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日本とこんなに違う、フランスの“一週間おつかれさま”メニュー Posted on 2024/04/25 ルイヤール 聖子 ライター パリ
フランス人の夕食メニューは、基本的に質素です。
手の込んだ料理はほとんどしません。ボリュームも少なくシンプルで、一品か二品を置いたワンプレートにバゲット・・・といった簡単なもので済ませてしまいます。
その理由の多くは、「献立で悩むのが嫌」「料理で体力を消耗したくないから」「夜はリラックスしていたい」などです。
しかも作る側だけでなく、作ってもらう側も同じ気持ちなので、罪悪感を抱くことがまったくありません。
そんな一週間のなかでも“さらにがんばらない日”が存在します。
家庭によってルールは異なりますが、私たちの場合は金曜日に設定しています。
ただほかのフランス人家族に訊いてみても、「金曜日はほとんど料理をしない」ということでした。
これは、土曜日に一週間分の買い物をまとめてするため、次の金曜日には生鮮食品を切らしてしまい、ちゃんとした料理ができなくなるという理由からきています。(スーパーが近場にある方は事情が異なると思います)
金曜日は疲れも溜まっているので、なるべくなら楽したい。男性も女性も料理から解放されて、リラックスするのが金曜日というわけです。
※ある金曜日に購入した冷凍食品。リゾット、バーベキューチキン、つけ合わせのサラダほうれん草。
こうした日に活躍するのが、冷凍食品やでき合いのお惣菜、デリバリーです。
フランス人は冷凍食品に対する後ろめたさがありません。楽する日のために買いだめしているケースもあり、圧倒的に「便利」といった印象です。
つけ合わせの野菜があるにしてもやはり1種類で、レタスならレタスだけ、インゲン豆ならインゲン豆だけと、絶対にがんばらないメニューが並びます。
足りなければ各自でバゲットとチーズをどうぞ、といった感じでしょうか。
また火は使わず、洗い物も極力出さないように努めます。温かいものを食べたい場合は、電子レンジで済むものを選びます。
※フランス人の「楽な夕食メニュー」の一例。レタス、ハム、バゲットにチーズ。
※プーレ・ロティ(ローストチキン)は料理しない日の定番メニューです。やはりこれも皿に移し替えることはなく、洗い物を出さないようそのままテーブルに並べます。
「簡単アペロ」が多いのも金曜日の特徴です。
職場の飲み会を木曜日に設定するフランスでは(金曜夜はプライベート時間という認識)、金曜日は友人・家族との大切な時間。
そのため友人と出かける場合には、「アペロ」と題してお気に入りのバーやカフェに集まります。
しかし、ここでも頼むものはシンプルでした。シャルキュトリー(生ハムやサラミ)一品に、ピクルスだけ、あるいはフライドポテト一品だけといった感じで、日本の居酒屋のようなバリエーションがまったくありません。
何を食べるか? はそこまで重要視しておらず、何を喋るか? が大事といった印象です。
※フランス人の友人と行ったアペロでは、シャルキュトリーとパンだけつまみました。足りなかったら家でバナナやチーズを食べるとのこと。
一方で、日曜日に楽する人もいます。
これは土曜日にご馳走をこしらえるため(ホームパーティーなど)、日曜日に力尽きてしまうことが原因です。
食べるものは余りもの。前日の余りであるメイン料理に冷凍ポテトを添えたり、ちぎったレタスを添えたりします。
※フランス人家庭の余りものプレート(1)
※フランス人家庭の余りものプレート(2)、チキンにパタット・ドゥース(さつまいも)のピューレ、ヨーグルトにみかん。
※日曜日にも活躍する、プーレ・ロティ。お肉屋さんのものは大きいので大家族でもOKです。
フランス人は、体力を消耗する作り置きもしません。
余りものは便利だけれど、金土日の週末はリラックスすることがメインです。そして月曜日からはまた忙しい日々が始まるので、再び質素な夕食に戻っていく・・・というルーティーンになっています。
育ち盛りのお子様がいる家庭は少し事情が異なるかと思いますが、フランスではどの家庭も簡単なメニューが多く、料理に力を注いでいないイメージです。
夕食のバラエティは本当に少なめ。夜の時間を楽しく、リラックスして過ごすことが大切です。その中でもいちばん簡単な日のメニューは、日本人も驚くほど質素で少量なものとなっていました。
Posted by ルイヤール 聖子
ルイヤール 聖子
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猫と香りとアルザスの白ワインが好き。