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滞仏日記「フランスの個展開催が決定しました! なんと、10月4日から!」 Posted on 2024/05/30 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、今日、パリでの初個展が決定した。
しかも、マレ地区の画廊街にある光が美しく入る、素敵なギャラリーなのだ。
CNRS(フランス科学センター)のフローリアン教授が紹介してくれたので、絵を持って、雨の中、ギャラリーに出向くと、ギャラリストの皆さんが待ち構えていた。
ちょうど、青山・新生堂用の個展作品はすべて出払い、大きいサイズの絵しか手元にはなく、しかも、雨だったが、見せないことには道が開けないということで、自分の身長くらいある絵を抱えて、運んだのだった。
画集を気に入ってくれていたので、突き放されることはないとは信じていたが、やはり、実物の絵を見ないと最終判断ができない、と、まっとうなご意見。
ぼくが知り合ったフランスのギャラリー関係者は、まず、絵を見ない。絵を見ないで学歴ばかり聞いてくる人ばっかり。あはは。
へきえきとしていたのだけれど、トーマスとローランはちゃんと作品をじっくりと見つめてくれた。そして、
「ムッシュ、ツジー、ぜひ、うちで個展を開催しましょう。やりたい」
と言ってくれたのだった。
「おおおお、マジか~」

滞仏日記「フランスの個展開催が決定しました! なんと、10月4日から!」

※ ノートルダム寺院に、尖塔が、戻ってました。



うちの事務所のMMと長谷川が同行しており、とくにMMはキュレーターの資格を持っているし、長谷川はパリの美術館で働いた経験もある、実に頼りになる二人なので、彼らが流暢な仏語で、交渉に入った。
すると、とんとん拍子で決まったのだ。
しかも、
中身は言えないが、ぼくにとっては、びっくりするくらい有利な条件で、快諾してくれたのであーる・でこー。
それだけ、絵が気に入られた、ということ??? えへへ、自惚れたら、いけません。
ところが、人気画廊なので、年内の空きはなし、来年まで塞がっている、と言われたのだった。
フランスの画廊は日本と異なり、ひと月単位で、展覧会を開催するのが一般的。なるほどー。ま、急ぐ必要はないが、ちょっとがっかりした、父ちゃん。
「2,3日とかでもいいので、なんとか、出来ないかなぁ」
と、つたない仏語で、二人に、聞いてみた。
すると、ローランとトーマスが話し合い、
「10月4日から、11日間だったら、可能なんだけど」
と言われた。
え、伊勢丹アートギャラリーの開催期間より、もっと長いじゃん。しかも、10月4日って、マジか!!!
「あの、10月4日生まれなんだけれど」
へっという顔をした二人、フローリアンが笑いだした。みんな、笑顔に!!!
「それはすごいな。じゃあ、そこでやれるよ」
10月だけ、画廊側が後半何かの用事で、塞がっており、前半があいていたのであった。
「いいの?」
「もちろん、ぼくらは逆に、11日間でいいのか、と思って、あなたがいいというなら、うちは、喜んでやって頂きたい」
「お願いします」
ということで、なんと、誕生日の10月4日開催で、辻仁成パリ個展、「ル・ブッダ・ブロン」展が決定したのだった。
※実は、フランスで1999年に出版した「白仏」という小説をモチーフにした白い仏陀の絵のシリーズがあって、モノクロームの作品、をフランスでは最初に紹介したかった。
20年後の白仏である。

滞仏日記「フランスの個展開催が決定しました! なんと、10月4日から!」

※ きれいな画廊です。



モノクロームの仏陀の絵が、ずらりと展示される、そういうシックな個展になるだろう。
「先生、でも、彼ら、もう来年の話もしていますよ」
「え、マジ?」
「来年、夏の前とか秋に、ひと月間、開催したいんですって」
「長谷っち、スケジュールあけるから、キープインタッチしといて」
「了解っす。キープインタッチー」
ということで、今年は、すごいことになってしまった。
画廊を出た後、フローリアンとカフェに行き、さすがにここは、シャンパンで乾杯とあいなった。サンテー!
「辻さん、あなたの作品がここから大きく飛躍しますね」
「ありがとう、フローリアン。君のおかげだよ。ところで、この個展、ここまでけん引してくれた君にも、チームに入ってもらい、ディレクションをしてもらいたいんだが、どうかな?」
くすっとほほ笑む、フローリアン。
「喜んで」
やった。この人は美術史家でキュレーターで南仏のアートフェアのディレクターもやっている。ぼくにとっては、もはや、右腕中の右腕なのだ。もう、離さないぞー。笑。
彼がそばにいてくれるだけで、百人力であーる・ぬーぼー。
安心感が断然違うのである。
去年、千住博さんに絵を認めてもらい初個展が決まったばかりだったが、フローリアンと出会い、パリでの初個展が決定した。めでたい。。
「メディアに宣伝をしかけましょう。ぼくが推薦文を書きます」
「マジか」
マジか、しか言えないのか、と思われそうだけれど、仏語では、「マジか?」は「セ・ブレ?」、なので、ちょっとニュアンスが違う。ほんとすか? みたいな感じかな。あはは。
「絵に関心がある方々に届くメディアに個展の情報を送りましょう。力になれると思いますよ」

滞仏日記「フランスの個展開催が決定しました! なんと、10月4日から!」



滞仏日記「フランスの個展開催が決定しました! なんと、10月4日から!」

熱血はつづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
作品を見ないで批判する人にしかここ最近会ってなかったので、今日は、フランスの底力を見た気がしますね。やはり、作品が全てなんです。ぼくがだれか、とか、今日会ったフランス人たちには関係ないし、みんな、作品にしか興味がない。色眼鏡ではなく、ちゃんと見て貰えて、それがまず、嬉しかった。そして、パリでの初個展、これは大金星ですね。熱血に終わりはありません。パリの個展に関する詳しい情報は、もう少しお待ちください。

はい、引退ラストライブのお知らせです。
辻仁成、ジャパン・引退・ファイナル・ツアーは。
7月30,31,8月5日、有楽町、ヒューリックホール。
8月7日、人生最大の千秋楽、大阪フェスティバルホール
になります。
そして、フランスツアーが6月に行われます。
パリは、ベルビルにある老舗の劇場「Le Zebre」にて行われます。チケットが発売になりました。在仏、在欧の皆さん、お時間があれば、ぜひに。
☟☟☟☟☟
●6月30日、パリ、Le Zebre チケットはこちらから、どうぞ!
☟☟☟
https://billetterie.seetickets.fr/tsuji-in-paris-concert-le-zebre-30-juin-2024-css5-envolproduction-pg101-ri10301135.html

そして、7月3日、リヨン、La Marquise
なぜか、パリの会場よりも、売れています。売り切れる前に、お早目に!笑。
チケットはこちらから、どうぞ!
☟☟☟
https://billetterie.seetickets.fr/tsuji-in-lyon-concert-la-marquise-peniche-03-juillet-2024-css5-envolproduction-pg101-ri10301835.html

●7月20日から7月28日まで青山・新生堂画廊にて、個展!
●9月後半、コルシカ、アジャクシオ、ライブ。(ライブは、だいたい、9月25,26日のどちらかになります。作家としての登壇も予定しています)
あと、ツジビル・ラジオを、月に3回やっています。
皆さんのお悩み相談にこたえたり、一緒に考えたり、時事ネタもありーの、歌はないけれど、笑、お笑いもあって、楽しいひと時になることうけあいです。ラジオ好きな皆さん、どうぞ、ご参加くださいませ。
詳しくは下の、ツジビルサイトを、クリックね!
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