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自分流塾「人間が不調な時にやるべきこと」 Posted on 2024/04/26 辻 仁成 作家 パリ
ぼくは、不調だと感じたら「らしくないことをやる」ようにしている。
いきなり気分を変えて、無理やり、明るい方向へもっていこうとしちゃいけない。
むしろ、人間なんだから、ダメな時は、「逃げろ、やすめ、寝ろ」と自分を赦すことが大事。
調子が悪い時に、「がんばれ」と自分にはっぱをかけるのは間違いである。
そこまで我慢をさせたら、人間なんだから、壊れてしまう。
こういう時は、まず、「らしくないことをやる」のがいいのだ。
ぼくの場合は、まず、仕事をやめ、ベッドに戻り、ずっと寝る。
ごはんも食べずに、ひたすら何時間も寝続けるのだ。
少し前のことだが、朝起きたら、鬱がひどすぎた。
仕事の約束もあったが、身体が動かない、と先方に説明し、仕事をキャンセルにして、ベッドにもぐりこんで、寝続けた。
考えちゃいけない。ただ、身体が元気になるまで、ひたすら寝ること。
人間というのは不思議なもので、何時間も寝ると、お腹がすく。
ぼくは朝、調子が悪い、気分が塞いでいる、どうしようもない、と思ったので、迷わずに、ベッドに戻り、三四郎の世話に関しては、スタッフさんにメッセージを送って、「今日だけ、頼む」とお願いしたのだ。(しょっちゅうは頼めない)
それで、ひたすら寝ることにした。午前中も寝て、午後も寝て、これはそうしないとやばいと思ったからだ。
心が負のスパイラルに落ちているのがわかったら、エンジンを一度切って、自分の様子を見た方がいい。
しかし、お腹がすいてきたら、これは次のステップに移る合図でもあるので、バロメーターでもあるので、人間はおなかがすくことが、生きる引き金でもあるからだ。
これはいい兆しである。
とにかく、いつまで寝るのか、というと、お腹がグーとなるまで、寝るのがいい。
ここからがとっても大事だけれど、お腹がすいた、と思ったら、起き上がり、着替える。
まだ、外が明るいなら、空気を入れ替える。ここからは一気に流れを変えないとならないのである。
こういう時に、悪いことを考えたら、いけない。悪口もなし。
そもそも邪気を近づけてはいけない。誰かへの不満を思い出すと、それが邪気となって自分に戻って来るので、美しい音楽でもきいて、目を閉じて過ごすのが一番。
ストレスだけは、必要いりません。
仕事や大事や約束をキャンセルしたのだから、無駄にはできない。
そして、風を流し、出来れば、常温の水を一杯飲んでから、散歩に出るのがいい。
ぼくは三四郎を連れて、ずっと川沿いを歩いた。散歩は、人間の波動を整える最高の力がある。
出来るだけ遠くを眺めながら、ゆったりした速度で歩くのである。
お腹がもっとすいてくる。
それはさらにいい兆しである。
人間だもの、不調な時はある。自分は不調だ、と認めることも時には大事だ。
休んで、気分を変えることができた。
その証拠に、お腹がすいている。小一時間、いつもより、歩けば、もっとお腹がすくことになる。
もちろん、外食でもいいが、人に会うと気疲れするので、戻って、米を研ぎ、炊いて、出来ることなら、みそ汁のようなものと、おしんこのようなもので、軽く食事をすませるのがいい。
余った野菜を鍋にいれ、スープでも大きなみそ汁でも好きなものを作るのがいい。
あたたまるし、味噌が身体にいいいのだ、十分に胃袋は満たされる。
消化の良いものを食べる。
カフェインとアルコールは避けないとならない。
温かいお風呂につかり、もしあれば、アロマの香りに包まれてみる。
気分が安定してきたと思ったら、その調子だ、よく頑張った、と言葉にするのも大事だ。
誰の人生か、これはぼくの大切な人生じゃないか。無理させたらいけないね。
よく頑張った。いつも頑張っている。ありがとう。
自分をほめてやるのもいい。
ゆっくりと夜を過ごし、愛犬とソファで、まるくなり、眠くなってきたら、そのまま寝てしまうのだ。誰に憚ることもなく、今日を自分のものとする。
こういう1日が1年に何度か人間には必要なのである。
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7/30(火)ヒューリックホール東京
7/31(水)ヒューリックホール東京
8/5(月)ヒューリックホール東京
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8/7(水)フェスティバルホール大阪
open18:00/start19:00
さらに、、、、
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●6月30日、パリ、Le Zebre チケットはこちらから、どうぞ!
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そして、7月3日、リヨン、La Marquise
なぜか、パリの会場よりも、売れています。売り切れる前に、お早目に!笑。
チケットはこちらから、どうぞ!
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●9月後半、コルシカ、アジャクシオ、ライブ。(ライブは、だいたい、9月25,26日のどちらかになります。作家としての登壇も予定しています)
posted by 辻 仁成
辻 仁成
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作家。パリ在住。1989年に「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞、1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Design Stories主宰。