・ファイナル・ツアー・・・。
7月30,31,8月5日、有楽町、ヒューリックホール。
8月7日、人生最大の千秋楽、大阪フェスティバルホール
と、なります。
お時間があれば、どうぞ、お立ちよりくださいませ~。最高のライブにしましょうね!!!!
そして、フランスツアーは、いよいよ、今月です。
●6月28日は、ベルセゾンにて、ライブ。詳細お待ちください。
●6月30日、パリ、Le Zebre チケットはこちらから、どうぞ!
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https://billetterie.seetickets.fr/tsuji-in-paris-concert-le-zebre-30-juin-2024-css5-envolproduction-pg101-ri10301135.html
7月3日、リヨン、La Marquise
チケットはこちらから、どうぞ!
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https://billetterie.seetickets.fr/tsuji-in-lyon-concert-la-marquise-peniche-03-juillet-2024-css5-envolproduction-pg101-ri10301835.html
●7月20日から7月28日まで青山・新生堂画廊にて、個展!
●9月後半、コルシカ、アジャクシオ、ライブ。(ライブは、だいたい、9月25,26日のどちらかになります。作家としての登壇も予定しています)
そして、地球カレッジからのお知らせ!
地球カレッジ、6月27日のボルドー市内オンラインツアーの申し込みはこちら。
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https://tunagate.com/community/xWZVvgZD/circle/92861/events/329477
そして、地球カレッジ、7月12日、第二回、エッセイ教室のお申込みはこちら。
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https://tunagate.com/community/xWZVvgZD/circle/92861/events/329479
あと、ツジビル・ラジオを、月に3回やっています。
皆さんのお悩み相談にこたえたり、一緒に考えたり、時事ネタもありーの、歌はないけれど、笑、お笑いもあって、楽しいひと時になることうけあいです。ラジオ好きな皆さん、どうぞ、ご参加くださいませ。
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